膝には歩くだけで体重の2〜3倍、走るときには4〜5倍、階段の上り下りで6〜7倍もの負荷がかかっています。体重が50kgの人の場合には歩くことで100〜150kgの負荷となり、体重が1kg増えることで膝の負荷は4〜6kgずつ増えていくことになります。このことは以前に人工関節を保護して長持ちさせる方法の前段として紹介しました。
その歩き方としては、ポールを使ったノルディックスタイルのディフェンシブの歩行法があるという話を受けて、具体的な方法について紹介していきます。ノルディックスタイルというのは2本のポールを手にして、これをスキーのストックのように地面に突きながら歩く方法で、北欧発祥の勢いよく前進するアグレッシブウォーキングと、日本発祥のポールで支えながら歩くディフェンシブウォーキングとがあります。
前者のクロスカントリーのように歩くのは一般にはノルディックウォーキングと呼ばれていて、ポールの接地面は斜めになっています。これに対してポールで支えて歩くほうは一般にはポールウォーキング、ノルディック・ウォークと呼ばれています。ポールの接地面は丸型、円盤型などがあります。
膝の負担を減らして、歩くことによる筋肉強化を図り、さらに筋肉の代謝力を高めて血糖値や中性脂肪値、血圧を安定させるという目的で実施されるのはディフェンシブウォーキングのほうです。ポールは前方に突いて、ポールによって上体を支えることで体重を手足に分散させます。上体の力も使って歩くことになるので、全身の運動量が増えていきます。
膝の負荷が減るのと同時に、脚の筋肉の負荷も減るものの、膝の状態を心配して歩かない、歩く機会を減らすということに比べれば下半身の筋肉を強化することができます。このディフェンシブウォーキングは高齢者の筋肉トレーニング、身体強化だけでなく、運動不足の人には適度な運動の機会となることから、広くすすめています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)