あくまでも噂話33「ラーメン屋の券売機」

以前のラーメン屋と今のラーメン屋で違ったことというと、麺やスープンの味から職人の姿かたちまで、いくつもあって、エポックメイキング(社会的に有意義なこと)としてあげられることも複数あるのですが、最も大きな変化をもたらしたのはダブルスープで有名になった方です。ダブルスープというのは魚介系と動物系のスープを合わせたもので、その有名店はサンマの煮干しと鶏ガラ・豚骨という系統の違うスープを初めて組み合わせました。
それが最も注目されているのですが、スープの工夫は多くの店でやっていることです。一番大きな変革をもたらしたのは初めて券売機を導入したことです。口に入れるものを手に触れる仕事なのに、その手でお金に触れるというのは衛生面で問題があると考えてのことですが、行列ができるくらいの大混雑で金銭のやり取りをするのは手間がかかるので、その改善のためという話が先に伝わってしまいました。
その有名店のオーナーは以前は東京・原宿のアパレルの経営者でした。私も当時は原宿の住民だったので、ご近所の関係でした。親戚の者が不動産屋も経営していて、その関係でアパレルの動向にも詳しくて、雑誌にネタを提供するということもしていたので、経営者のこともよく知っていました。
アパレルからラーメン屋に転身するというのも珍しく、アパレル出身らしく、オシャレなラーメン屋、ジャズが流れる店舗というコンセプトは目を引きました。
その有名ラーメン屋の一号店が、たまたま次に住んだ青山一丁目にあったことも、関係を深めるきっかけとなりました。
自分の店だけ流行ればよいという風潮の中で、テレビ番組でラーメン対決を仕掛けたり、ランキング番組に特徴がある店を紹介したりと、業界の盛り上げに力を注ぎました。さらには大震災があった地域にラーメン屋からホテルのシェフまでが料理で支援するという活動で名を馳せたこともあったのですが、コロナ禍を経験して、感染防止の観点から、あらゆる業界がお金に触れないようになるのに先駆けて取り組んだ、その有名店の取り組みの先見の明は、飲食店をあげての尊敬の対象にもなっています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)