発達障害児の支援をしていると、保護者から牛乳が飲めないという相談を受けることがあります。牛乳が飲めないというのは発達障害児に限ったことではないのですが、それは身体の特性(アレルギーや感覚過敏など)というよりも牛乳そのもののせいかもしれません。当たり前のように飲んでいる牛乳が、実は当たり前ではないのかもしれないのです。
牛乳は食品衛生法に基づく乳等省令によって加熱殺菌されています。省令には「保持式により63℃で30分間加熱殺菌するか、これと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌すること」が定められています。わかりにくいかと思いますが、これに従って殺菌法は以下のように分類されています。
低温保持殺菌:63〜65℃で30分間加熱殺菌
連続式低温殺菌:連続的に65〜68℃で30分以上加熱殺菌
高温保持殺菌:75℃以上で15分以上加熱殺菌
高温短時間殺菌:72℃以上で連続的に15秒以上加熱殺菌
超高温瞬間殺菌:120〜150℃で2〜3秒間加熱殺菌
日本で市販されている牛乳の90%以上は超高温瞬間殺菌によるものです。牛乳のたんぱく質は温度によって変化します。牛乳を60〜65℃以上に温めると表面に薄い膜ができるのは、たんぱく質が変質した結果です。
これを防ぐために低温殺菌では65℃までとしていて、この温度では殺菌しにくいので30分間の加熱時間としています。超高温瞬間殺菌は2〜3秒間で殺菌できるということですが、問題になるのは120〜150℃という温度です。短時間なら変質はしないのかというと、牛乳はパイプの中を流れていて、ここを通過して出てきた牛乳が120〜150℃になっています。
瞬間的に、ここまでの温度にするためには、パイプの温度はもっと高い温度になっています。そのパイプに触れた牛乳が変質するのは当たり前のことで、その変質したたんぱく質が含まれていては、おいしくない、受け付けないという子どもがいるのも当然のことです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)