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脂肪は肉に多く含まれていて、脂身を切り落として食べなければ脂肪が減らせると単純に考えてしまいがちです。もちろん、脂身を減らすのは肥満を防ぐにはよいことですが、脂肪が固まっている部位なら簡単に切り落とすことができます。

ところが、霜降りのように細かく脂肪が入っていると、これを全部カットするわけにはいきません。

では、脂肪が見えない状態の肉なら安心できるのかというと、肉は赤身の部分にも脂肪が含まれています。簡単に切り落とせる脂肪は「見える脂肪」で、問題になるのは「見えない脂肪」のほうです。

脂肪が見えない肉は脂肪が含まれていないわけではなくて、脂肪の量は少ないものの、ちゃんと含まれています。見えないからといって安心して食べていると、結局は脂肪を多く食べていることになります。

「見えない脂肪」には、調理で使われる脂肪もあります。よく使われるのはラードとヘットです。ラードは豚油で、ヘットは牛脂です。脂肪の最小単位の脂肪酸には、動物性食品に多い飽和脂肪酸が多く含まれています。

もう一つの不飽和脂肪は魚や植物に含まれる脂肪です。飽和脂肪酸は血液をドロドロにする性質があり、不飽和脂肪酸は血液をサラサラにする性質があります。

ヘットは特に飽和脂肪酸が多く含まれていて、ラードのほうは飽和脂肪酸がヘットに比べて少なく、その少ない分だけ不飽和脂肪酸が含まれています。

ということで、同じ脂身であっても、まだラードを調理で使ったほうが健康面ではよいことになります。見えない脂肪として赤身の中に含まれている脂肪酸も、牛肉よりも豚肉のほうが少なくなっています。

魚の脂肪酸は不飽和脂肪酸で、肉を食べるよりも魚を食べたほうが健康によくて、太りにくいようなイメージがあるかもしれません。肉と魚の脂肪は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違いはあっても、太る原因ということで見ていくと、同じだけの量の脂肪を摂れば同じように太ります。

太るというのは、食事で摂ったエネルギー量に比べて体を動かすことによって消費されるエネルギー量のほうが少なくて、余分となったエネルギー源が肝臓で脂肪酸に合成されて、中性脂肪となって脂肪細胞の中に蓄積されていくことです。太るかどうかは、エネルギー量のバランスにかかっています。

肉の脂肪も魚の脂肪もエネルギー量は1gあたり約9kcal(キロカロリー)となっています。油が乗った魚は、とてもおいしいものですが、油が多い魚はおいしさというメリットの反面、太りやすいというデメリットもあるのです。調理に使われる植物油も、エネルギー量は同じです。

これが、どれくらい多いのかを知るために糖質とたんぱく質で比較すると、両方とも1gあたり約4kcalです。これに比べて、同じ重量なら脂肪は2.25倍も多いので、やはり食べすぎると太ってしまうのは仕方がないことです。

脂肪が多く含まれたものを食べれば、それだけ摂取エネルギー量が増えて、太ってしまうと書いておいて、これから「そうとも限らない」という話をします。今まで書いたことがウソだったということではなくて、脂肪を摂るタイミングによって脂肪細胞の中にたまっていく中性脂肪の量が変化するという話です。

ということは、脂肪が多く含まれた肉や魚を、いつ食べるかによって太り方が違ってくるということです。

余分に食べたものは、糖質もたんぱく質も脂質も肝臓で脂肪酸に合成されるわけですが、脂肪酸になるときに必要になるエネルギー量が違ってきます。脂質が脂肪酸に変化するときには同じようなものに変わることから、それほど多くのエネルギーは必要にはなりません。摂ったエネルギー量の3%くらいとなっています。100kcalの脂肪が余ったとすると97kcalが蓄積されることになります。

これに対して糖質が脂肪酸に変化するときに使われるのは20%ほどで、たんぱく質の場合には23%ほどとなっています。

これだけの差があるわけですが、昼間に脂肪酸が多く作られても、活動のために使うことができます。ところが、夕食で脂肪を多く摂った場合には、それ以降の活動量が少ないので、脂肪細胞に蓄積される中性脂肪が多くなってしまいます。

夕食で脂肪を多く摂ると太りやすい理由がもう一つあります。糖質に含まれているブドウ糖は膵臓を刺激してインスリンというホルモンを分泌させます。インスリンはブドウ糖を細胞に取り込んで使わせる役割が一般に知られています。

そのほかにインスリンには肝臓での脂肪と中性脂肪の合成を進めると同時に、中性脂肪が脂肪細胞の中に蓄積されるのを促進する役割もあります。
インスリンは、自律神経の副交感神経が盛んに働いているときに多く分泌されます。朝食と昼食を食べているときには交感神経が盛んな状態となっていますが、夕食を食べているときには副交感神経が盛んに働いているので、特にインスリンが多く分泌されています。

そのために、脂肪合成が進みやすくなるので、脂肪が多く含まれている肉や魚を多く食べると太ることにつながるのです。

太るということは、脂肪がエネルギーとして使われなかったということですが、毛髪の再生にもエネルギーは必要です。太った分だけエネルギーにならなかったということで、毛母細胞や毛包幹細胞がエネルギー不足になっていたのでは、再生が進みにくくなり、それだけ薄毛に近づいていくということになります。活動量を増やすのは大切なことです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

