この連載コラムの10回目に「1歩の経済的価値」との題で、何人が何歩を歩くと、どれだけ医療費が削減できるのかについて実例を紹介しました。1歩の経済的価値を知って、多くの自治体が実施して、成果が発表されてきましたが、徐々に効果が現れにくくなっていくのは、ほとんどの自治体で見られたことです。
結果がよければ、もっと歩く歩数(距離と時間)を増やそうと考えるところですが、ただ歩数を増やせば、好結果が拡大していくとは限りません。このことは、ウォーキングによる健康づくりと医療費削減がモデル地域で始められたときから言われてきたことです。
たまたま実施している協議会の学術メンバーの4人と以前からの知り合いで、取りまとめをした大学教授とも交流があったことから、実施プランの段階で話をしてきました。モデルケースで検討課題となったのは、呼びかけに応じて参加するのは、普段から歩いている人、健康を気遣っている人であって、最も参加してほしい運動習慣がない人、健康への関心が低い人の参加率が低いことでした。
また、積極的なウォーカーは継続してくれるのに対して、あまり積極的でない人は継続率が低くて、地域の健康度を高めるためにモチベーションを高める方法が重要とされました。その高める方法は歩いた歩数、健康維持に必要なイベントなどへの参加をポイント化して、それが商品や金券になるという利益の付与でした。
これだけでは参加してほしい人が積極的になるためには不足していることがあり、それを新たな仕組みとして作ることが重要です。それは金銭的なメリットではなく、地域での活躍につながる評価や名誉に関わるメリットです。
(このことについては徐々に紹介していきます)
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