「出る杭は打たれる」というのが一般的な諺(ことわざ)ですが、これをもじって「出過ぎた杭は打たれない」ということが今では普通に使われるようになっています。この「出過ぎた杭は打たれない」という名言を初めて使ったのは松下幸之助さんです。この話は講和などの導入部で使う人も多いのですが、書籍に書かれているのは「出る杭は打たれるが、出すぎた杭は打たれない」という文です。
講話では、突出した能力があれば打たれなくなる、という意味で話している人もいますが、松下幸之助さんの書籍を読めば、そのような意味ではないことがわかります。一定の場所で出過ぎると打たれてしまうものの、別の場所で突出することを言っています。このことはゴーストライターをしていたときに、PHP研究所の書籍の中で何度も書いてきました。
同じ場所では出る杭になろうとしてもなれないことがあります。臨床栄養の世界に踏み込んだときには、病院栄養管理の第一人者の研究所に所属していて、病院の管理栄養士だけでなく、スポーツ栄養の専門家もいて、中には後に日本栄養士会の会長になる実践・研究の専門家もいて、その中で突出するのは初めから無理だとわかっていました。そこで、皆さんの力を合わせて団体を作ること、各分野の専門知識を組み合わせた研究を進めること、その広報を担うことを目指しました。
それが臨床栄養の団体の事務局、団体の広報誌の編集、今のメディカルダイエットにつながる食事・運動・栄養のタイミングによるエネルギー代謝の研究につながっています。サプリメント研究、健康スポーツ研究から発達障害児支援まで、同じ流れで進めてきました。
新たな分野に挑戦するときには同じ志を抱く分野が異なる専門家が集う、他にない特徴を作り出す、その成果を広く普及していくということで、“ナンバーワン”を目指すのではなくて“オンリーワン”となる道を歩んできました。
これから先は、掲げる旗印(志)を見定め、他ではできないことを作り上げることために誰と一緒に活動をして、絶対に打たれない杭を数多く作り出していくのが使命だと認識しています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)