以前に経験したことをもとにして、新たなことを進めていくことは、コロナ禍を経験して、これまでと同じ対策を繰り返していては解決にならないということを強く感じることになりました。これを表す四字熟語は「温故知新」で、よく使われるのは“古きをたずねて新しきを知る”という説明です。
「温故知新」は、以前学んだことや昔の事柄を調べ直し、考え直して、新しい道理や知識を探り当てることを指していますが、コロナ前の常識では過去にやってきたことのバージョンアップでも対応できました。しかし、コロナ禍が続く中、コロナ禍が収まったとしても次に同じような感染拡大の危険性がある感染症が蔓延する可能性を考えると、バージョンアップでは乗り越えられないのではないかという意識が国民的に芽生えてきています。
しかし、対応策を考えるべき人たちが、何に気を使っているのかと感じさせるような対応で、実に歩みが遅いと感じている人は多いはずです。これまでにされてきた“贔屓”(ひいき)を踏襲するために歩みが遅くなっていることを指す言葉として新たに掲げたのが同音異義の「恩顧遅進」です。
新たな発想で対策に取り組むためには、新たな血(人の知識)を入れなければならないはずなのに、いまだに従来の職員や、その人脈だけで何とかしようという組織が目立っています。実際に実践するときには、外の人脈を活用するのは必ずしも必須なことではないとしても、これまでの組織や行動を見直して、新たな発想で進んでいくためには「恩顧遅進」ではなくて、「温故知新」の発想で取り組むべきです。
この実践のために「温故知新」の姿勢を出しているところもあるのですが、これもまだ従来の評価に基づいた外部の著名人を求めているところが目立ちます。新たな行動のために人材バンクの形で多くの中から選ぼうとしている自治体もあるのですが、ごく少数でしかありません。