介護予防のための支援活動というと運動と栄養が中心となっています。その対象者は高齢者ですが、コロナ禍を経験して、高齢者だけを対象にしていてよいのかという認識が高まってきています。
介護予防は、これまでは1次予防と2次予防の観点で実施されてきました。1次予防は活動的な高齢者を対象としたもので、介護状態にならないように、支援が必要な状態であっても自分でできる運動、栄養摂取のための食事に積極的に取り組むことをすすめています。
2次予防は要介護高齢者に対して、訪問型と通所型で実施されることで、要介護状態を進めないように、進んだとしても急に重度にならないようにすることです。生活習慣病があった場合でも、その改善に取り組むことは大切だと認識しつつも、介護の段階が進まないようにすることが重視されています。
運動と食事による介護予防は、身体が弱まってから始めても効果は表れにくいのが事実です。できることなら高齢者となる前から、それも65歳が近づいてからではなく、50歳を過ぎた頃から意識して、要支援、要介護にならないように取り組むべきです。
この64歳未満から始める介護予防が0次予防です。それは何歳から始めてもよいわけですが、あまりに若いと介護予防という意識も弱く、健康度を保つ活動だけで充分ということにもなります。そこで50歳が目処としてあげられています。
人口比率を見ると、2020年に50歳以上の女性が半分を超えました。高齢社会を女性が支えるというのは男女平等の観点では許されることではないはずですが、そのような状態であることは事実です。高齢者を支える立場の人が健康でなければ、介護の担い手として期待するのは大変なことです。
そのような状況から考えると、0次予防は50歳になる前から始めてもよいわけで、運動と食事に気遣うだけでなく、その重要性を知って自分と家族の健康度を高めていくことが大切になります。この教育と実践が、もう間近に迫っている「“超”超高齢社会」を乗り切るためには必要であり、個人レベルでも自治体レベルでも取り組む必要があるということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