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毛髪の状態は栄養に大きく影響されます。毛髪に影響を与えるものとして以前は黒い色の海藻がよいなどと、ほとんど迷信のようなことも言われてきましたが、今では科学的な研究が進んで、効果がある栄養素が明らかにされてきています。中でも重要になるのが良質なたんぱく質と特定のミネラルです。

薄くなっている部分は栄養の状態のほかにも血流やホルモンの影響などを受けて、濃さが違っていることが多くなっています。濃さというのは毛髪の本数と毛髪の太さのことです。本数は抜け毛の数やヘアサイクルによる成長速度によって変わってきます。ヘアサイクルが乱れると、抜けたあとの補充が間に合わなくなり、だんだん本数が減っていきます。

ヘアサイクルのリズムが正常であっても、栄養素が不足していると太くなりきる前に成長が止まることになり、毛髪が細くなって、これが薄毛の原因にもなっていきます。

良質なたんぱく質というのは、必須アミノ酸のバランスがよい食品を指しています。アミノ酸はたんぱく質を構成する成分で、体内では合成されないために食事から必ず摂らなければならない9種類は必須アミノ酸と呼ばれます。これ以外の11種類は非必須アミノ酸と呼ばれます。

必須アミノ酸が一つでも必要量に達していないと、たんぱく質としての栄養評価が下がります。該当するものとしては肉類、魚類、豆類、卵類、乳製品があげられます。

これらの食品は毎日食べるようにします。できれば2食以上食べるようにしたいのですが、若い男性では30%ほどが朝食を抜いているという調査結果もあります。女性でもダイエットのために食事の量を減らしているために、良質なたんぱく質が不足していることもあります。必須アミノ酸が含まれている食事ならよいわけではなくて、必要な量が摂れていることが大切になるのです。

ミネラルの中で特に重要となるのは亜鉛とマグネシウムです。まず、亜鉛について説明すると、亜鉛は毛髪の主成分であるケラチンの成長を促す重要なミネラルです。割合としては毛髪の80〜90%がたんぱく質で、そのうちの90%をケラチンが占めています。

亜鉛は栄養素の代謝や生命活動などに関わる化学反応に携わるミネラルです。200種類以上の酵素の構成成分であり、体内では皮膚、毛髪、肝臓、腎臓、睾丸、舌の味蕾などの新陳代謝が盛んな細胞に多く含まれています。

不足すると新陳代謝の低下から脱毛、爪の異常、皮膚炎、味覚異常などが現れやすくなります。男性の場合には精液欠乏症や勃起不全、女性の場合には胎児の成長不良が起こりやすくなるという報告もあります。

食品では、カキ、牛肉、豚肉、鶏肉、鶏卵(特に卵黄)、ナッツ類に多く含まれています。その多くは良質なたんぱく質とも一致しています。

亜鉛には5αリダクターゼの働きを抑制する効果もあります。5αリダクターゼは体内にある還元酵素の一種で、男性ホルモンのテストステロンと結合して男性型脱毛症(AGA)を発生させるDHT(ジヒドロテストステロン)を生成することが知られています。これを予防するにはDHTを生成させないことが重要で、それに亜鉛が役立つということです。

もう一つのミネラルのマグネシウムは多量元素のミネラルで、体内では60~65%は骨に含まれ、残りは肝臓、筋肉、血液などのタンパク質と結合して存在しています。

300種類以上の酵素に作用する補酵素であり、筋肉の収縮、神経の興奮抑制、血管拡張による血圧降下などの作用があります。食品では、ひじきやわかめ、アーモンド、ピーナッツ、大豆などに多く含まれます。

体内には3000種類以上の酵素がありますが、どの酵素も補酵素がなければ働くことができません。マグシウムは300種類の酵素の補酵素となっていて、全身の細胞の成長にも影響しています。頭皮も毛髪も影響を受けているので、マグネシウムが多く含まれる食品も摂るようにします。

その食品の中には、ひじきやわかめも含まれています。毛髪によいとされてきた海藻があるわけで、海藻の黒い色や濃い毛髪を想像させる形などではなくて、マグネシウムの効果で毛髪が元気な状態になっていたことが別の形で効果として伝えられたのかもしれません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

毛髪が薄いというと、本数が減っているように思われがちですが、実際には本数の減少ではなくて、毛髪が細くなっているのが大きな原因となっている人が少なくありません。細くなっていると少し抜け毛が増えても薄くなったように感じます。これが気になり、ストレスになって抜け毛が進むという悪循環になる場合も多いのです。

男性と女性の薄毛の状態を比較すると、女性は本数が減っていて、男性は本数よりも毛髪が細くなっているという傾向があることを確認したのは資生堂で、初めに男性の薄毛の調査を行って、「男性の薄毛は本数減ではなく、髪が細くなることに起因している」と発表しています。

それに続いて、女性の薄毛の調査を行い、「女性の薄毛は髪が細くなるのではなく、本数の減少が大きな要因となっている」と、男性とは異なる原因であることを突き止めて発表しています。

毛髪の太さ(直径)は、平均で0.08mmとされ、これは男女ともに変わりはありません。一般的なイメージでは男性のほうが太いようなイメージがあるのですが、太さに差はなかったのです。

といっても、これは平均的な数字で、太い人では0.15mmと2倍近くも違っていることになります。直径が2倍近く違えば、全体の量の違いは、もっと大きくなっていくので、太さの問題は見た目に、かなりの影響を与えることになります。

女性は年齢が進んでも細くなりにくいのに対して、男性のほうが年齢が進むほど細くなっていく傾向があって、これが年齢が進むと薄毛になっていくことに大きな影響を与えているようです。

