エネルギー代謝1 やせるためのエネルギー代謝ではない

エネルギー代謝の連載を始めるにあたって、代謝の概要について触れておきます。代謝というと、一般にはエネルギー源を材料にしてエネルギーを作り出すことを指していますが、定義的にはエネルギーを作り出す「異化」と、それとは逆にエネルギーを使って物質を作り出す「同化」に分けられます。
ダイエットだけに注目すると、エネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質を使って、全身の細胞の中にあるミトコンドリアという小器官でエネルギーを作り出すことで、余分な体脂肪をエネルギー代謝によってエネルギー化することで、体脂肪が減っていきます。体脂肪は脂肪細胞の中に蓄積されている中性脂肪を指していて、内臓脂肪と皮下脂肪に大きく分けられています。
重要なのは同化のほうで、作り出したエネルギーを効果的に使うことで、全身の細胞の働きを高めて、内臓や器官などが正常に働くようにしていきます。そのためには、できるだけ多くのエネルギーを作り出すようにすることが大切で、その代謝を高める方法がメディカルダイエットです。
体脂肪を減らすのは、内臓脂肪がたまりすぎることによって起こる高血圧や糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症)を防ぐためです。内臓脂肪によって起こる不具合はメタボリックシンドローム(metabolic syndrome)と呼ばれ、内臓脂肪症候群と訳されています。しかし、正式には代謝症候群と呼ぶべきです。というのは、代謝はmetabolismと訳されているからです。
私たちが研究して講習しているエネルギー代謝はenergy metabolismとなります。エネルギー代謝を高めれば異化が進んで、エネルギーが作り出された分だけ内臓脂肪が減っていくわけですが、それで終わったら普通のダイエットです。作り出されたエネルギーを使って、同化によって身体を構成する成分を作り出すためにも必要ですが、細胞の生化学反応を進めるためにも使われます。
エネルギーは電気エネルギーとして脳や神経を正常に働かせるためにも使われます。こういったエネルギーを効果的に作り出して、健康を維持・増進させることを私たちは目指しているのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)