発達栄養32 歯のバランスに合わせて食べたい食品

野菜の摂取量を日本とアメリカで比較すると、日本人のほうが多く食べているような印象があります。昭和50年代までは日本人は野菜に多く含まれる食物繊維の摂取量が多いために大腸がんは少ないものの胃粘膜を傷つけやすいために胃がんが多くなっていました。アメリカでは逆に胃がんが少なく、大腸がんが多くなっていました。
しかし、日本人では野菜の摂取量が年々減少傾向にあることに対して、アメリカ人では健康志向の高まりから増加傾向にあります。アメリカ人でも今では野菜の摂取量は減少傾向にありますが、それでも日本人よりも多いのが現状です。
人間の歯のバランスに合った食事が最もよい栄養バランスということですが、これに合致しているのは昭和30年から40年前半の日本人の食事だったといいます。平均寿命が大きく延び、生活習慣病が少ない理想的な状態だったわけです。
こういった考えから、若い世代が好んで食べている食品を見ていくと、あまり噛まないでも食べられる食品は、子どもの健康を考えると食卓にのぼる機会を減らしたほうがよい料理に多く使われています。それをわかりやすく並べたものが「オカアサンハヤスメ」という言葉です。オはオムライス、カはカレーライス、アはアイスクリーム、サンはサンドイッチ、ハはハンバーグ、ヤは焼きそば、スはスパゲッティ、メは目玉焼きを指しています。どれも、あまり噛まずに飲み込める料理ばかりです。
これに対して、身体によい食品を並べた言葉は「まごわやさしい」といいます。まは豆、ごはごま、わはワカメ、つまり海藻、やは野菜、さは魚、しはシイタケ、つまりキノコで、いはイモを指しています。噛むのに時間がかかる食品が多く、料理に手間もかかるので、子どもが小さく、忙しい家庭では使われる機会が減っています。しかし、栄養バランスを考えて、できるだけ食べる回数を増やしたい食品ばかりです。