日本人の毛髪の太さを欧米人と比べてみると、欧米人は0.05mmであるので、日本人は平均的には1.5倍も太くなっています。そのために細くなっていったときに、太いままの人と比べて薄くなったように見えるということです。

毛髪が細くなると、量だけの問題ではなくて、ハリやコシも弱くなっていきます。いわゆるボリューム感がなくなっていくので、本数や太さの影響だけでなく、より薄く見えるようになっていきます。ボリューム感がないとペタンとした状態になって、地肌が見えやすくなるので、ますます薄毛に見えるようになります。

いわゆる髪質が柔らかいという状態で、髪型やヘアセットで薄さが目立たないようにしても、長続きしないという特徴があります。

これに対して毛髪が太い人の場合には、1本ずつがしっかりとしていて弾力性があり、ハリとコシがあって、髪型にしてもヘアセットにしてもボリュームが出やすくなっています。一般には毛髪が太い人は直毛になりやすいのですが、中には断面が丸形ではなくて、楕円形になっている人もいます。丸形は弾力性があるのに対して、楕円形では横からの圧力によって曲がりやすく、ヘアセットが長続きしないために、より薄毛に見えることになります。

男性は本数よりも細さが薄毛の原因ということは、脱毛が多いわけではない人の場合には、薄毛になりにくい、薄毛になる時期を先延ばしすることができるということになります。薄毛であれば、必ずしも薄毛が進行する、いわゆるハゲになるわけではないということです。

男性の薄毛の原因が毛髪の細さだということがわかったところで、では、どのようにすれば薄くならないようにできるのか、ということが気になってきます。

毛髪はヘアサイクルを繰り返していて、正常なサイクルが保たれていれば、抜けた後から同じ太さの毛髪が生えてくるのが通常の形です。

ヘアサイクルが正常なリズムで繰り返されていても、前よりも太い毛髪が生えてくるわけではなくて、現在の状態が保たれるのが原則です。ただし、年齢を重ねていくと細くなっていくことはあるので、ヘアサイクルを保ちながら本数を減らさないようにするのが薄毛対策としては重要になります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

薄毛対策をうたったサプリメントは数多くの種類が販売されています。その中でも注目されているのは毛髪を構成するたんぱく質のケラチンで、ケラチンを配合するものと、体内でケラチンに合成されるアミノ酸を摂ることをすすめています。

ケラチンを摂っても、胃液でアミノ酸に分解されて、体内に吸収されてから肝臓で体内で必要なたんぱく質に合成されていきます。もとはケラチンだったアミノ酸がケラチンになるとは限りません。これはアミノ酸を摂っても同じことなので、その効果には疑問も抱かれています。

毛髪の成分を摂ることと同時に、体内でアミノ酸からケラチンを合成するのに欠かせないミネラルを摂ることがすすめられるようになっています。そのミネラルは、亜鉛やマグネシウムです。

亜鉛もマグネシウムも体内の酵素を働かせるために欠かせない補酵素の役割をしているのですが、亜鉛は約200種類の酵素の補酵素、マグネシウムは約300種類の酵素の補酵素となっています。

亜鉛もマグネシウムも全身の細胞の酵素を正常に働かせるために必要なもので、何も毛髪のためだけではないのですが、不足するようも足りているほうが、摂らないよりも摂ったほうがよいのは当たり前のことです。

亜鉛もマグネシウムもサプリメントの多くに使われています。これさえ摂っておけば大丈夫と考えたいところでしょうが、毛髪の成分であり、頭皮の成分でもあるたんぱく質を作り出すアミノ酸も摂ることが大切です。

身体のたんぱく質を構成するアミノ酸は20種類ありますが、そのうち体内では合成されないために食品から摂らなければならないアミノ酸は9種類あります。これは必須アミノ酸と呼ばれています。必須アミノ酸は“良質なたんぱく質”と呼ばれている肉、魚、卵、牛乳・乳製品、大豆・大豆製品に豊富に含まれています。

食事で不足する場合にはサプリメントの出番となるわけですが、必須アミノ酸もミネラルもビタミンも豊富に、バランスよく含まれているサプリメントは通常は価格が高いものが多くなっています。ところが、内容的には優れているのに比較的安いものがあります。それはビール酵母です。

ビール酵母は消化不良の改善や整腸効果に使われることが多いものの、ある有名な会社のビール酵母の内容を見ると、9種類のビタミン、9種類のミネラル、18種類のアミノ酸が含まれていて、必須アミノ酸は9種類全部が含まれていると書かれています。

ミネラルのうち補酵素となって酵素の働きを高めてくれるのは、亜鉛とマグネシウムのほかにも、鉄、銅、マンガン、セレンがあげられます。これらはすべてビール酵母に含まれています。

ビール酵母は、その名のとおりビールを発酵させるために使われている酵母で、ビールを醸造したあとに残ったものです。

そのまま活用しなければ捨ててしまうかもしれないものを有効に活用したもので、推奨量の1日30粒でも1か月で1500円もしません。これほど安く販売できるのは、ビールの製造法に秘密があります。

ビールは熱処理をしたビールと熱処理をしない生ビールとあります。飲食店でサーバーから注ぐ業務用の生ビールはビール酵母が生きた状態で残っていて、発酵が続いているので、頑丈なアルミ製の樽に入れて破裂しないようにされています。

ビンや缶に入った生ビールも破裂しないのですが、それには理由があります。ビンと缶の生ビールは最終段階でビール酵母が取り除かれています。それなのに加熱していないということで生ビールとして販売されています。

