発達障害児は、すべての脳機能が定型発達の子どもに比べて劣っているわけではなくて、一部だけに特性があることもあれば、一部の機能は学習などをするためには低くても他の部分では優れた才能を発揮するということもあります。中にはギフテッド(gifted)と呼ばれる特別な能力を持っている子どもも存在しています。
ギフテッドのことを知ると、自分の子どもにも同じような特別な能力を期待する保護者も少なくなりません。子どもに期待を寄せて、その才能を伸ばすために積極的な支援をすることを否定するものではありませんが、期待のしすぎが、かえって子どもに負担をかけて、発達障害の状態を重くすることも起こります。
発達障害児は、発達障害の状態の重さが、そのまま日常生活や社会生活に影響を与えているわけではありません。発達障害者支援法では、発達障害があり、社会的障壁によって日常生活や社会生活に制限が生じている18歳未満の子どもを指しています。社会的障壁がなければ、発達障害があったとしても発達障害児にならないというのが法律の根本的な主旨となっています。
親が過剰な期待をかけることで負担が強まり、その期待に応えようと頑張ることで、さらに負荷が強まるということもあります。発達障害とギフテッドをイコールと考えている保護者もいるのですが、ギフテッドは発達障害児だけでなく、定型発達の子どもにもいます。アメリカではギフテッドの定義が明らかで、診断基準が確立されていて、その支援のためのプログラムがあり、指導の専門家も存在しています。
ところが、日本では専門家どころか定義も明らかではなくて、それが親の過剰な期待につながっています。子どもに無用な負担をかけるようなことは、社会的障壁ともなりかねないのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)