脂ぎっていると、薄毛になりやすいような印象があります。男性は頭皮の皮脂が多く、男性ホルモンの分泌が多くなると皮脂腺にたまる皮脂が増えるのは事実です。皮脂が多くなると毛穴が詰まったようになって、毛髪の生育にも影響を与えます。

皮脂は頭皮だけでなく、毛穴から外に出てくると毛髪にも付着して、どうしても脂ぎった感じになってしまいます。しかし、皮脂と薄毛の関係については、まだ十分には解明されていないところがあります。

もう一つ、脂ぎった印象を与えることとして太り過ぎがあげられます。食事で摂る脂肪が多くなると、脂肪細胞の中に蓄積される中性脂肪が増えて、これが太る結果になります。脂肪が多く含まれる食事と薄毛については研究が進められていて、肥満が薄毛を進めていくメカニズムが解明されています。

この研究成果を発表したのは東京医科歯科大学の研究チームで、東京理科大学やアメリカ・ミシガン大学との共同研究によって、肥満を引き起こす要因が毛包幹細胞に働きかけて、脱毛を促進させる仕組みを突き止めたと発表しています。

この研究は日本医療研究開発機構の老化メカニズム解明・制御プロジェクトの支援を受けたもので、国際科学誌の「Nature」(ネイチャー)のオンライン版に2021年6月23日に発表されています。

肥満に関連する研究というと、これまでは臓器の老化や、臓器と関わる病気(糖尿病、肝臓病、腎臓病など)が注目されてきたのですが、老化による影響ということでは脱毛も同じように考えられています。

初めに進められた肥満と薄毛の研究は男性型脱毛症(AGA)でした。男性型脱毛症は男性ホルモンが影響していて、そのことが強調されてきましたが、それ以外の原因(遺伝や生活習慣など)も考えられていました。

その原因として、薄毛が目立ってくる中年以降に肥満が増えていくことから、肥満と薄毛との関連性が注目されたというわけです。

研究グループでは、毛髪の再生の元となる毛包幹細胞に注目しました。毛包は毛髪を作り出す毛母細胞を包んでいる部分で、頭皮から見える部分は毛穴です。毛母細胞は、血管とつながる毛乳頭から栄養を受け取って、細胞分裂によって毛髪が作られていきます。

毛包幹細胞は毛包を再生させる役割があり、毛包幹細胞が十分にあるときには毛包が正常に形づくられて、毛母細胞も成長して脱毛が起こりにくくなっています。

ところが、加齢によって毛包幹細胞が枯渇した状態になると、脱毛が進みやすくなり、毛髪の再生が間に合わなくなります。これが薄毛の原因となっていくことが確認されています。

毛包幹細胞への影響を確かめるために、肥満の原因となる高脂肪食を与える試験を初めから人間で実施するわけにはいかないため、まずは動物試験が行われました。

高脂肪食と薄毛の関係を確かめるために使われたのは年齢が異なるマウスです。老齢マウスに1か月間だけ高脂肪食を与えただけでも毛の再生が遅れるようになりました。

これに対して若齢マウスでは1か月間では毛の再生が遅れることはなかったのですが、数か月以上にわたって高脂肪食を与えて、毛周期(ヘアサイクル)を何回か繰り返すことによって毛の再生が遅れて、毛が薄くなっていくことが確かめられました。

これを人間に当てはめて考えてみると、中年以降になって代謝が低下してくると、それほど長い期間でなくても脂肪が多い食事を続けていると、簡単に薄毛になってしまう可能性が高いということです。

なぜ、そのような年齢の違いによって薄毛が起こるのかということですが、研究グループでは老齢マウスに短期間の高脂肪食で毛包幹細胞の酸化ストレスや表皮分化に関係する遺伝子の発現が誘導されることを確認しています。

短期間というのは4日間のことで、マウスと人間を同じように考えることはできないかもしれませんが、それほど長い期間でなくても脂肪が多く含まれる食事をすると毛包幹細胞に影響が出てしまうということです。

若齢マウスでは3か月以上にわたって高脂肪食を与えていますが、その結果として毛包幹細胞の中に脂肪滴が溜まって、成長期に毛包幹細胞が分裂するときに表皮や脂腺に分化することで毛包幹細胞が枯渇することが明らかにされています。

脂肪滴というのは、中性脂肪などが多くなりすぎたときにできる液滴(涙型)の形をした細胞小器官です。これは以前から脂肪細胞の中にできることは知られていましたが、脂肪細胞だけでなく、他の器官にも作られることがわかってきました。

毛包幹細胞が減ってしまうということは、毛母細胞の成長が遅れて、抜け毛のあとに毛母細胞に成長によって毛髪の成長が始まるのが遅れることになり、これが薄毛を促進することになります。

毛包幹細胞が減るだけではなく、今回の研究では毛包幹細胞の分裂にも高脂肪食が影響を与えることが確かめられています。

毛周期の脱毛のあとに毛母細胞が急激に分裂して毛髪が伸びていく仕組みですが、脱毛まではブレーキがかけられていて、脱毛後にはブレーキがはずれて、アクセルが踏み込まれるようになっています。