このような生ビールを多く製造するほど、取り除かれたビール酵母も多く作られます。ビール製造会社の系列でビール酵母を販売するだけでなく、原材料として他の会社にも販売されています。生ビールが売れるほど、ビール酵母も多く作られるので、安く提供できるというわけです。

サプリメントは、食品と同じ扱いなので、いつ摂ってもよいと一般には言われています。しかし、成分によっては食後に摂らなければ吸収されない成分がある一方で、空腹時に摂らなければならない成分もあります。それを表示しておいてもらわないと、効果がない摂り方をしてしまうことになります。

ところが、いつ摂るのか、どれくらい摂るのかについて表示をしていいのは医薬品だけで、サプリメント・健康食品を含む食品には表示することが法律(医療機器等の品質、有効性及び完全性の確保等に関する法律)で規制されています。

摂取タイミングがわからないのでは無駄づかいにもなりかねませんが、ビール酵母に含まれている成分は食事と同じタイミングで摂って効果があるので、わかりやすいサプリメントだということができます。そして、元気な毛髪のために、摂り続けたいサプリメントだということもわかります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

育毛剤と発毛剤は違うものなのに、混同されがちで、効果が得られない使い方がされているだけでなくて、せっかくの効果を活かせないということにもなっています。

育毛剤は医薬部外品の扱いで、頭皮の血行をよくしたり、頭皮に必要な栄養を与えることで、健康的な毛髪を育てる目的で使われます。

そこから育毛という名称がつけられていますが、発毛サイクルを整えることで抜け毛を予防する効果が期待されていて、要は現状の維持を目指しています。

それに対して発毛剤は第1類医薬品で、薄毛の治療用という目的が明らかにされています。育毛剤は使用する対象者に特に定めはないのですが、発毛剤はAGA(男性型脱毛症)の人のためのもので、薄毛の状態を治療するためのものです。薄毛になった人の毛髪を生やし、増やすことを目指して開発されています。

AGAでは毛髪を作り出す毛包と呼ばれる毛母細胞の働きが低下していることから、毛包を活性化させることが必要で、低下の原因となっている男性ホルモンDHT(ジヒドロテストステロン)の作用に対抗できるように成分も内容量も決められています。男性ホルモンと5αリダクターゼ酵素が結びつくことでDHTが生成されます。

このように目的が違っていることから、使用されている成分も違っています。育毛剤では発毛促進成分、頭皮環境改善成分、抜け毛防止成分が使われます。発毛促進成分はセンブリエキス、ニンジンエキス、パントテニルエチルエーテル、ペンタデカン酸グリセリド、アデノシンなどです。

頭皮環境改善成分は炎症や雑菌の繁殖を抑えるもので、クジンエキス、セファランチン、ジフェンヒドラミン塩酸塩、グリチルリチン酸ジカリウム、サイトプリン、イソプロピルメチルフェノールがあげられます。抜け毛防止成分はt-フラバノン、エチニルエストラジオールなどです。

発毛剤に使われるのは発毛促進成分で、代表的なものはミノキシジル(発毛作用、血流促進)です。そのほかにもデュタステリド、フィナステリド、プロペシアがあり、どれもDHT抑制、抜け毛防止作用が認められています。

育毛剤で効果が得られるのなら、いつまで使ってもよいことにはなるのですが、薄毛に悩んでいる人の場合には、3〜6か月を目処にする例が多くなっています。発毛サイクルのうちの休止期から成長期に移行する期間は3か月以上であるので、長く見積もって6か月とされています。

この期間を過ぎても効果が認められない場合には、次の段階の発毛剤の出番となります。発毛剤は医薬品であるといっても、残念ながら誰にも同じような効果があるというものではありません。

一般的には使用を始めてから2か月ほどで効果が現れ始めて、つまり発毛が見られるようになり、4〜8か月で新たな毛髪が確認できるようになります。そして、1年から1年半で安定的に生えてくるとされています。

育毛剤にも発毛剤にも効果があるのだったら、同時に2つを使えば薄毛改善の効果が2倍になるのではないか、と考える人もいます。そういったことを期待する気持ちはわからないではないのですが、育毛剤も発毛剤も、それ一つだけで効果が得られるように成分や使用量が決められています。

一定量を超えて使っても、使った割の効果が上がらないということがあるわけで、育毛剤と発毛剤を同時に使っても、二重の効果が得られるわけではないのです。

それどころか、一つの製品で効果が得られるように成分の種類とバランスが決められているので、組み合わせて使ったことでバランスが崩れて、かえってマイナスになることにもなります。

マイナスというのは、他の成分のために有効性が妨げられたり、十分に吸収ができなくなることを指していますが、さらに進んで頭皮のかゆみやかぶれ、赤み、フケなどの頭皮トラブルが起こることにもなります。

医薬品である発毛剤には少なからず副作用もあり、育毛剤と一緒に使うことで頭痛や動悸、めまいなどが起こることもあります。その副作用のリスクが2倍になるかもしれないということを考えると、同時に使うことは決してすすめられることではありません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

薄毛に影響を与えることとして、頭皮の血流の低下、男性ホルモン、栄養不足など、いろいろな原因があげられていますが、よくない条件に、もう一つの悪条件が重なると、それをきっかけにして薄毛が進んでいくことになります。そのきっかけとして、これからの季節に注意しなければならないのは紫外線の影響です。

紫外線の影響を最も強く受けるのは夏場で、その影響によって抜け毛が増えるのは夏の終わりと秋口です。気づくきっかけとなるのは洗髪後の排水口の毛髪の本数や、起床時の枕カバーの毛髪の本数です。

そのために夏場の紫外線がよくないと認識する人が多くて、夏場の外出には帽子をかぶる、強い日差しを避けるという対策をする人も多くなっています。ところが、実際に頭皮にダメージを与えているのは夏場だけではありません。

