発達障害サポーター29 箸の上げ下げへの注意

箸の上げ下げといえば、食事の基本中の基本の作法で、さらに基本になるのは箸の持ち方です。これは発達障害児に限ったことではなくて、多くの子どもにも、その親にも指摘されることです。箸の持ち方が違っていることから上手に食べることができない、食べるのに時間がかかって急かされることからプレッシャーが高まり、また消化や吸収に影響を与えるということも起こっています。
箸の持ち方については和食のマナーという面での指摘だけでなくて、農林水産省も持ち方の広報をしています。それによると、「持つ場所は箸先から約3分の2の部分。上の箸は鉛筆の要領で持ち、下の箸は中指と薬指の間に入れて固定する。物をつまむときは、中指と人差し指と親指で上の箸を動かし、下の箸は動かさない。箸先を開いたり、すぼめたりすれば、どんな大きさの物でも自在につまめる。」と示されています。
これを見てわかることは、上の箸を動かすということで、そのための持ち方の基本となることは上の箸は鉛筆を持つようにします。鉛筆の持ち方がうまくないと箸もうまく使えず、書くのに苦労する子どもは食べることにも苦労しているということが指摘されます。
箸がうまく持てないために食べにくい、食べるのに時間がかかっている子どもに対して、いくら早く食べるように急かせても、うまく持てないという初めのところで引っかかっている子どもに早く食べることを無理強いしても改善は望めません。正しい持ち方は、自由に箸先を動かすことであるのですが、うまくいかない子どもは周囲の使い方から学んでいます。教えるときには子どもと同じ方向に座り、そのまま指の動き、手の動きを真似ればよいようにしてあげるべきですが、家庭の食事の様子を見させてもらうと、正面や斜めの位置から真似るようにさせている保護者が案外と多いのに気づきます。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)