発達栄養30 水分の代謝のための摂取量

1日に体内に取り込まれる水分は、飲料によって約1ℓ、食べ物から約0.8ℓですが、このほかに代謝水の約0.2ℓが加わり、合計約2ℓとなっています。代謝水は細胞のミトコンドリア内で糖質、脂質、タンパク質をエネルギー源としてエネルギーが作られるときに二酸化炭素とともに作られます。発生するエネルギー量が多くなるほど、また体温が上昇するほど代謝水は増加します。
取り込まれる水に対して、排泄されるのは尿から約1ℓ、便から約0.2ℓ、汗や呼吸などの生理的に失われるのは約0.8ℓと合計約2ℓと、収支バランスが取れています。
気温が高い場合や体熱が高まったときには生理的に失われる水分が増えます。夏場には約0.5ℓの排出が増えるといわれます。最もハードな運動のフルマラソンでは1時間に約1ℓが汗として失われます。
体内では約2ℓの水分のほかに、唾液から約1ℓ、胃液から約2ℓ、胆汁や膵液、腸液から約4ℓが加わり、合計約9ℓの水分が腸内に流れ込んでいます。
水分の多くが吸収されているのは小腸の空腸と回腸で、約95%となっています。大腸からは約4%が吸収され、残りの約1%が便中に含まれて排泄されています。小腸と大腸から吸収された水分のうち余分となったものは尿として排泄されます。
腸壁から吸収された水分は、血液中に入り、血流とともに全身に送り届けられます。体内の水分(体液)の量は約60%といわれます。その内訳では、細胞内液が約40%、組織液が約15%、血液(血漿)とリンパ液が約4.5%、体腔液が約0.5%となっています。
細胞内液は細胞の中に含まれる水分のことで、細胞は水分量が一定量に保たれることによって正常な生化学反応が起こり、栄養素と酸素の取り込み、老廃物と二酸化炭素の排出が正常に行われ、代謝機能が保たれます。水分量が不足すると機能低下が起こります。細胞内の水分量はナトリウムの摂取量が増えることで増加しますが、腎機能が正常であれば余分なナトリウムは排出されます。
ここで示した体内の水分の量は成人男性の割合で、成人女性は男性に比べて全体重に占める脂肪の割合が20%ほど多いため、水分量は男性の80%ほどの量となっています。