紫外線の影響を受けているときには、なかなか気づかないのですが、あとあとになってから「そういえば、あのとき」と思い出すことが多いのは春の日差しです。

春の日差しの対策をしておかないと、薄毛が目立ちやすい頭頂部や前頭部だけでなく、自毛植毛をするときに重要となる側頭部、後頭部などの元気な毛髪も影響を受けることになります。

紫外線の強さは同じ日本の中であっても地域によって異なっています。しかし、いつ紫外線が強くなるかという傾向は全国的に共通していて、7月、8月が最も強くなっています。近年の天候の変化もあって、5月にも6月にも以前に比べて紫外線が強くなっています。そして、4月の紫外線は、まだまだ暑い9月の紫外線と変わらないほどの量になっています。

もう一つ紫外線の量で注意しなければならないのは、紫外線の種類の違いです。地上まで届く紫外線にはUV−AとUV−Bがあります。紫外線が多い日差しを浴びることで肌が焼けるのはUV−Bによるもので、こちらは変化が目で見てわかるので、その影響も想像しやすいところがあります。

それに対してUV−Aは、浸透性の紫外線で、波長が長いことから表面ではなくて、肌の奥にまで届きます。紫外線を浴びることによって大きなシワができるのはUV−Aの影響です。

頭皮は毛髪の重要な土台で、表面は洗髪などでもケアしやすいものの、深部のケアというのは、なかなか難しくなっています。そのケアしにくい深部にダメージを与えるのがUV−Aであるので、その量が多くなる時期は気になるところです。

季節による紫外線の量は、UV−AとUV−Bを合わせたもので、頭皮に悪影響を与えるUV−Aの量が多くなる季節は、一般に言われている紫外線が強くなる4〜8月とほぼ一致しています。

しかし、実際のUV−Aの量を詳しく見ていくと、5月の量は7月の量と同じくらいとなっています。5月には真夏と同じだけの紫外線防止を行っておかないと、頭皮のダメージが薄毛に結びつきかねないということです。

紫外線を防止するためには帽子をかぶるか日傘を使うという選択が普通ですが、UV−Aは繊維を通り抜けます。夏場の帽子は通気性をよくするための繊維の目が粗いものが選ばれがちですが、目が粗いほど紫外線が通過しやすくなります。

紫外線を防止することができるタイプの帽子も日傘も、遮光率が表示されています。遮光率が最も高いのは「遮光1級」で、99.99%がカットできます。遮光1級の中でも100%のカットを誇っているものもあって、これは完全遮光1級と表示されています。

遮光2級は遮光率が99.80〜99.99%未満、遮光2級は遮光率が99.40〜99.80%未満で、実際には大きな差はありません。

頭皮の健康を保つことを考えるなら、遮光率にこだわることなく、遮光の効果があるものなら大丈夫だといえます。近くに出るだけで、短時間だから、日光が出ていないからと安心するのではなく、できる限り遮光はするべきです。

というのは、紫外線の量は薄曇りでは80〜90%、曇りでは60%、雨でも30%ほどはあるので、紫外線が強い季節には安心することはできないのです。

紫外線が、どのように毛髪に影響を与えているのかというと、皮脂の酸化です。紫外線を浴びると活性酸素が発生します。活性酸素は酸素のプラスとマイナスの電子のバランスが崩れたもので、欠けている電子を奪うことで正常な酸素に戻っていきます。

電子を奪われることが酸化で、酸化すると粘度が高まります。頭皮の皮脂が酸化すると、毛穴から皮脂が取れにくくなり、頭皮の血流も低下しやすくなります。

紫外線で酸化するのは皮脂だけではなくて、細胞も酸化します。細胞は電子を奪われると破壊されてしまいます。破壊が続くと細胞の新陳代謝が進みにくくなり、傷みやすくなってしまいます。

頭皮が傷んで、皮脂も酸化したのでは、毛髪のダメージが大きくなるので、春から秋まで紫外線対策は欠かせないことになります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

寝る前のタイミングで洗髪をすることは“夜シャン”と呼ばれます。もともとはなかった言葉で、寝起きにシャンプーをする“朝シャン”に対して、一般的な入浴して洗髪もするタイミングを区別するために“夜シャン”という呼び名が使われるようになりました。

朝シャンをする人の割合は調査によって差はあるものの、15%前後になっています。わざわざ朝シャンをするのは、寝る前に洗髪すると乾かすのに時間がかかって寝る時間が短くなる、寝癖を直す手間を省ける、清潔な髪で外出したいといった理由があげられます。

毛髪の成育のことを考えて、頭皮の皮質をよるだけでなくて、朝にも取り除いて清潔にしておこうという人もいるようですが、洗いすぎると頭皮も毛髪も脂肪が取り除かれすぎて、かえって傷みやすくなるというマイナス面が指摘されます。頭皮が多すぎる人以外は、就寝前か起床してからの、どちらかにしておいたほうがよさそうです。

毛髪の研究が進むにつれて、朝シャンよりも夜シャンのほうが毛髪のためによいことだと説明されるようになってきました。それは成長ホルモンとの関わりです。

毛髪の毛母細胞は成長ホルモンの影響を受けて増殖しています。毛髪は成長期、退行期、休止期を経て脱毛するというヘアサイクルとなっています。ヘアサイクルの4〜6年の期間のうち退行期は2〜3週間、休止期は数か月ということから、多くの期間は成長期となっています。成長ホルモンの影響を受けているのは、成長期だけです。

