Medical Diet42 人工関節でもできる安心ウォーキング

膝には強い負荷がかかっています。歩くだけで体重の2〜3倍、走るときには4〜5倍、階段の上り下りで6〜7倍もの負荷がかかるといいます。体重が50kgの人の場合には歩くことで100〜150kgの負荷となり、体重が1kg増えることで膝の負荷は4〜6kgずつ増えていくことになります。
これによって膝の軟骨がすり減り、膝関節が傷むようになり、これが膝の神経を刺激して強い痛みを感じる変形性膝関節症につながっていきます。膝関節の傷みが軟骨の修復で間に合わなくなったときには、人工関節の置換手術が行われます。人工関節を入れれば、元のように歩くことができるとされていますが、術後に医師から言われる一言によって、歩く機会を減らす人が少なくありません。
その言葉というのは「人工関節は20年しかもたないので大事に使ってください」というもので、言い方は違っても、要は人工関節に負荷をかけないように、ということで歩かないことがよいという印象を与えてしまいます。人工関節の寿命は以前は10〜15年で、以前の平均寿命からすると、これで充分ということもありました。しかし、平均寿命が延びる中で研究が進み、今では15〜20年は保つようになりました。それでも長生きをすると途中で交換をしなければならない、手術後のつらいリハビリを繰り返すことにもなりかねません。
歩かないと足腰の筋肉が衰えて、膝を包んでいる筋肉も落ちていくので、これが膝の負荷を強めることになります。歩かないことは、かえって人工関節の寿命を短くすることにもなってしまいます。また、生活習慣病(血圧、血糖値、中性脂肪値、LDLコレステロールなど)の改善にために歩くことを指示される人は、年齢を重ねるほど増えていきます。
では、どのような歩き方をすればよいのかということですが、私たちはポールを使ったノルディックスタイルのディフェンシブの歩行法を指導しています。このことについては、筋肉の機能の話をしたあとに、紹介させてもらいます。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)