自信をもって商品を販売するためには、裏付けデータは重要です。特に健康に関わるもの、食品として摂るものは、安全性と有効性のデータは欠かすことができません。
有効性については、法律(医薬品医療機器法)によって表示することも口で伝えることも規制されているので、裏付けがあってもなくても、販売にはあまり変わりはないかもしれません。へたに有効性が確認されていると、それを言いたくなり、法律違反を犯すことにもなるという考えから、あえて裏付けデータを求めない会社があるのも事実です。
裏付けデータを商品販売に直接的に使うことはできなくても、憲法で保障されている表現の自由があり、販売と関係がない書籍や研究報告であれば発表することができます。といっても、商品と一緒に配布したり、商品の説明の機会に書籍などを置いておいたら、これは商品パッケージやチラシに書いているのと同じと判断されて、厳しい取り締まりの対象となります。これについては医薬品医療機器法に基づく「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」に書かれていることです。
健康食品などの販売を規制する法律は景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)、特定商取引法など複数のものがあります。この中で最も注意を要するとして講習などで説明しているのは、特定商取引法に基づく虚偽誇大広告の以下のような要件です。
(1)事実に相違する表示
充分な科学的試験結果等の根拠が存在しないにも関わらず健康保持増進効果を表示する場合や、体験談そのものや体験者、推薦者が存在しないにも関わらず体験談を捏造した場合、捏造された資料を表示した場合は虚偽誇大表示となります。
(2)人を誤認させる表示
一般消費者が認識することとなる健康保持増進効果等の印象や期待感と実際の健康保持増進効果等に相違がある場合は人を誤認させる表示となります。表示の印象、期待感と実際のものに相違があると認められれば、誤認したという結果まで必要としていません。
・特定の成分が健康保持増進効果等が得られるだけの分量を含んでいないにも関わらず、生活習慣を改善するための運動等をしなくても、摂り過ぎた栄養成分や熱量または体脂肪や老廃物質等を排出し、または燃焼させることをイメージさせる。
・健康保持増進効果等に関し、メリットとなる情報を断定的に表示しているにも関わらず、デメリットとなる情報(効果が表れない者が実際にいること、一定の条件下でなければ効果が得られにくいこと等)が表示されておらず、または著しく消費者が認識しがたい方法で表示されている。
・体験者、体験談は存在するものの、一部の都合のよい体験談のみや体験者の都合のよいコメントのみを引用するなどして、誰でも容易に同様の効果が期待できるかのような表示がされている。
・根拠となる学術データのうち、当該食品にとって不都合な箇所を捨象し、有利な箇所のみを引用する。
自分の会社にとって都合のよい結果だけを発表して、不都合なことは隠しておきたいというのは当たり前の感覚かもしれませんが、それは法律違反の要件になってしまうのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)