高脂肪食を続けていると、ブレーキははずれてもアクセルが踏み込まれない状態になって、毛髪の成長がゆるやかになってしまいます。

若い男性では、短期間に多く脂肪が含まれた食事をしても薄毛になりにくいとしても、そんな食生活を続けていると必ずや薄毛が進んでいくということを示す結果ということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

毛髪の臭いは、毛母細胞から生えている毛髪の通り道にあたる毛孔(毛穴)から出てくる皮脂が毛髪に移った結果です。

皮脂は毛孔の中にある皮脂腺から分泌されていますが、男性ホルモンが多いと分泌量が多くなり、酸化しやすくなることから毛穴が詰まりやすくなります。酸化した皮脂は雑菌が繁殖しやすくなり、臭いも強くなっていきます。

男性ホルモンが多く分泌される男性は、毛髪の臭いも強くなりやすいので、頻繁に洗髪しないと毛髪の臭いが強くなってしまうということですが、頭皮も、それ以外の全身の皮膚も構造的には同じなので、毛髪が臭う人は体臭も強いとイメージされがちです。

体臭は、原因によって表面反応由来、皮脂腺由来、血液由来の3つに大きく分けられています。表面反応由来は皮膚に残っている汚れが原因で、皮膚に棲みついている常在菌が剥がれた皮膚や皮脂を分解して臭いを作り出しています。

紫外線を浴びると、さらに臭いが強くなります。皮脂腺由来は毛髪が臭うのと同じで、皮脂の酸化が原因となっています。

血液由来は、血液の中に含まれている臭い成分が皮膚から揮発して臭うもので、一般に言われる体臭は、これが原因となっています。

この臭いは“皮膚ガス”とも呼ばれていて、脂質(脂肪)を材料として体内でエネルギーが作り出されるときに生成されるアセトンが原因となっています。アセトンは飲酒をして寝ているときに体臭が強くなる原因となっている成分として知られています。

アセトンだけでなく、皮膚ガスには、たんぱく質が分解されるときに発生するアンモニアと、腸内細菌の悪玉菌によって大腸で発生するインドールやスカトールという臭い成分も含まれています。

アンモニアは尿から排泄されていますが、いわゆるオシッコ臭いのもとです。インドールやスカトールは、おならに含まれる成分で、「便秘をしていると皮膚からおならの臭いがする」と言われるのは、皮膚ガスのせいです。

大腸で発生する臭い成分は揮発性のために、大腸壁から吸収されて血液中に入ります。そして、血流によって全身に運ばれて、皮膚の近くまで運ばれたものは皮膚ガスとして発散されます。もともとが、おならの成分であったので、悪玉菌が多い状態であったり、便秘が続いたりしたときには皮膚ガスも増えてしまいます。

頭皮には多くの血管が流れているものの、頭頂部は毛細血管が少なくて、血流がよくないので、毛母細胞に運ばれる栄養成分が少なくなっています。ということは、頭皮からは皮膚ガスの発生は少なくて、頭皮や毛髪の臭いと、それ以外の皮膚の臭いとは原因が異なっているということが言えます。

体臭が強い人は腸内細菌の悪玉菌が多いということですが、このことと薄毛に関係性があるのか、ということについて考察することにします。

悪玉菌が多い人は、腸が冷えていることが指摘されます。腸内細菌の悪玉菌は、腸内の温度が高くても低くても増殖する性質があります。善玉菌は温かめの温度で増殖しやすくなっています。ということは、腸内の温度が低くなると、善玉菌が増えにくく、悪玉菌が増えやすくなって、皮膚ガスの原因となっている臭い成分が多く発生するようになります。

腸は体の奥にあっても、血管からみると端になっています。腸は口から肛門まで続いている管のようなものと考えることができます。毛細血管が密集していて、血流によって温度が変化するのは皮膚と同じです。

皮膚が冷えているときには、腸内も冷えています。頭皮の血流が低下して、毛髪の育成に影響が出ているときには、腸内の温度が下がって悪玉菌が増えて、臭い成分が多く作られているということです。

臭い成分が多く作られて、体臭が強くなっていることと、薄毛との間に直接的な関連性がないものの、腸の冷えを通じて、つながりがあるということになります。不快な体臭は加齢臭とも呼ばれていて、体臭が強くなってくるのは歳をとった結果と言われます。年齢を重ねるにつれて毛髪が抜けやすくなり、再生されにくくなってくることから、加齢が一番の原因とされることが多くなっています。

しかし、腸の温度が低くなることが体臭と薄毛の原因であるなら、何歳になっても血流をよくすることで解決が可能になります。血液の温度は民族によって違いはあるものの、日本人の血液温度は37℃ほどです。欧米人や大陸系のアジア人は、歴史的に肉食をしてきたことから脂肪を熱エネルギーにする能力が高くなっています。

それに対して日本人は、血液温度が低いことから、善玉菌を増やす能力も毛髪を生やす能力も低いと言わざるを得ません。だからこそ、できるだけ体を動かして体を温めること、血管を萎縮させるストレスを減らすこと、血液をドロドロにする肉の脂肪を減らして血液をサラサラにする魚の油や植物油を多めに摂るといった工夫をするべきだということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

毛髪のキューティクルは外側を覆っている組織のことで、毛髪をコーティングすることで内部の成分や水分が抜け出さないようにして、ツヤやハリのある状態を保つ役割をしています。キューティクルはケラチンタンパク質という角質化したタンパク質で、毛先に向かってウロコ状に重なり合っています。

