Medical Diet57 エネルギー代謝促進VS.糖質制限

血液中のブドウ糖が増えて血糖値が上昇したときには、ブドウ糖を全身の細胞に取り込む役割をするホルモンのインスリンが膵臓から分泌されます。これによって細胞内のミトコンドリアで行われるエネルギー産生が高まります。インスリンには肝臓での脂肪合成を進めて、合成された中性脂肪を脂肪細胞の中に蓄えていく働きもあります。そのこともあって、糖質制限は血糖値を抑えて糖尿病を予防する作用や体脂肪を減らすダイエット作用もあることが強調されています。
ブドウ糖は細胞の中で素早くエネルギーを作り出すために重要な栄養素で、糖質制限をすればブドウ糖が不足するので作り出されるエネルギー量も減ることになります。細胞の中で作り出されたエネルギーは、その細胞の中でしか使われないので、全身の細胞のエネルギー源であるブドウ糖が不足するようなことはあってはいけないのです。
食事をしたあとに血液中に増えたブドウ糖も、食事で摂った脂肪(中性脂肪)も、脂肪細胞の中に蓄積されている体脂肪も、どれも重要なエネルギー源です。そのエネルギー源を効果的にエネルギー化するためには、身体活動を増やしてエネルギー代謝を促進することが大切になります。
多くのエネルギー源を摂って、これを効果的にエネルギー化することが重要であるので、血糖値の降下も体脂肪の減少も、食べるものを制限するのではなくて、必要なものは摂って、そのあとにエネルギー源として消費するのが正しい方法です。糖質制限をして、それで血糖値が下がったと安心して身体を動かすことを減らしたり、ほとんど動かないということは決してすすめられることではありません。エネルギー代謝で作り出されたエネルギーは、身体にも脳にも必要だということを肝に命じて、ただ減らせばよいという安易な方法には向かわないでほしいのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)