厚生労働省の厚生労働白書は、毎年発表される厚生労働行政年次報告です。毎回テーマを設けていますが、令和5年版では「つながり・支え合いのある地域共生社会」を掲げています。
単身世帯の増加、新型コロナウイルス感染症の影響による人々の交流の希薄化などを背景として、さまざまな課題の顕在化が指摘されています。「つながり・支え合い」の概念は、こういった課題の解決に向けて拡がりを見せていて、コロナ後の地域共生社会の実現を目指しています。
つながり・支え合いとして、属性(高齢・障害など)別から属性を問わない支援、世代や属性を超えた人が交差する居場所づくり、支援を待つ受動型から能動型の支援、住まいから始まる支援などがあげられています。
家族や地域のつながりが弱まっていることは以前から課題とされてきたことですが、3年にわたるコロナ禍の時期は、それに拍車をかけることになったのは間違いありません。
子どもの支援では“第三の居場所”として、家庭と学校以外の子どもたちの居場所の必要性が叫ばれてきました。第三の居場所は働く人(現役世代)の場合には、家庭と会社以外の交流の場は多く存在しています。
高齢者の場合には、仕事を卒業すると家庭以外の居場所がなくなることが多く、第三の居場所どころか第二の居場所をどうするのかの議論もされてきました。家庭に居続けることは、子どもや成人の“ひきこもり”とは違うところはあるものの、地域との交流不足は活動の低下にもつながり、超高齢社会で大きな問題となっている認知症の増加、フレイルの増加にもつながっています。
超高齢社会といっても、その基準となる高齢化率は65歳以上人口が21%を指していて、岡山県の高齢化率は30.6%にもなっています。全国の高齢化率の29.0%を上回っています。
高齢者になる前の段階からの健康対策としての第三の居場所づくりに本気で取り組む時期になっていると考えられているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