摩擦や紫外線、洗髪のしすぎなどによってキューティクルは傷みやすく、一度傷むとなかなか元の状態に戻りにくくなっています。そこで、新たな治療薬や美容製品、育毛剤などの開発のためにキューティクルを作り出す酵素について研究が進められてきました。

多くの研究が進められる中で、茨城大学の研究グループが「毛髪キューティクル形成時に働く酵素の詳細な構造を解明」というテーマで研究発表を行いました。

毛髪は頭部を保護するための重要な器官の一つで、キューティクルはS100A3タンパク質が豊富に含まれていて、これがキューティクルの質を大きく左右しています。

このタンパク質に含まれているシトルリンというアミノ酸は、S100A3タンパク質の中にもともと備わっていたアミノ酸のアルギニンがPAD3という酵素によって変換されたものです。

シトルリンは体内に含まれていて、血管を丈夫にして、しなやかにする作用があり、スーパーアミノ酸とも呼ばれているものです。

S100A3タンパク質のシトルリン化がうまくいかないとキューティクルがうまく形成できなくなり、健康な毛髪を保つことができなくなります。

また、年齢を重ねていくと毛髪の質が低下していきますが、これは老化によって毛髪の中のシトルリン化したS100A3タンパク質の量が少なくなっていくことが影響していると考えられています。

“櫛でとかせない毛髪症候群”という毛髪がハリガネのようになる病気がありますが、これはPAD3の遺伝子の変異に起因していることが知られています。

タンパク質の中のアルギニンをシトルリンに変換する化学反応を促進する酵素は5種類ありますが、毛髪にはPAD1、PAD2、PAD3の3種類があります。このうちPAD3だけは他の酵素とは違って、S100A3タンパク質に4種類あるアルギニンの1種類を選択的にシトルリン化しています。

PAD3によってシトルリン化したS100A3タンパク質は構造と性質が大きく変化することが知られていて、それが毛髪を角化させています。
今回の研究では、ヒト由来のPAD3の遺伝子を大腸菌に入れて、目的のタンパク質であるヒトPAD3を多く得ることから始まりました。この成功によって、PAD3の性質を利用した操作ができるようになり、PAD3を精製して純度を高め、単結晶を得ることができました。

PAD酵素はカルシウムによって活性化されることから、カルシウムのある結晶とカルシウムのない結晶を作り、PAD3の活性がなくなる変異体の結晶でもカルシウムの有無の状態のものが作られました。その結果、PAD3の状態によって結晶が作られる条件が異なっていて、作られた結晶も違った形をしていることがわかりました。

これらの結晶でX線結晶構造解析を行い、活性型、不活性型など6種類のPAD3の立体構造が明らかにされました。

また、類似酵素のPAD4とS100A3タンパク質を試験管内で反応させて分離したのちに、たんぱく質の中のシトルリンを検出しました。さらにシトルリン化したS100A3タンパク質のアルギニンの種類も確定されました。

その結果、PAD3の構造や性質が、毛髪に存在するPAD1やPAD2よりも、毛髪に存在しない類似酵素のPAD4とよく似ていることが示されました。

カルシウムを結合するとPAD3は構造変化を起こして、活性に関わるアミノ酸の配置が完成することが確かめられました。また、PAD3の構造の中にカルシウムが結合する部位は5か所あって、5つのカルシウムイオンが順番に結合して、最後にカルシウムが結合する部位も明らかにされました。

最後の1つが結合することで活性化することがわかり、これらのことからカルシウムによってスイッチが入るPAD3の活性化機構の提唱につながりました。

また、PAD3の反応を抑える化合物(阻害剤)が結合している構造や不活性な状態の構造も確認され、類似酵素との違いが明らかになりました。この化合物を結合する部位にはPAD3だけに見られる構造的な特徴である空間があり、この空間を利用することでPAD3の選択的な薬剤を作ることができる可能性が高まりました。

この研究によって毛髪のキューティクルが作られる仕組みがわかり、毛髪の質で悩む人たちのために養毛剤だけでなく、新たな治療薬への応用も可能となりました。

まだ商品化されるまでには期間がかかりそうですが、研究の進み方を知ることで、期待をもって待つことができるようになりました。

毛髪の質が高まることは、自毛植毛のような画期的な薄毛解消法によるQOL(クオリティーオブライフ)を、さらに推し進めてくれることも期待されています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

ヘアケア法として「塩シャンプー」の人気が高まっています。塩シャンプーは、その名のとおり、塩でシャンプーする方法です。

塩というと一般には多く出回っている精製塩を指します。これは通常は食塩と呼ばれているもので、精製された純度が高い塩で、輸入された原塩を溶解させて精製したものは塩化ナトリウムが99.5%以上のものと、海水から成分を濃縮した塩化ナトリウムが99%以上のものがあります。どちらにしてもサラサラの状態になっています。

これに対して天然塩は岩塩や海水などから取られた塩化ナトリウムのほかに塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウムなどのミネラルが含まれているもので、海水から作られたものでは塩化ナトリウムの割合は77%ほどとなっています。

