三大ヒトケミカルの医薬品としての機能

三大ヒトケミカルのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10について以前は医薬品であったものが食品として使えるようになった、と繰り返し伝えてきました。医薬品としては、どんな働きがあるのか、という質問がメディア関係者からありました。
α‐リポ酸はチオクト酸と呼ばれる物質で、その酸化体のβ‐リポ酸と区別するためにα‐リポ酸と呼ばれています。医薬品としてのα‐リポ酸は、チオクト酸(注射用)として利用されています。適用は、「チオクト酸の需要が増大した際の補給(激しい肉体疲労時)」、「亜急性壊死性脳脊髄炎」、「中毒性(抗生物質のストレプトマイシン、カナマイシンによる)および騒音性(職業性)の内耳性難聴」となっています。
L‐カルニチンは2種類のアミノ酸(リジン、メチオニン)から肝臓、腎臓で生合成される誘導体です。先天的代謝異常症(プロピオン酸血症、メチルマロン酸血症など)によるカルニチン欠乏症に用いられます。中心静脈栄養や血液透析、バルプロ酸の長期服用によってもカルニチン欠乏症が起こります。脂質代謝に用いられるのはL‐カルニチンのみであり、対掌性のD‐カルニチンには活性がありません。
コエンザイムQ10は体内に存在するミトコンドリアの電子伝達系の補酵素で、体内では肝臓でメバロン酸から生合成されます。酸化型のコエンザイムQ10はユビキノン、還元型のコエンザイムQ10はユビキノールと呼ばれます。ユビキノンは軽度および中度の鬱血性心不全症状治療薬、エネルギー代謝改善循環器用薬として用いられます。スタチン(脂質異常症治療薬)はHMG‐CoA還元酵素を阻害することで体内でのコレステロール合成量を減少させるものですが、共通系でコエンザイムQ10が合成されているため、スタチンの服用によって体内でのコエンザイムQ10の合成量が減少することが知られています。
サプリメントとしてのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10については、このサイトの「サプリメント事典」を、ご覧ください。