発達障害を支援する通所施設では、栄養指導を計画・実施しても、なかなか評価されることがないということがあります。栄養指導は発達障害支援の項目ではなくて、栄養指導は重要とは言いながらも後回しになりがちということもあります。
これは施設側の問題というよりも、保護者の事情が大きくて、発達障害の改善には栄養は大切だとは思っていても、子どもの世話が大変で、施設側が栄養指導の時間を作っても、その時間に来てもらえないということがあります。そのために、1回だけで終わりにした、募集段階で集まらなかったので中止にした、という例も少なくありません。
発達障害の改善には基礎的な機能トレーニングが必要で、その上に学習のための学業技能があり、それがあって初めて学習障害の改善が可能となる、との発想で学習障害の改善支援に取り組んでいますが、機能訓練の基礎となるのが栄養摂取のための指導であると考えられています。身体や脳の機能のためには、栄養が必要だという認識ですが、それだけでなくて栄養指導は生活トレーニングとしても重要であるとの認識もあります。
発達障害児の支援には、放課後等デイサービスで生活面でのサポートが行われるところもあります。職業訓練まではいかなくても、その基礎的な技能を身につけるための教育的指導が行われます。中には職業訓練をうたっている放課後等デイサービスもあり、その中に調理の実習を入れているところもあります。
家事の一環として母親の料理や食事準備の手伝いができるだけの技能を教えているのですが、これは家庭科の授業を先にやっているという内容となっています。発達段階の子どもに教えておきたいのは、技術・技能というよりも、食べ物や食べることに対する考え方を身につけることです。
なぜ料理は彩りが必要なのか、茶碗を手に持って食べる理由、親が話す栄養のバランスの意味など、食事にまつわることは数々あります。一人暮らしをしたときも、家庭を持ったときにも食事に関する技術と同時に、食事の知識も重要になります。発達障害であっても学習や仕事に励めるような基礎的な条件として食べることを重視して、生活トレーニングとして食に関わることを教える機会が重要と考えています。
保護者の方々に具体的な栄養指導を実施するための前振りの活動が、子ども達への食事指導、栄養指導であるとの認識をもっての考えです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)