成長ホルモンは全身の細胞の成長や新陳代謝に働きかけていますが、毛髪の場合にはIGF–1(インスリン様成長因子1)を分泌させて、毛母細胞を活性化させています。

成長ホルモンは20歳をピークに、年齢を重ねるにつれて分泌量が減っていきます。成長ホルモンは身体の発育期には、その名のとおり成長をさせるホルモンとなっていますが、成人の場合には成長よりも新陳代謝と疲労回復のためのホルモンとなっています。ただし、毛髪の場合には40代までは分泌量は保たれています。

それでも30代で薄毛となってしまう人が多いのは、成長が盛んなときには、毛髪にダメージを与える要因があっても、それを超えるくらいの成長があるからです。ところが、成長ホルモンの量が徐々に減ってくるとダメージを受けやすくなり、これが薄毛を進める原因ともなります。

成長ホルモンの分泌量が減ってきても、それをカバーするための方法があります。それは睡眠時間の確保と熟睡です。成長ホルモンの分泌量は、身体の成長期には1日を通じて多いのですが、20歳を過ぎると多く分泌される時間が決まってきます。多く分泌されるのは運動後の時間と、就寝中です。

毛髪の健康のために運動を習慣にすればよいと言われても、そのための時間を自由に作れる人は少ないはずです。それに比べると寝るこことは誰もが毎日行っていることです。ただ睡眠時間を確保すればよいということではなくて、寝るタイミングと睡眠の質が大切になります。

就寝中に成長ホルモンが多く分泌される時間は22時から2時までの4時間とされています。その中でも分泌量が多いのは深夜の0〜2時ですが、この時間に寝ているだけではなくて、もう一つ条件があります。それが熟睡で、0〜2時に熟睡しているためには少なくとも1時には就寝することがすすめられます。

睡眠のリズムは個人差があるものの、90分のサイクルが基本となっています。45分をかけて睡眠が深くなり、45分をかけて浅くなっていきます。熟睡しているのは、このうちの半分ほどで、寝ついてから20〜25分はかかります。

布団に入ってから、すぐに就寝に入れればよいものの、寝つくまでに時間がかかる人の場合には、余裕をみて熟睡する時間の1時間前には布団に入ることが求められるというわけです。

成長ホルモンが分泌されていても、頭皮の毛穴の中に皮脂が詰まった状態では毛母細胞の成長が妨げられることになります。皮脂は毛穴の中にある皮脂腺から分泌されていて、これは頭皮に出ることによって皮脂膜が作られます。この皮脂膜によって頭皮が守られているわけです。

ところが、皮脂が多く分泌されて酸化すると角質とともに固くなって角栓となります。これが毛穴を詰まらせる原因となっています。角栓が毛穴を圧迫して、毛母細胞を刺激したり、血流を低下させることが毛髪の成長に影響を与えています。

このような状態を解消して、寝ている間に毛母細胞がストレスレスの状態で成長できるようにするために夜の洗髪がすすめられるのです。

夜シャンのもう一つのメリットは、頭皮の血流の促進です。血管をゆるめて血流をよくするのは、自律神経の副交感神経の働きです。副交感神経にはリラックス作用があり、夕方以降は副交感神経の働きが盛んになり、興奮作用のある交感神経の働きが抑えられるようになります。

夜に洗髪をすることは、お湯によって頭皮の血流がよくなり、また洗髪のマッサージ効果も得られます。洗髪のときだけでなく、その前後にゆっくりと入浴することで、全身の血流が盛んになります。

入浴温度が38〜40℃のときに副交感神経の働きが盛んになり、42℃を超えると交感神経の働きが盛んになります。できるだけ副交感神経の働きがよい状態で、長めに入浴することも毛髪の成長にはよいということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

“体質”というのは便利な用語で、身体について何か困ったこと、解明されないことがあったときには、体質のせいにしてスルーされることがあります。

これは薄毛の対応についても言えることで、薄毛の原因とされる頭皮の血流低下や毛髪の太さ、伸びの早さなどは、食事や睡眠時間、頭皮ケアなど同じ生活をしていても同じ結果ということはありません。

努力の成果が現れやすい人もいれば、そうではない人もいるわけで、その原因を科学的に解明することなしに、単純に「体質のせいですね」と片付けられることがあります。

体質は、遺伝的素因と環境的素因の相互作用によって形成される、生まれながらの性質だとされています。遺伝の影響が大きいのですが、環境的な影響が長く続くことによって、それが遺伝に影響を与えることもあります。例えば、寒いところで代々暮らしてきた民族は身体が温まりやすいようにエネルギー代謝が盛んになり、温かな血液が早く全身の血管に送られてくるようになることから、末端の頭皮の血流もよくなっています。

 このことからすると、寒い地域のヨーロッッパ北部などは薄毛が少ない傾向にあるのかというと、“西高東低”の状況となっています。気圧配置のことではなくて、西側のヨーロッパは薄毛傾向が高くて、次がアメリカ大陸、アジアは低い傾向があるのです。

薄毛の割合は、調査によっても違いはあるものの、イギリス、フランス、ドイツは39〜41%で、アメリカは39%となっています。アジアは中国が19%、韓国が22%となっていますが、日本は27%です。

今の中国人の多くは北方民族の子孫で、韓国は寒い地域なのに、それに比べると暖かい日本で薄毛率が高いというのは、環境だけでなく遺伝が影響しているという一つの証拠ともいえます。

薄毛の原因というとAGA(男性型脱毛症)の要因となっている男性ホルモンの量が指摘されます。男性ホルモンは全体的な体毛の成長は進めるものの、毛髪に対してだけは逆の作用をしています。

