Medical Diet51 糖質の吸収率が高いのは朝食か夕食か

糖質は消化されやすく、ブドウ糖に分解されたあとに素早く吸収されます。ブドウ糖の吸収速度は食事のタイミングで違っていて、最も吸収率がよいのは朝食のときとされています。それは、血糖値(血液中のブドウ糖の値)を測定すると朝食後のほうが夕食後よりも高くなっているからです。
これについては、血液中のブドウ糖は全身の細胞に吸収されるために、起床時には血糖値が下がった状態になっていて、これを補うように食事をしてからすぐに血糖値が高まるのだと一般には説明されています。
では、夕食後は吸収率が低いのかというと、そんなことはありません。夕食を食べてすぐのタイミングでは、血糖値は大きく高まっています。それに関係しているのは自律神経の働きです。自律神経は興奮作用があって昼間の時間帯に盛んに働く交感神経と、抑制作用があって夕方から朝までの休息の時間に盛んに働く副交感神経があります。
夕食の時間帯には副交感神経が盛んとなっていますが、副交感神経には胃液を多く分泌させ、小腸からのブドウ糖の吸収を高める作用があります。そのために血糖値が上昇しやすくなっているのです。
ところが、血糖値が大きく高まると、それに応じて膵臓からインスリンという細胞にブドウ糖を吸収させる作用があるホルモンが分泌されます。
インスリンの分泌を高めるのも副交感神経の働きによるので、夕食後にはインスリンによって細胞にブドウ糖が多く取り込まれるので、血糖値が下がっていきます。血糖値の変化だけを見て、吸収率が高いのか、それとも低いのかを論議するのではなくて、全体的な仕組みに注目して判断すべきです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)