3.11の大震災が発生した後にはテレビ番組は被災地報道ばかりで、それまで準備していた番組は、すべて吹っ飛びました。11年前には東京で全国キー局(NHK以外)の番組に健康関連の企画と情報を提供していましたが、中止か延期、延期もいつ放送されるかわからないという状況になりました。
被災地報道以外の番組でも、速報が入り、画面が急に切り替わるということがあって、なんとか番組で取り上げられていた健康情報も途中で終わることが相次ぎました。普段なら途中で終わった番組は、穴埋めとして別の日に取り上げるというのが常識的な対応だったのですが、それもなくて尻切れとんぼ状態が続きました。
健康番組にタイアップでネタを提供していても、私たちは企画料・情報提供料くらいだったので、それが入ってこないだけの話でしたが、番組に取り上げられるネタを食い扶持にしている人たちが多数いて、その人たちの活躍の場がなくなりました。番組で商品や施設、人物などが取り上げられると大きな宣伝効果があるということで広告宣伝料の代わりにお金を受け取って、番組で紹介するということが普通に行われていました。
その人たちは仕事がなくなったのですが、私たちも仕事が連動してなくなりました。これまで番組スポンサー以外の会社の商品などが取り上げられることも多く、それに関するネタを持っていないことから、私たちにサポートの依頼がありました。ところが、3.11をきっかけとして、番組内で取り上げられる商品や施設などは、その局にコマーシャルを出している会社に限られたからです。
工場見学や商品の物語、サービスの比較、商品が出てくるようなクイズ番組が急に増えたことを覚えている人も多いかと思いますが、これまで外部に任せていたタイアップを、すべて局内で行うようになったので、情報はメーカーや販売会社から出されたものだけになり、私たちへの依頼はなくなりました。
そのときからメディアを通じて生活者にアプローチすることは諦めて、直接的に健康情報を発信する講習や情報発信を始めました。岡山県に移住してからも、何度か番組制作側からネタを求められることはあったのですが、コロナ報道やウクライナ報道のように、どのチャンネルを回しても同じことだけという状態では、企画や情報を出したものの放送されずに終わるということになりかねないので、いつも同じことを言って断っています。
「岡山での仕事に限ったので」と。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)