つまり、体毛が濃い人ほど毛髪が薄くなる傾向があるということで、体毛と毛髪では生えてくるメカニズムが少し違っています。体毛は男性ホルモンの分泌量が増えることによって単純に成長が早まり、濃くなっていきます。それに対して毛髪は男性ホルモンによって成長が抑えられます。

AGAによる薄毛に関係する男性ホルモンはDHT(ジヒドロテストステロン)で、テストステロンと5αリダクターゼという還元酵素が結合するとDHTとなります。DHTによって脱毛因子のTGT–βは増加して、毛母細胞の毛乳頭細胞にシグナルが出されます。

そのシグナルというのは毛髪サイクルの退行期を進めるためのもので、これによって太い毛髪に成長していく前に抜け毛が増えていくという仕組みになっています。

5αリダクターゼの活性度は遺伝の影響を受けやすくて、父親や祖父が薄毛であった場合だけではなくて、母方の家族が薄毛であったときにも活性度が高くなる可能性があります。この遺伝は女性も受け継いでいるのですが、女性は男性ホルモンが少ないことから薄毛の特性が現れにくくなっています。

薄毛でなかったといっても遺伝によって薄毛体質は受け継いでいるので、その子どもや孫である自分が薄毛の体質が受け継いでいるということはあるのです。

以前のように兄弟姉妹が多ければ、母親の兄弟、祖母の兄弟の毛髪の状態を見て、遺伝を感じることもできたのですが、今のように兄弟姉妹が少なく、一人っ子同士の結婚が多くなっている時代には、急に自分だけが薄毛になって驚かされることもあります。

遺伝というのは必ず子孫に影響を与えるとは限らないもので、薄毛の体質を受け継いだ両親の子どもだといっても薄毛にならないこともあります。できることなら、それを願いたいところですが、そうなると気になってくるのは発現率です。

AGAではDHTが脱毛因子のTGT–βを増やしていくわけですが、そのときには関係しているのが男性ホルモンレセプターという受容体です。男性ホルモンレセプターは男性ホルモンに反応するのですが、感受性の強さは母方の遺伝が大きく関係していると指摘されています。

薄毛に関わる遺伝情報はX染色体が引き継いでいます。染色体は男性がXY、女性がXXとなっています。男性は父親からY染色体、母親からX染色体を引き継いでいます。そのために母親の親戚の男性の毛髪の状態は気にして観察して、リスクが高そうであれば頭皮ケアは積極的に行うべきだということがわかります。

自分の子どもに薄毛の体質を受け継がさないようにするためには、妻の親戚もしくは妻となる候補の女性の親戚の毛髪の状態を気にすべきということになります。

では、女性の親戚の毛髪の状態だけをチェックすればよいのかというと、5αリダクターゼの活性度は男性でも引き継がれるので、そちらのチェックも必要になります。

とはいえ、薄毛の確率としては母方の祖父が薄毛の場合には75%、母方の祖父と曽祖父が薄毛であった場合には90%の発現率だとされています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

頭皮の状態は薄毛に影響するということは以前から言われてきました。中でも頭皮の皮脂腺の中に皮脂が多くなると血流を低下させて、毛髪の生育を妨げるということで、そのケアとして頭皮マッサージ、スカルプ(頭皮)ケアなどへの関心が高まっています。

頭皮の皮脂については、これまでにも複数の研究機関で行われてきましたが、大正製薬から注目に値する研究発表がありました。

それは明治薬科大学との共同で、男性型脱毛症のAGA患者の頭皮の皮脂成分と薄毛の関係について研究した成果で、AGA患者の頭皮にはトリグリセリド、アクネ菌、マラセチア菌が多く存在することを発見したというものです。

その結果から、頭皮ケアに何をすればよいかを判断しようということです。

トリグリセリド(triglyceride)は中性脂肪のことで、よく知られているのは血液中の中性脂肪です。中性脂肪は動物性の食品に含まれている脂肪のことで、脂肪の最小単位の脂肪酸が3個つながった形をしています。グリセリドという脂肪が結びつけているので、ギリシャ語で3を表すトリ(tri)と組み合わせ、トリグリセリドと名付けられました。

これを和訳したのが中性脂肪で、酸性とアルカリ性の強さを表すpHの中性とは関係がありません。

肉を多く食べると血液がドロドロになると言われるのは、粘度が高い中性脂肪が多くなった結果ですが、頭皮の奥には毛細血管が多く張り巡らされていて、中性脂肪が多くなると血流が低下するだけでなく、毛細血管を通して頭皮に運ばれる中性脂肪の量も増えていきます。

この中性脂肪が皮脂の元となり、皮脂腺を詰まらせる原因となることから、血液中の中性脂肪の状態には気をつけたいものです。

アクネ菌は皮脂が多いところで生息している細菌で、ニキビの原因とされている皮膚に多くある細菌です。マラセチア菌は皮膚の炎症やアトピー性皮膚炎に原因になったり、状態を悪化させる真菌です。真菌というのは核を持つ微生物のことで、人間の細胞とも同じ形ですが、一般にはカビ菌のことを指しています。

頭皮の皮脂腺の皮脂の詰まりは脂肪が増えるだけでなく、細菌のアクネ菌や真菌のマラセチア菌が増えることによって起こっていくのですが、アクネ菌とマラセチア菌は皮脂を栄養源としているので、皮脂を取り除く皮脂ケアが重要な薄毛対策となっています。

この皮脂とアクネ菌、マラセチア菌との関係を見ていく前に、AGA(Androgenetic Alopecia)について再確認をしておくと、思春期から始まって、徐々に進行していく男性型脱毛症です。通常のヘアサイクルでは成長期、退行期、休止期を一定の間隔で繰り返していますが、AGAになると成長期が短くなって、休止期が長くなります。

