学習支援28 勘違いされやすいハイリー・センシティブ・チャイルド1

自閉症スペクトラム障害と勘違いされることに、ハイリー・センシティブ・チャイルド(Highly Sensitive Child)があります。ハイリー・センシティブ・チャイルドは、生まれつき周囲の刺激や他人の気持ちに非常に敏感なために疲れやすく、傷つきやすい子どものことで、アメリカの心理学者のエイレン・N・アーロン博士が、この概念を初めて打ち出しました。
国籍や性別に関わらず、5人に1人の割合で存在しているとされていますが、これは生まれ持った気質であり、病気や障害とは異なることから、治す必要がないものとされています。ハイリー・センシティブ・チャイルドは医学用語ではなくて、病気でもないことから医学的には治療の対象とはされていません。
優しい性格で、思いやりがあり、思慮深いといったように、よい気質であり、感受性が豊かで、通常であればとてもよい性格とされます。しかし、繊細すぎることから本人に対する刺激を受けただけでなく、他の子どもが叱られただけで苦しくなったり、ちょっとした刺激(音や光など)で体調が悪くなるといったことから、集団生活が苦手となっています。そのため、表面上では、自閉症スペクトラム障害と見分けがつきにくくなっています。
発達障害は社会に理解されていないところがありますが、ハイリー・センシティブ・チャイルドはさらに理解されにくくなっています。発達障害は早期発見の方法が進んでいるのに対して、ハイリー・センシティブ・チャイルドは発見法が確立されていないことから、自閉症スペクトラム障害と混同されたり、気づかずに放置されることも少なくありません。
その理由として、ハイリー・センシティブ・チャイルドは周囲の刺激による感情や気分の変化、周囲の雰囲気、音や光などの環境などの、どこに敏感に反応するかが個人によって大きく異なっていることがあげられます。自閉症スペクトラム障害であれば積極的・消極的で分類するなら消極的、引っ込み思案であることからわかりやすいものの、ハイリー・センシティブ・チャイルドは消極的な子どもだけでなく、積極的で他動的な行動をする子どもも30%ほど存在しているとされていて、非常に見分けにくくなっています。