肝臓は体重の50分の1の重量とされています。女性は男性よりも肝臓が小さく、加齢によって重量が小さくなりやすく、肝機能も低下しやすいため、女性は男性よりも早く肝障害が進みやすくなっています。女性は男性の半分の酒量でも肝硬変になる可能性があるため、少量でも習慣的に飲酒している場合には肝機能の数値に注意する必要があります。
アルコール飲料を飲まない人に起こる脂肪肝は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:nonalcoholic fatty liver disease)と呼ばれます。NAFLDの多くは、食べ過ぎや運動不足で余ったエネルギーが中性脂肪となって肝細胞に溜まった過栄養性脂肪肝で、肥満、糖尿病、脂質異常症などが原因となっています。肥満はNAFLDの大きな原因であり、BMIが25以上の肥満者では高頻度に脂肪肝がみられ、受診者の20~30%は脂肪肝があります。脂肪肝は男性に多く、30~54歳では20%以上にみられます。
女性では、男性に比べると脂肪肝は少ないものの、50歳をすぎて閉経を迎えると徐々に増加していきます。女性ホルモンには皮下脂肪をためる作用があるために中性脂肪もコレステロールも増えにくいものの、女性ホルモンが不足すると内臓脂肪がたまるようになり、肝臓にも脂肪が蓄積するようになります。
脂肪肝は太っている人だけでなく、やせている人でも脂肪肝が起こります。脂肪肝の患者のうち20%は太っていない人となっています。糖尿病が脂肪肝を起こすためであり、そのほかにも急激な体重減少、食事によるたんぱく質不足なども脂肪肝の原因になっています。急に栄養不足になると、飢餓状態へのリスク対策で、肝臓に脂肪を多く溜め込むようになります。
NAFLDでは、GPT値がGOT値よりも高く、γ‐GTP値が軽度に上昇します。γ‐GTP値が高度の上昇となっている場合にはアルコール性脂肪肝が疑われます。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)