発達障害サポーター55 相対的貧困率と発達障害の関わり

貧困というと、日常生活を送るにも苦しい状況を指していて、収入が少ないために食べるものも充分にないことを指すことが多くなっています。どこまでを貧困として扱うのかということはフードバンクや子ども食堂を実施している団体を悩ませることであり、生活状態を見ても食品の補助を求める人がないと思われる家庭の子どもが、もっと恵まれない子どもに届けられるべきであろうと思われる食品や料理を食べているという例も少なくありません。
具体的な収入の金額や生活レベルという絶対的な線引きによる貧困ではなくて、本人が感じている貧困に合わせて支援をする必要があるという考えもあります。発達障害では食べられないものが多くあり、ただ食べられるものがあればよいという状況ではない子どもが数多くいます。普通に考えられる食品を提供されても、それでは対応ができないことも多く、食品にかける金額が多くなるということもあります。
フードバンクなどから無償で受けた食品を食べることで、浮いた食費を他の食品の購入に充てるということは、何も贅沢をしよう、周囲の家庭よりもよいものを食べようということで行われているわけではないという実態があることを、発達障害児を地域で支援するサポーターの方々には知っておいてほしいことなのです。
「相対的貧困」という考え方があります。他の貧しい国に比べたら恵まれた食事内容であっても、それぞれの国や地域の水準と比較して、大多数よりも貧しい状態を指す言葉で、世帯所得でみると等価可処分所得の中央値の半分に満たない状態をいいます。このラインは貧困線とも呼ばれます。
日本の相対的貧困は約7人に1人(約14%)とされていますが、ひとり親家庭の相対的貧困率は50%を超えています。発達障害児の保護者は、通常の状態で働けないということも考えると、食品面での支援が必要な対象に含めるべきだといえます。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)