活性酸素は細胞を傷つけるもので、これを消去することは健康維持には欠かせないこととされています。傷つけるという表現ではなくて、サビさせると表現されることもあります。サビ(錆)は金属が酸化したもので、人間の細胞は金属ではないものの、酸化ということでは共通するところがあるので、そのような表現のほうがわかりやすいのかもしれません。
活性酸素は通常の酸素の電子が1つ欠けたものです。酸素はプラスとマイナスの電子が4つずつあり、このうちのマイナス電子が1つ欠けると、その欠けた電子を他のものから補おうとします。これによって活性酸素は通常の酸素に戻ることができます。
電子を奪われたのが細胞であると、細胞膜の電子のバランスが崩れて、これを補うために細胞の中から電子を奪っていきます。最終的に核の電子が奪われると正常な状態が保たれなくなって破壊されることになります。これが傷つくという状態で、活性酸素が多く発生すると細胞の破壊が次々と続いて、臓器や器官などの機能が低下していくことになります。特に傷つくようなことになって影響が出るのは神経細胞です。
神経細胞の膜は活性酸素によって酸化されやすく、多くのエネルギーが作られる部位ほど活性酸素が多く発生します。一般には吸い込んだ酸素のうち2〜3%が活性酸素になるといわれています。脳は全身の重量では3%ほどしかないのに、エネルギー代謝は20%以上を占めています。それだけ多くの酸素を取り込んで、脳細胞の唯一のエネルギー源のブドウ糖をエネルギー化しています。
酸素が充分にあれば代謝が正常に行われて、活性酸素も発生しにくいのですが、酸素不足の状態になると活性酸素が多く発生するようになります。酸素が多いと活性酸素が多く発生するということと矛盾するように感じるかもしれませんが、充分に酸素を使って代謝させないと不完全燃焼のような状態になって活性酸素が多く発生することになります。そのことから、酸素の多く吸い込むウォーキングが認知症予防に役立つと説明されているのです。