Medical Diet92 セロトニンと食欲調整の関係

食欲は精神状態によって左右されやすい特徴があります。脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が不足すると、ブドウ糖を補うために食欲が増進します。ストレスがかかると脳でのブドウ糖の消費量が増え、さらにストレスが高まることによってブドウ糖が多く含まれる甘いものへの欲求が高まっていきます。
ストレスが高まり、精神安定が必要なときには脳内のセロトニンの分泌量が増えます。セロトニンは生理活性アミンの一種で、脳内の神経伝達、メラトニン合成など脳の活動を高める作用のほか、平滑筋の収縮、血管収縮などの働きをしています。
セロトニンが不足すると精神安定を求める働きとともに、食欲が増進します。甘いものや肉類を食べると一時的にセロトニンの分泌量が増え、気持ちが落ち着くことから、甘いものへの欲求が強くなるとされています。
セロトニンの分泌量には性差があり、女性は男性に比べて脳内のセロトニン合成量が少なくなっています。そのため、女性はストレス状態に置かれるとセロトニンの減少の度合いが大きくなり、情緒不安定になりやすいのです。そして、甘いものや過食など食欲の高まりがみられるようになりやすくなっています。
女性は月経前の体調不良期(PMS期)に、神経伝達組織でのセロトニンの受け取りが阻害されるため、生理前には特に食欲が高まりやすくなります。
セロトニンは、食べることだけではなく、ストレスの解消や運動などによって分泌を高めることができます。そのため、精神的な原因によって食欲が高まったときには、運動の中でもセロトニンを分泌させやすい有酸素運動がすすめられます。
アミノ酸のトリプトファンはセロトニンの原料となります。体内では合成できず、食品から摂らなければならない必須アミノ酸で、トリプトファンは牛乳、チーズ、肉類、赤身魚、大豆製品、果実などに多く含まれます。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)