休止期の毛包(毛を産生する毛母細胞を包んでいる部分)が増えることによって、頭頂部の毛髪が軟化して、細く、短くなっていきます。その結果として毛髪が頭皮から見えにくくなっていきます。

日本人のAGAの発症率は全体では30%ほどとされていますが、年代別に見ると20代で約10%、30代で約20%、40代で約30%、50代以降では40%を超えるとされていて、加齢とともに進んでいくことが明らかにされています。

AGAは遺伝的な要因が大きいとされていますが、細菌では遺伝以外の要因も注目されるようになっています。遺伝以外であれば自分の工夫と努力によって、AGAの度合いを抑えることもできるということです。

大正製薬が遺伝以外の要因として着目したのは頭皮環境で、AGA群(55人)と非AGA群(63人)に分けて、日本人男性118人の頭皮の皮脂、細菌、真菌を分析しています。その結果、皮脂ではトリグリセリドの割合がAGA群は非AGA群よりも多いことが確認されました。トリグリセリドは非AGA群でも多いのですが、AGA群では半分ほどにもなっていました。

アクネ菌はAGA群では複数の細菌の中では半分以上になり、マラセチア菌はAGA群では複数の真菌の60%を超えていました。

このことから、トリグリセリド、アクネ菌、マラセチア菌の量がAGAに影響を与えていることが明らかになり、AGA対策としての頭皮ケアには、これらを減らすことが有効であることもわかってきました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

運動をしたくない人が言い訳として口にすることに「薄毛になるから」「ハゲるから」ということがあります。運動をすると筋肉がついて、余計な脂肪が減り、生活習慣病の予防にもつながるというメリットはあるものの、薄毛やハゲになりたくないからと運動をしたがらない人もいます。

これは単に運動嫌い、体を動かすのが面倒というのではなくて、迷信のように言われている「筋トレはハゲる」というのが関係しているようです。

筋肉は男性ホルモンとの関係が強くて、男性ホルモンが多く分泌されることによって筋肉が増えていきます。男性が女性に比べて筋肉量が多いのは男性ホルモンの違いによるものです。筋肉運動をすると男性ホルモンの分泌量は増えていきます。

これは筋肉が刺激されると筋繊維と呼ばれる筋肉の細胞が傷ついて、これを修復するために筋繊維の周りにサテライト細胞が増えていきます。そして、サテライト細胞が筋繊維に取り込まれて、筋肉が太くなり、強くなっていきます。

そのときに男性ホルモンが必要になるので、運動後には男性ホルモンの分泌が増えていくのです。

男性の薄毛の原因は男性ホルモンだと聞かされると、筋肉運動をしなければ薄毛になりにくいと思ってしまうかもしれませんが、筋肉を増やす男性ホルモンと薄毛に関係する男性ホルモンは違うタイプのものです。大きな分類では男性ホルモンであっても、役割によって種類が分かれています。

一般に男性ホルモンと呼ばれているのはテストステロンで、このほかにジヒドロテストステロン、デヒドロエピアンドステロンなどがあります。テストステロンやステロンという文字が共通しているので勘違いされがちですが、役割が異なることから、まったく違うものと考えてもよいのです。

薄毛に関係する男性ホルモンは、ジヒドロテストステロンで一般にはDHTという略称で呼ばれています。これはテストステロンと5αリダクターゼという還元酵素が結合することで発生したものです。

頭皮にはホルモン受容体があって、これとジヒドロテストステロンが結びつくと脱毛因子のTGF−βが増えていきます。その結果として毛髪が抜けやすくなり、次の発毛までの期間が長くなって、薄毛になっていきます。

テストステロンは筋肉強化のほかにも血糖値やコレステロール値の降下などプラスの働きがあることから善玉男性ホルモンと考えられていますが、ジヒドロテストステロンのほうは薄毛の原因だけでなく前立腺肥大のリスクを高めることもあって悪玉男性ホルモンと呼ばれることもあります。

筋肉を鍛えることによってテストステロンが増えていっても、それと並行してジヒドロテストステロンが増えるわけではないので、筋トレが薄毛に直接的に影響しているわけではないということです。

筋トレは薄毛の原因ではない、毛髪によくないというのは間違った考えだということを説明しましたが、それに続いて伝えたいのは、筋トレは毛髪の成長にプラスになるということです。

このような情報を伝えると、筋トレをするほど毛髪が元気になると思い込んで、頑張ってトレーニングをする人も出てきます。しかし、何事も“過ぎたるは及ばざるが如し”で、毛髪の状態をよくする効果があるのは“適度な筋トレ”です。

運動をすると血液の流れがよくなることは体が温まることでも確認できます。体が温まるのは、温かな血液が次々と送られてきて、体温の放熱よりも温かな血液による加熱のほうが優っているからです。逆に冷えるというのは、放熱に対して加熱が間に合っていない状態です。

歩くだけでも全身運動であるので血流は盛んになりますが、筋肉が強く刺激される筋トレでは筋肉の収縮が大きくなり、ポンプ作用で勢いよく多くの血液が送り出されるようになります。

毛髪は毛細血管の末端にあることから、血液が届きにくいところで、そこに血液を多く送り込んで成長を促進するために筋トレが役立つということです。

もう一つは成長ホルモンを増やす効果です。成長ホルモンというと筋肉を強くしたり、骨を伸ばすホルモンという印象があるかもしれませんが、全身の細胞の代謝を高めるために必要で、それぞれの毛髪の毛根の細胞も成長ホルモンの影響を受けています。

毛髪の成分の大部分はタンパク質です。成長ホルモンはタンパク質を使って成長するのに必要なものであるので、筋肉も毛髪も同じような結果、つまり筋肉が強くなれば毛髪も強く丈夫に伸びていくということです。

