Medical Diet40 若い女性は背中の脂肪が増えにくい

中年になると女性は太った場合には背中の上側に体脂肪が多く蓄積されることについて、その理由と仕組みを前回説明しました。若いときには、かなり太っていたとしても背中の上側には脂肪が蓄積されるようなことはありません。というのは、この部分には体脂肪を蓄積する脂肪細胞とは異なる、褐色脂肪細胞が多くあるからです。
通常の脂肪細胞は白色脂肪細胞と呼ばれていて、その名のとおり白い色をしています。これは白い色をした中性脂肪が蓄積されているからです。白色脂肪細胞は内臓と皮下に多く、内臓脂肪、皮下脂肪と呼ばれるのは白色脂肪細胞を指しています。これに対して褐色脂肪細胞は、脂肪細胞であっても働きは脂肪の蓄積ではなくて、脂肪の代謝です。
褐色脂肪細胞は中性脂肪を分解して、脂肪酸として、これをエネルギー源として体熱を作り出しています。その働きをするのはミトコンドリアで、通常はエネルギー産生を行うミトコンドリアは筋肉細胞に多くなっていますが、例外的に褐色脂肪細胞にはミトコンドリアの数が多くなっています。そのために褐色脂肪細胞は、その名のとおり褐色になっています。
褐色脂肪細胞は肩甲骨の周りと、左右の肩甲骨の間に多く存在しています。食事をしたあとに背中の温度が高まるのは、褐色脂肪細胞の脂肪代謝が高まっているからです。褐色脂肪細胞の働きは自律神経の交感神経の働きによって活性化していきますが、寒いときに身体を動かしていないのに体温が高まるのも褐色脂肪細胞の働きによるものです。寒いところで暮らす民族は褐色脂肪細胞の数が多く、活性度も高くなっています。
この褐色脂肪細胞の働きは、エネルギー代謝が盛んな若いときには活性化されているので、若いときには背中に脂肪が蓄積されにくくなっています。年齢を重ねるにつれて代謝が低下していくと、褐色脂肪細胞の働きも低下していって、背中の上側に皮下脂肪が多く蓄積されていくようになるということです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)