塩シャンプーに使用するのは、ミネラルが豊富に含まれている天然塩のほうです。塩シャンプーの始まりは、サーファーに薄毛の人があまりいないことから研究されたと伝わっていますが、塩をシャンプー剤の代わりにして使うと初めのうちはヌルヌル感があって驚かれるということです。

そのために塩シャンプーをすすめられても、途中でやめてします人も少なくないのですが、これは頭皮の状態がよくなっていく段階で初めに起こる誰もが経験することです。東洋医学では身体がよくなるときに悪く感じる症状が起こることを好転反応といいますが、それとは違ってヌルヌルの原因は明らかにされています。それは頭皮に蓄積された皮脂が塩に溶けるようにして出てくるからです。

頭皮に残る皮脂は、皮脂腺が分泌されて、毛穴を通じて外に出てきます。皮脂は古い角質と混ざり合って角栓となって毛穴に詰まっていきます。角栓は塩シャンプーで取り除くことはできますが、角栓の下には皮脂が多く残っています。

この皮脂を取り除くまでには、どうしても1〜2週間ほどはかかります。

頭皮の皮脂は、通常のシャンプーをしたあとでも溶け出てきて表皮に広がります。この皮脂が毛髪に付着して、時間が経つと毛髪がベタつく原因となります。皮脂は夏場には溶けやすく、汗とともに流れ出すことから頭皮に多く残りやすくなります。夏場は頭皮に皮脂が残りやすく、毛髪に移りやすいので、塩シャンプーを始めるのに適した季節だといえます。

塩シャンプーは、天然塩をぬるま湯に溶かすことから始めます。塩の量は洗面器1杯について大さじ1杯が目安です。溶かした塩湯を頭皮にかけていきますが、ただかけ流すだけでなく、少し流しては頭皮を揉むようにして塩の成分を毛穴の中に行き届かせるようにします。

5分ほど浸透させたら、次はリンスとなりますが、一般的なシャンプーのあとのように毛髪をコーティングしなくてもよいので、お湯だけで流すか、酢を入れた手作りリンスを使う方法もあります。

一般的なシャンプー剤には合成界面活性剤が含まれていて、皮脂を洗い流すだけでなく、頭皮のセラミドなどの保湿成分も落としてしまいます。できることならシャンプーをしたら、頭皮ケアとして保湿成分が含まれた乳液などを使うことが望ましいということですが、そのようなことまでしている人はごく少数派です。

塩シャンプーをすることによって皮脂が減って、毛髪の生育がよくなると同時に、塩の効果によって血流もよくなります。このことによって毛髪の根本である毛根に運ばれる栄養成分や酸素が多くなり、このことによって抜け毛が減り、皮脂の分泌も抑えることができるようになります。

一般的なシャンプーを使い続けると、皮脂を多く洗い流してしまうために、頭皮のバリア効果が落ちて、それを補うために皮脂が多く作られすぎるからです。それを塩シャンプーをすることによって落ち着いた状態に戻っていくというわけです。

塩シャンプーの利点としては、このほかにも頭皮の臭いの軽減、白髪の改善などもあげられています。

効果だけでなく、難点も一部には指摘されています。それは染毛したヘアカラーの色が抜けやすくなることと、毛髪の手触りが低下することです。ヘアカラーが落ちやすくなっても、白髪の改善効果も報告されているので、ヘアサイクルが落ち着くまでは染毛の回数が増えるのは仕方がないことかもしれません。手触りのほうは皮脂が少なくなったことが関係しています。これが気になる場合にはリンスを工夫することで解消できます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために、外食店でのアルコール提供を止めなければならない状況になったとき、外食の内容も変化しました。これは飲酒なしで食事をしなければならない、それでは収益も上がらないという話だけではなくて、アルコール飲料なしの食事で、食べるものの中身が変わってきたということです。

アルコールが含まれないノンアルコールの飲料といえばビール系の飲料が代表的です。ノンアルコールのワインや日本酒、焼酎、レモンサワーも登場して人気になっていますが、ノンアルコールのウイスキーはまだ数が少なくて手に入りにくい状態です。

アルコール飲料の提供ができないとなると、その代わりにノンアルコールビールが中心になりがちですが、アルコールが含まれていなくても、ほとんど味はビールなので、ビールに合う料理は、そのまま味を楽しむことができます。

ビールに合う焼き鳥や焼肉などは、従来の味付けのままで問題はないとしても、ワインに合う料理となると、ビールでは物足りない感じがします。ワインは料理の味を引き立て、その料理はワインの味を引き立てるとされていて、濃厚な味の料理には濃い目の料理が合っています。濃い目の料理というと、脂肪、糖類、塩分が多く使われます。

ワインで食べる料理を、そのまま他のノンアルコール飲料のときに出すわけにはいかないからと、アルコール提供自粛期間には料理の味付けを変えて出すところも多く見られました。

このことが毛髪の状態に影響を与えたのかということですが、過度な飲酒は毛髪の悪影響を与えるとしても、適度な飲酒は、かえってよい影響を与えることになります。

適度な飲酒というのは、日本酒に換算して1合(180ml)の量とされています。アルコール度数によるものの、ビールなら中ビン1本、ワインならグラス1杯、ウイスキーならダブル1杯といった量に相当します。

胃まで到達したアルコールは、そこで約20%が吸収され、残りの約80%は小腸から吸収されます。吸収されたアルコールは血液中に入るわけですが、そのうちの3〜9%はアルコールのまま呼気や汗、尿として排泄されます。

