「石橋を叩いても渡らない」という前回の話に続いて、別の会社で起こった石橋を叩きすぎて渡れなくなった会社の話です。朝令暮改というと、あまりよい意味では使われていないでのですが、その会社の社長は何が過去にあったのか、よい意味だと思って言葉としても使い、行動としても起こしていました。
朝令暮改の本来の意味は、朝に命令を出して夕方に変えることで、方針などが絶えず変わって方向性が定まらないことを指しています。ここから転じて、あてにならない、迷惑だ、信じるに値しないという意味に使われています。元は中国の漢書に出ている言葉で、現在の中国ではコロナ対応などで朝令夕改が使われることがあります。
今回の石橋は、会社の営業方針というよりも会社組織そのものを指していて、新たな方針が示されるたびに、営業方針や戦略、それを実行するメンバーを叩いてチェックするのではなく、会社として大丈夫なのかと違った心配をするということがみられました。利益を上げるための行動として正しいだけでなく、会社の歴史や社風に合っているのかを再確認するというのは決して悪いことではありません。むしろ、儲けることよりも大事なことでもあって、社会的な評価をプラスにさせることもあればマイナスにさせることもあります。
今回のテーマの「石橋を叩いて壊す」というのは、慎重になりすぎて、よくない結果になるということを意味していますが、社風などを気にしすぎて行動が遅くなり、結果としてうまくいかなかったというのはコロナ禍で疲弊した時代には起こりやすいことです。叩きすぎて壊すことがないように、今の時代は過去の歴史や経験にこだわりすぎることがないように、というのは正しいことにように聞こえます。
しかし、これまでの経験を無視して、あまりに目先の利益に向かって進むような朝令暮改はコンサルタントとしては諌めるところですが、厳しい時代を乗り切るためという一言で、これまでの実績である石橋を叩いて壊すようなことをしているのに気づかない経営者も少なくないのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)

