発達障害児の自閉症スペクトラム障害も注意欠陥・多動性障害も交通安全については、相当に気を使って対応をしなければならない対象となります。子どもを対象にした交通安全教室を見学させてもらったことがありますが、その中身は以前と変わりがなくて、注意すべき点を注意するという基本的なことを継続するのはよいことです。
よいことであったとしても、発達障害がある子どもが全体の10%にもなっていて、その特性に合わせた安全教室をするべきではないか、ということを感じて、別の機会に東京に出向いたときに警察関係者に会って、発達障害児の対応についてリサーチしてきました。その機会が得られたのは、公益財団法人日本盲導犬協会の理事長と知り合いであったからで、理事長の前職は警視総監です。
発達障害児が多くなる一方で、交通安全としての対策の重要性は認識されていました。しかし、具体的に自閉症スペクトラム障害と注意欠陥・多動性障害の特性が、どのように交通安全では問題となるのか、どのような指導をすればよいのかということについては、まだのようでした。地域によっては、新任の警察官の研修に発達障害児への対応に関する講習が設けられているところがありますが、まだまだ総論のところで止まっている感じです。
これも総論的ではありますが、自閉症スペクトラム障害では目標とするものに関心が高まると周囲が見えなくなって、関心があるものに向かっていくところがあり、これが不意の飛び出しの原因にもなっています。注意欠陥・多動性障害では周囲の刺激によって注意散漫になることから、危険に気づきにくいということも多くあります。危険な状況になったときに叱ってはいけない、叱られる理由が理解できないということが多くて、声かけにも困難さがあるのが発達障害の特徴でもあります。
このような話をさせてもらったあとに、そこまで私が考えるのは、岡山の交通事情になるのではないか、と言われました。確かに、岡山県は信号がない横断歩道で歩行者を優先してのクルマの一時停車率が全国ワースト1で、以前より少しはよくなったものの10.3%です、全国平均は30.6%なので、いかに岡山県では子どもの交通安全教室、中でも発達障害児のための交通安全教室が必要かということを主張させてもらっています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)