適度な飲酒はホロ酔い状態になって、血中アルコール濃度は0.05〜0.1%になります。このときには体温が上昇して脈が少し早くなり、血流も盛んになっています。アルコールには血管を拡張させる作用があって血圧を低下させます。

アルコールの量が増えすぎると血管がゆるみすぎて血流量が低下して、全身に届けられる血液が減ることになるので、急に血圧が上昇するようになります。血圧が下がるのは日本酒換算で1合まで、血圧が元に戻るのは2合まで、これを超えると血圧が急上昇するとされています。

飲酒のときに塩分が多めの料理を食べても、適度な飲酒量なら塩分(ナトリウム)のせいで上昇する分の血圧が抑えられるということになります。

血流が盛んになれば酸素も多く取り込まれるようになって、全身の細胞のエネルギー代謝も高まっていきます。そのため、飲酒のときに血流に悪影響を与える塩分や脂肪、糖分が多めに使われた料理を食べたとしても、脂肪や糖分がエネルギー源として使われて、デメリットをアルコールのメリットが帳消しにしてくれるということが期待できるわけです。

肉などに含まれる脂肪酸(飽和脂肪酸)は血液をドロドロにするタイプの脂肪で、糖分に含まれるブドウ糖は血液をベタベタにする作用があります。ドロドロでは血流が悪くなり、さらにベタベタの状態では赤血球が毛細血管を通りにくくなって、毛細血管の先にある毛母細胞に運ばれる酸素の量も栄養素の量も減ってしまいます。

毛母細胞に限らず、全身の細胞はエネルギー源になるブドウ糖を取り込んで、水溶性ビタミンと酸素を使ってエネルギーを作り出しています。細胞で作られたエネルギーは、その細胞の中でしか使うことができないので、毛母細胞が元気に働いて毛髪を育てるためには、すべての毛母細胞に水溶性ビタミンと酸素を届ける必要があります。

適度な量の飲酒をしているときなら、少しくらい脂肪や糖分を多めに摂っても問題はないのですが、アルコール飲料なしで食べるとなると、これらの摂りすぎには中止しなければなりません。

飲酒をしているとアルコールはすぐにエネルギー化しやすいために、体温が上昇して毛細血管も血流がよくなっています。ノンアルコールでは、そのメリットもなくなります。また、適度なアルコールは脳の大脳皮質を適度に麻痺させることでストレスや抑制が取れていきます。

本能や感情を司っている大脳辺縁系は、適度なアルコールの量では麻痺はしないので、気分的に優れた状態が保持されて、これが飲酒によるストレス解消というメリットを作り出しています。ところが、日本酒換算で3合以上の酩酊状態になると、大脳辺縁系も麻痺して、行動が怪しくなってくると同時に、全身の内臓や器官の働きにも悪影響が出てきます。

適度な飲酒だから安心して濃い味付けの料理を多く食べても毛髪に影響がないということではないものの、少なくとも影響を抑える効果はあります。ノンアルコール飲料で我慢するときには、こういったメリットが弱まっているということを意識して、おいしさにつながる塩分、脂肪、糖分は控えめにしておいたほうが毛髪の健康にはよいということを知っておいてほしいのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

喫煙の影響というと、肺の機能の低下、がん、高血圧、循環器病、糖尿病などがあげられていましたが、最近では酸素不足による全身への影響ということで、うつ病や認知機能の低下、さらに皮膚や毛髪への影響も言われるようになってきています。

国立高度専門医療研究センター6機関(国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、国立長寿医療研究センター)が連携して研究を進めていて、その研究成果として「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」が公開されています。

その発表の第一弾が「喫煙・受動喫煙」で、食事や運動などよりも重要事項として注意が呼びかけられています。

多くの研究によって明らかにされているのは、がんになるリスクは喫煙者(タバコを吸っている人)では非喫煙者(タバコを吸っていない人)の1.5倍(男性1.6倍、女性1.3倍)、がんの死亡リスクは男性で2倍、女性で1.6倍とされています。

女性は男性よりも全体的にリスクは低いものの、メタボリックシンドロームと指摘されるほど太っている女性が喫煙した場合には非喫煙者に比べて循環器病の発症リスクが5倍ほども高くなるとの報告があります。喫煙者の糖尿病リスクは非喫煙者の1.4倍との報告もあります。

自分はタバコを吸っていなくても、他人の吸ったタバコの煙を吸い込む受動喫煙も問題で、非喫煙の女性で夫が喫煙者であって場合には肺腺がんのリスクが2倍、肺がんのリスクが1.3倍高くなるという報告もあります。

タバコを吸うと体の中では、どんなことが起こっているのかということですが、喫煙をすると血管が収縮すると同時に、血液の粘度が高まることから血流が低下します。そのために毛細血管の先にある全身の末梢の細胞に新鮮な酸素と栄養素が充分に届けられなくなります。

これを改善して血流を盛んにするために、ストレスホルモンが多く分泌されて、自律神経の交感神経の働きが盛んになり、血圧が上昇して脈拍も増えるようになります。

さらに喫煙すると、肺に多く吸い込まれた一酸化炭素が血液中に入ります。一酸化炭素は酸素を運ぶ役割をしている赤血球のヘモグロビンに優先的につくために、酸素を充分に運べなくなります。すると、酸素不足になって、これを解消するために脈拍が高まるのです。その回数ですが、タバコ2本について脈拍は10拍増加するといいます。

