「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、食事調査を説明しています。
食事摂取状況に関する調査方法には、陰膳方、食事記録法、24時間食事思い出し法、食物摂取頻度法、食事歴法、生体指標の活用などがあります。
それぞれの特徴によって長所と短所があることに留意して、食事調査を行う場合は、その目的や状況に合わせて適宜選択する必要があります。
食事摂取基準は、習慣的な摂取量の基準を示したものであることから、その活用における食事調査では、習慣的な摂取量の推定が可能な調査法を選択する必要があります。
長期間の平均的な摂取量を個人レベルで評価するためには、実施負担や精度管理上の課題が存在します。
こうしたことに留意して、食事摂取基準の活用場面での目的や状況を考慮すると、習慣的な摂取量の推定に適した食事調査法として、食物摂取頻度法と食事歴法があげられます。
しかし、これらの調査法は、食べたものをそのままデータ化する方法ではないため、その信頼度(妥当性と再現性)について検証する必要があり、信頼度に関する研究が論文化されており、国際的にも認められているものを使用することが望ましいとされます。
また、食事調査では摂取量の推定精度が低い栄養素があり、そうした場合には、血液や尿などの生体指標を用いて推定する方法を用いることも考慮する必要があります。
ところで、近年、食事(料理)の写真を撮影して、その情報を用いて食品の種類と量(摂取量)を推定し、栄養計算に用いる方法も利用されるようになっています。
しかし、画像認識能力などは開発段階であり、撮影もれの問題や、そもそも習慣的摂取量を把握する方法ではないなどの問題があり、その利用には慎重さが望まれます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