日本酒は日本で作られていると以前に説明しましたが、その原材料が「国産である」ということは触れていませんでした。というのは、原材料の酒米に輸入米が使われていることを知っているからです。輸入米は中国産、オーストラリア産、アメリカ産などがありますが、通常の食用米と酒米は種類が異なるので、あまり輸入品という印象がないようです。しかし、輸入米は酒米としても使うことができます。あまり旨い日本酒にはならないといわれるものの、大量生産の場合には、すべてではなく、一部混入させる方法なら使っても気づかれることはありません。
原酒に加えて使われる醸造アルコールは、米を使用するものと、米以外の穀類を材料とするものとがあります。米だけを用いて醸造アルコールとしたものは本醸造酒(本醸造清酒)と呼ばれています。“本当に醸造した”という意味だとしたら、ちょっとイメージが違っています。
輸入米を酒米として使ったものは、そのことが表示されて入れば見抜くことができるのでしょうが、日本では表示が義務づけられていません。醸造アルコールの原料の米となると、何が使われているのかまったくわかりませんが、これも米そのものではないものを使うことさえできます。
日本酒を作るときには、酒米は外側を削っています。酒米は、食用の米よりもたんぱく質が少なく、糖質が多い米が使われています。麹菌は糖質で増殖しやすいので、たんぱく質は多い部分を削って、糖質が多い部分を使うようにしています。この削られた部分は加工用の米としても使われていますが、醸造アルコールの材料ともなっているのです。