いつもタバコを吸っていると、酸素を多く運ばなければならないために、骨髄では酸素を運ぶための赤血球を多く作り出すようになります。赤血球が多くなりすぎた状態は多血症と呼ばれています。さらに血流が低下した結果として白血球も増えて、血液中で増えた赤血球と白血球によって血液中が混雑した状態となります。そのために血液粘度が高まって、毛細血管の流れが悪くなります。

毛細血管は赤血球よりも細くて、その中を赤血球はつぶれるようにして通過していきます。赤血球が多くなると、どうしても通過するのに時間がかかって、毛母細胞を含む末梢の細胞に送られる酸素と栄養素が減ることになります。

血液ドロドロというと、肉など脂肪が多く含まれる食品の食べ過ぎによって血液中の脂肪が増えることだと一般に認識されていますが、実際には赤血球の増えすぎによって血流が低下していることも大きく関係しているのです。

タバコを吸ったことで、どれくらいの酸素が不足するのかということですが、禁煙外来で喫煙者の呼気に含まれる一酸化炭素の濃度を測定すると、タバコを1日1箱(20本)を吸っていた場合には20〜25ppmになっていました。これは血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度では4〜5%に相当する量です。

一酸化炭素ヘモグロビン濃度の正常値は2%未満とされていることから、4〜5%というと軽度ではあっても一酸化炭素中毒と判断される状態です。

一酸化炭素ヘモグロビン濃度が高いということは、それだけ酸素の量が少ないということです。正常な状態では赤血球が運んでいる酸素の量は100%ですが、これが喫煙者は94〜95%に低下しているということです。

これだけの低下は、健康な人が標高2000mの高山に登ったときの酸素飽和度に相当しています。登山をしているときには酸素不足によって体力が続かず、注意力や集中力が低下するなど脳の機能も低下していることを感じてしまいますが、それと同じことが平地にいても起こっているのが喫煙者であり、喫煙者の近くで暮らしているための受動喫煙をしている人の状態なのです。

吸い込まれた酸素は、生命維持に必要なところに優先的に運ばれます。毛母細胞は、薄毛を気にしている人にとっては重要なところではあっても、身体的には最も遠いところで、酸素量が不足したときに届けられる量が少なくなるのは仕方がないことです。

酸素の供給量の減少は、タバコだけでなく、大気汚染でも室内に浮遊する科学物質でも起こることです。ストレスによっても血管が収縮して血流が低下することを考えると、毛髪の環境が悪化するのは仕方がないことで、これまでのヘアケアでは薄毛を防止することができない人も増えてしまいます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

新型コロナウイルスの感染が拡大してき時期に、「コロナ抜け毛」という言葉が広まりました。コロナのストレスやマスク着用で吸い込む酸素が減ることによって毛母細胞に送られる酸素が減るために、抜け毛に対して毛髪の成長が間に合わなくなって、だんだんと薄毛になってくるということを指しています。

コロナ禍が長引いて、1年半では済まずに、2年以上も継続するのではないかと考えられている時期には、さらに進んだ「コロナ薄毛」の不安も湧き上がっています。

コロナ禍での外出自粛は毛髪には、よくないことばかりでした。まずは運動不足です。運動というと体操やスポーツのように積極的に体を動かすことを思い浮かべるかもしれませんが、外出自粛で大きく減ったのは外を歩くことです。

ウォーキングは簡単にできる効果的な有酸素運動で、酸素を多く取り込むことで全身の代謝が高まります。元気に歩き始めて10〜15分ほど経過すると体が温まってきます。これは酸素が全身の細胞に届けられ、酸素が多く細胞に取り入れられてきた証拠で、毛母細胞の代謝も高まっています。

ただ、マスクを着用したままのウォーキングでは、マスクのために二酸化炭素が口から全部外には出なくなり、酸素を吸い込むときに二酸化炭素も吸い込んでしまいます。そもそもマスクを通して吸い込まれる酸素が減ってしまいます。

外出自粛ということは自宅にいる時間が長くなり、それが過食につながり、外出自粛で太ったという人が増えています。自宅での飲酒が増え、さらに喫煙習慣がある人は自由に吸えることからタバコの本数も増えてしまいます。

タバコを吸うと太りにくくなると主張する人も少なくありません。これは、ある程度は事実で、食後にタバコを吸うと胃が急激に動き出して、まだ充分に消化されていない状態で小腸に運ばれます。そのために吸収が低下して太りにくくなり、タバコをやめると太るということも起こります。しかし、これは喫煙中に食べすぎていた結果です。

タバコを吸うと体内に取り込まれる酸素量が減ります。外出自粛で吸い込む酸素量が減っているときに、タバコの影響を受けたら、さらに酸素量が減ってしまいます。タバコを吸うと血液がドロドロになるという指摘もあります。血液ドロドロの原因は過食による血液中の脂肪の増加が指摘されています。

太ってしまうほどの過食も問題ですが、喫煙によって血液中の酸素量が減ると、これを補うために赤血球の数が増えます。それによって血液中が混雑した状態になって、血流が低下して、体の末端の毛母細胞まで届けられる酸素量が減ってしまうのです。