成長ホルモンは運動をすることで血液中に増えていくのですが、運動の強度が高まるほど分泌量が増えていきます。これは間違いがないことですが、激しい運動をすると毛髪の成長にとってマイナスのことが起こります。それは活性酸素の発生です。

活性酸素は全身の細胞の中でエネルギーが作られるときに、不完全燃焼状態によって発生する反応が強すぎる酸素のことです。活性酸素は吸い込んだ酸素のうち2〜3%が変化するとされていて、多く発生すると細胞を酸化させていきます。活性酸素の酸化というと皮膚の老化がよく知られていますが、毛根の細胞も酸化させるようになります。

筋トレによって体が温まってきたくらいのところで止めておけば活性酸素が大量に増えることはありません。過剰な筋トレをして、自毛植毛のために必要な毛髪を傷めるようなことになっては仕方がないので、無理なく続けられる筋トレを目指すのがよいということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

薄毛に見えるのは、毛髪の本数が少ないだけでなく、それぞれの毛髪が細くなっていることも大きな原因となっています。そのため、薄毛対策というと毛髪が抜けにくいようにすることと同時に、太くする方法も考えたいところですが、これまでの薄毛対策の中では太くする方法というのは、あまりありませんでした。

日本人の毛髪の太さは0.07〜0.15mmで、年齢を重ねると細くなっていきます。太さのピークは男性では10〜20代、女性では10〜30代と、男性のほうが太さのピークを早く迎えて、細くなっていくのも早い傾向があります。

それだけ同じ本数が生えていたとしても男性のほうが地肌が見えるようになり、毛髪も全体的に薄く見えるようになっていくということです。

毛髪の太さに影響するのはコルテックスという毛髪の中間層にある縦繊維の集合体のことで、毛髪の約85%を占めています。毛髪の構造は、よく海苔巻きの三層構造にたとえられています。

一番外側の海苔にあたるのがキューティクルで約10%、中の酢飯にあたるのがコルテックスで約85%、中の具材にあたるのがメデュラで約5%の割合となっています。海苔巻きが細巻きでも太巻きでも、海苔は厚みが同じで、具材もあまり大きさは変わりません。海苔巻きの太さを左右しているのは酢飯の量と考えることができます。

コルテックスは毛皮質と呼ばれるメラニン色素を含んでいる細い繊維状のタンパク質が束になっています。毛髪のしなやかさも、色の黒さもコルテックスが影響をしています。

コルテックスの量は遺伝や体質が大きく影響していて、太くなる遺伝子の持ち主であってもコルテックスの材料となる栄養が不足していたら、せっかくの太くなる体質も活かせなくなります。

材料が足りていても、刺激を与えないとコルテックスは増えないということでマッサージがすすめられていましたが、それでは効果が得られにくく、他にプラスする刺激法について研究がすすめられてきました。その方法として紹介するのは「ガムを噛む」という、これまであまり考えてこなかった誰もが簡単にできる方法だったのです。

研究対象となったのは、毛髪関連の症状を自覚していないロッテ中央研究所の27人(男性21人、女性6人)の研究員です。年齢は24〜51歳で、平均年齢は36.4歳となっています。

自分のところの社員が参加した研究というと、それなりのケアを心がけていることが想定されることから、通常では研究対象にはされていません。しかし、今回の研究はガムを噛むということと、毛髪の太さの関係ということで、あらかじめ毛髪の状態を考えてガムを噛むということがなかったことから、対象としては問題がない状況です。

ただし、これからの研究となると、今回の結果を踏まえて、社員の意識が変わったことも考えられることから、新たな研究対象が必要になるかもしれません。

研究対象者は、これまでの生活の中でのガムの咀嚼時間が多い群と、少ない群に分けて、毛髪径(太さ)を比較しています。咀嚼時間が多い群は平日の回数を調べています。その結果、ガムの咀嚼時間が多い群で毛髪が有意に太くなっているという結果が得られています。

具体的な研究方法としては、1日の平均ガム咀嚼時間が多い(51.1分±13.0分)群の14人(男性11人、女性3人)と、咀嚼時間が少ない(10.0分±6.8分)群の13人(男性10人、女性3人)に分けて、頭頂部、側頭部の毛髪を毛根付近から10本を切り落とし、毛髪の切り口から約1cmのところを計測して、平均値を比較しました。

頭頂部の毛髪径では咀嚼時間が多い群は96.4μm、少ない群は89.2μmでした。側頭部の毛髪径では咀嚼時間が多い群は99.0μm、少ない群は93.4μmと、もともと側頭部のほうが太い傾向があり、頭頂部のほうが差が大きくなっていました。

ちなみにμm(マイクロメートル)は1000分の1mmで、研究者対象者のガムの咀嚼時間が多い群では平均的な太さより少しだけ細いという状態でした。

今回の結果は、これまでのガムの咀嚼習慣と毛髪径についての調査研究で、ガムの咀嚼習慣と毛髪径の因果関係を調べたものではありません。しかし、その可能性があることから、日本抗加齢医学会の専門研究誌「アンチ・エイジング医学」(2021年17巻2号)に論文掲載され、注目を集めています。

研究背景としては、地肌のマッサージによって頭皮の血流量が増えることが確認されていて、頭皮マッサージを24週間行ったことで毛髪径が増加することが確認されていました。また、ガムを咀嚼することで脳の血流や頸動脈の血流が増加することが報告されていて、ガムの咀嚼は頭皮血流にも影響を与えて、毛髪径に影響を与えるとの仮説のもとに調査されたものです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