発達障害がある人は1日24時間の生活リズムが正確に刻まれず、本来なら昼と夜で大きな波となっている自律神経の交感神経と副交感神経の調整が乱れやすくなっています。そのために活動する時間帯に副交感神経の働きが盛んになって活動的になることができなかったり、それとは逆に夕方以降に交感神経の働きが盛んになって興奮状態になる、身体が休まらないということも起こりやすくなっています。
身体には1日のリズムを整える役割をする“体内時計”が備わっていて、時間に合わせて調整する作用があります。体内時計は科学の世界では概日リズムと呼ばれていますが、体内に備わった1日のリズムは24時間ではなく、過去には25時間で1時間もズレていると言われてきました。しかし、今では国民などによっても異なることがわかってきて、日本人の場合には24時間10分とされています。
通常なら同じ時間に起床して、規則正しく1日の生活を始めることによって10分のズレは調整されています。体内時計はどこにあるのかというと、視交叉上核という脳の中央の視床下部の直上にある神経細胞の集まりです。視床下部は内臓の働きや内分泌、自律神経の調整を行っていて、視交叉上核は自律神経調整の作用を直接的に受けて、体内時計のメインとなっています。
視交叉上核を補うものとして、大脳皮質や記憶に関係する海馬、内臓にも補助の時間調整を行う器官があります。その一つが一般に“腹時計”と呼ばれているものです。その名から胃で空腹を感じることによって時間調整がされているように思われがちですが、実際には血液中のブドウ糖の濃度、つまり血糖値によって脳の中枢の働きが影響されていると考えられています。
血糖値が低下すると空腹を感じさせるのが摂食中枢、血糖値が高まると食欲が抑えられるのは満腹中枢の働きとなっています。血糖値の変化による腹時計は、いつ食事をしたかが重要で、昼の12時になれば腹時計が働くようになるわけではなくて、朝食からの時間が重要です。10分のズレは、同じ時間に起床して朝食を食べることで調整されるので、体調を整えるにも学習能力を高めるためにも朝食は大切です。発達障害、学習障害の改善を支援するためには、まずは朝食を同じ時間に食べる習慣をつけさせることが重要ということです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)