東京大学が、20年後の日本では高齢者が増えるにも関わらず、認知症患者の総数は減るという予測を世界で初めて発表しました。東京大学では、健康状態や学歴が年々向上している近年の高齢者データをもとにして、健康・機能状態の毎年の変化を推計して、2043年まで追跡するシステムを開発しています。
これを使って60歳以上の認知症とフレイル(虚弱)の有病率と医療介護費について将来推計を行いました。その結果、認知症患者の総数は減る一方であるのに、男女格差・学歴格差が広がり、格差の影響を受ける群ではフレイルを合併して、介護費の総額が増えることが確認されています。
認知症患者は2016年では約510万人でしたが、2043年には465万人に減ると推計されています。2016年の高齢化率は27.3%、2043年には42.1%と、1.5倍以上になると予測されています。それにも関わらず、認知症患者が減るということは、よほど健康度が高まると考えられているということです。
なぜ、そのようなことになるのかというと、認知症の発症は学歴と関係性があり、大卒以上の男性では著しいことは以前から言われてきました。それが確認されたのですが、大卒未満の男性や、学歴に関係なく女性では増加することが予測されています。高卒未満では22%から25%に悪化すると推計されています。
フレイルは2014年に日本老年医学会が提唱した概念で、健康な状態と要介護状態の中間に位置する状態で、筋肉不足から身体機能の低下がみられる状態を指しています。このまま進むと要介護になる可能性が高いとされています。
学歴との関係ということでは、認知症に影響しそうな感じがしていますが、実際にはあまり関係がないということです。それに対して、フレイルのほうは学歴が関係しているということで、健康に対する考え、生活改善への取り組みが大きく影響しています。
フレイルが認知症に、どれくらい影響をするのかということについての研究と検討は、今後に期待されていることです。

