以前に、メディアに対して改札口を出た途端に直角に曲がる人があるのはスマホに脳が影響されているから、と説明をしたところ、高齢者でも直角に曲がる人がいる理由を聞かれました。直角に曲がるどころか、狭い混雑している通路で立ち止まったり、下りのエスカレータで続々と降りてくる人がいるのにギリギリのところを横切ってエスカレータに乗っている人をドッキリさせる高齢者もいれば、エスカレータを上がった途端に立ち止まる高齢者もいて、いつ事故が起こっても不思議ではない状況を、よく目にします。
高齢者とされているのは65歳以上ですが、身体は若々しく健康的に見えても、中身のほう、つまり脳の機能が若々しいまま保たれているかどうかはわからないという事実があります。厚生労働省の認知症予防のデータ(2012年)を見ると、65歳以上で認知症患者は462万人、その予備群の軽度認知障害の人は400万人と想定され、これは65歳以上人口の4人に1人の割合となっています。この状態が2025年には認知症患者が700万人、軽度認知障害の人が600万人にもなり、認知症患者だけで5人に1人になると予測されています。
この状態を考えると、周りの人を気づかうことなく、自分が過去に続けてきた安全な歩き方を忘れる人がいるのは、当然ともいえます。
ノルディックウォーキングやポールウォーキングのポールを使って歩いている高齢者を見かけることが多くなっています。デパートの混雑している通路をポールで歩いている人を同じ日の2人見かけたことがありますが、これこそ危ないことがわからなくなり、自分のことしか考えないで歩いている人の典型のようなもので、これはマナーというよりも安全性の問題でデパートや地下街、駅の構内、特に地下鉄のホームなどでは禁止しないと、すぐにも事故につながりかねない、という話をさせてもらいました。