悪筆でも機器のおかげで普通に暮らせるようになったという前回の話に続いて、筆者(日本メディカルダイエット支援機構理事長の小林正人)が体験してきたことを書かせてもらいます。学習障害では書かれている文字が見えているのに読めないということだけでなく、文字そのものが見えにくい、文字の一部が欠けるなどして判読できないという識字障害があります。
識字障害といっても、視覚の問題ではなくて、神経発達障害、視覚情報処理の異常によって文字がにじむ、ゆがむ、二重に見える、左右が逆転するといった異常が起こる子どもが少なからず存在しています。筆者の場合は、そのような状態はなかったのですが、年齢を重ねるにつれて閃輝暗点という状態が起こるようになりました。
これは眼で見たものを画像にする部位の後頭葉の血流が低下することから、正常に画像かできないことから起こるものです。視野の一部が輝いて見える、部分的にモザイクがかかって見える、一部が暗くなるといったことが突然起こり、それが15〜30分も続きます。そのためにゴールド免許を持っていても運転することは危険であるためにハンドルが握れず、仕事の真っ最中に休まざるを得なくなるので、普通の仕事ができないという、まるで障害者のようなことにもなっています。
そんな状態があっても、そのことを平気で文章にすることができるのは、ワープロ(Word processor)、パソコンの文字変換ソフト(WindowsのWordソフトではなくてMacの日本語IMソフト)のおかげです。筆者の場合の閃輝暗点は視野の左下側にモザイクがかかって見える状態で、画面もキーボードも視線を落とすところが見えにくくなるのですが、よく見えなくてもキーボードはブラインドタッチという方法があります。モザイクがかかっていない部分に移動させてモニター画面の文字を確認することができます。
そのことがわからない人には、筆者が視覚障害を起こしていることは気づかれていません。そういったことがあるので、識字障害の子どもの困難さが理解できる気がします。それが学習障害の子どもの支援に役立っているのです。