発達障害児は、すべての子どものうち10人に1人はいるとはいっても、その事実を受け入れがたく、周囲に隠そうとする保護者は少なくありません。隠すというのは、発達障害児施設に通所していることを周囲に隠すというよりも、病院で診断を受けても申請をしないために改善のための療育が受けられない、そもそも病院で診察を受けさせないという保護者の存在です。そのことによって発達障害を改善するための支援が受けられなくなり、改善の余地があるのに改善できないということも起こっています。
発達障害児というのは、発達障害者支援法では、発達障害があり、社会的障壁によって日常生活や社会生活に制限が生じている18歳未満の子どもを指しています。社会的障壁がなければ、発達障害があったとしても発達障害児にならないというのが法律の根本的な主旨となっています。
社会的的障壁というと、制度や慣行、観念のほか、周囲が理解していないために生じる一切のものを指しています。通常は、発達障害がある子どもが差別を受けたり、改善のための方策を受けることができない状態を指しています。保護者が改善を求めても、それがかなえられない状況などがあげられていますが、周囲に隠そうとする行為によって改善の機会を失わせることも社会的障壁の一つだと考えられています。その隠す行為は、差別と変わらないという指摘もされています。
隠そうとする保護者にも理由があり、それをせざるを得ない事情があることは理解しています。しかし、子どもが今後、学校で学び、社会に出て働くときに、あらぬ差別や偏見を受けたり、生まれ持った才能を発揮できないようなことになっては、保護者が妨げとなることにもなりかねません。そのようなことがないように相談することが大切で、法律に基づいて相談を受け、支援をする体制は整っているので、初めから社会が受け入れてくれないと拒否するような姿勢は改めなければならないということです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)