以前のシステムを変えてでも新たな解決策を探ろうというのは、前回のコロナ対策として医師の診断なしでも感染を判断するということにも当てはまることで、これは「心機一転」という四字熟語で表すことができます。もともとの意味は、「ある動機をきっかけとして、すっかり気持ちがよい方向に変わること」、「あることをきっかけに、すっかり気持ちや心をよいほうに入れ替えること」です。
「心機一転」であれば、発想を変えて、よい方向性を探っていくプラスの結果を期待することもできるのですが、同じ読みで意味が違う「新規一点」となるとマイナスの印象も与えます。コロナ対策としてワクチン頼り、PCR検査頼りの一点突破を目指しても、何度も感染拡大を繰り返す結果になるのは、拡大が始まってからの2年間の対応を見ていればわかることです。
これだけではいけないと他の手段を取るのはよいとしても、医師が診断して治療をするという医療の大原則を崩してまで医療の負担を減らそうとして、自分で検査をして判断する、自分で判断して自宅療養をするという、これまでの常識を覆す新規の対策を厚生労働省が発表したときには驚かされてしまいました。この方法だけという“一点”だけでなくて、他の方法も出されるはずと期待していたのに、新規に打ち出されたのは一点だけということで、さらに驚かされてしまいました。
これまでの医療システムの常識を覆す「医師が診断しない」ということを打ち出すのだから、それをカバーするだけの大きなことが新規に発表されるはずという期待も、今のところは裏切られた形になっています。別の「新規一点」を期待しながら、市民レベルでできるコロナ対策が始められる日を待っているところです。