外出自粛で毛髪のケアに当てられる時間が長くなったことをプラスと考える向きもあるのですが、買い物に出かけることが少なくなったこともあって、ヘアケア商品の購入量も減りました。

ヘアケアに当てる時間が増えたという人であっても、それを上回るほどのストレスがあり、その解消に食べる量が増え、飲酒量が増え、タバコの本数も増えるといったことから悪循環に陥ってしまいがちです。

外出自粛で抜け毛の本数が増えたことを目にしている人も多いかと思います。クイックルなどで床を掃除すると毛髪が多く付着します。このことを「抜け毛が増えたのではなく家にいる時間が長くなったせい」と主張する人もいます。

毛髪の数は10万本と言われています。これは薄毛の人を除いた平均の本数ですが、このうち1日に0.1%は抜けるとされています。10万本の0.1%は100本です。

1日のうち12時間を自宅にいて、12時間を外出していたとすると、単純計算で50本は家で抜けて、50本は外で抜けていることになります。外出をしない日には自宅にいる時間は2倍になります。となると100本が家で抜けているので、単純に家の中で発見する抜け毛の本数は2倍になることになります。

これに外出自粛のストレスが加わったら、以前の3倍の150本になったとしてもおかしくありません。実際に抜け毛の本数を数えている人は少ないかと思いますが、抜け毛が大きく増えているとしたら、すぐにもストレス対策をしたいものです。

ストレスがかかった状態では、自律神経の交感神経の働きが盛んになって、血管が収縮して血流量が低下します。ストレスが強くなると血圧が高まるのは、交感神経が強く働いて、血流が低下している将校です。血流量が少なくなると呼吸数も増えます。外出自粛で呼吸数が増えているとしたら、相当にストレスが高まっている状態です。

ストレス解消には体を動かすことが必要で、外出できないから自宅でできる簡単な体操だけでもしたいものです。交感神経の働きを抑えるだけなら深呼吸をすることでも効果があります。気がついたら深呼吸をするのを心がけます。もちろん、ストレス解消のための過食、飲酒、喫煙を避けることをした上でのことにはなります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

頭皮も顔の皮膚も、どこが境なのかわからないくらいに連続した状態で、表皮、真皮、皮下組織という3層構造になっているのも同じです。あえて言うなら、毛髪が生えているのが頭皮で、それ以外が皮膚ということになります。

前部から抜け毛の範囲が広がっていったら、その部分は頭皮というよりも顔の皮膚の面積が増えただけ、ということにもなりそうです。

肌のケアというと、洗浄、保湿、日焼け止めが三大要素となります。肌は毛穴から皮脂が出てくるころから、これを洗わなければ皮脂が酸化して、これに皮膚の一部が剥がれたタンパク質が混じって、肌も酸化させる原因となります。

皮脂の量の違いは、頭皮と肌の大きな違いということになりますが、皮脂が多くて酸化しやすいとなると、どうしてもシャンプーでの洗浄は必要になります。

毛髪だけの汚れなら2〜3日、シャンプーをしなくても済むかもしれませんが、肌は毎日洗っているはずです。それと同じように、毎日のシャンプーは頭皮の洗浄のために必要なことなのです。

肌は排泄器官だという考えもあり、洗浄は欠かせないことになるわけですが、洗浄したままにしておくと水分が失われてカサつく原因となります。

これを防ぐために化粧水が使われます。肌と頭皮が同じものであれば、頭皮の健康状態を保つためにはシャンプーを使ったあとには化粧水を塗ることも必要になります。といっても、毛髪が多い状態では化粧水を塗り込むのは大変で、肌用のパフに染み込ませてパッティングするという方法は使うことができません。

特に気になる頭頂部を中心に、化粧水を養毛剤のように塗って、軽くマッサージをするというのが通常の方法になります。

頭皮も強い紫外線を浴びる季節には日焼けをします。毛髪が多い状態だと、日焼けの状態を確認しにくいのですが、薄毛の人の場合には夏場は日焼けをしているのを他人の場合には外から覗き見で、自分の場合には鏡にうつして確認することができます。

日焼け止めはクリームタイプがありますが、皮脂が多い頭皮にクリームを塗ると、さらに脂肪が多い状態になって、頭皮にダメージを与えることにもなります。スプレー式の日焼け止めなら直接、頭皮に吹きかけることができます。

顔の皮膚の奥側には、薄いといっても筋肉があります。筋肉を動かすことで皮膚も動かして皮膚の張りを強めることもできます。それに対して、頭皮には、下側に筋肉がある部分とない部分があって、その違いが毛髪の状態の違いにもつながっています。

頭皮の筋肉は3つがあって、眉から頭上にかけての前頭筋、耳上からこめかみの側頭筋、後ろ側の後頭筋に大きく分けられます。前頭筋は眉を動かしたときに連動して動く筋肉です。側頭筋は物を噛んだときに動く筋肉です。後頭筋は意識して動かしにくいのですが、前頭筋を動かすと連動して動きます。

連動して動くのは、前頭筋と後頭筋は帽状腱膜でつながっているからです。帽状腱膜は頭頂部をおおっているごく薄い筋膜で、筋膜といっても筋肉のように動かすことができるものではありません。帽状腱膜は使わないでいるとゆるんできて、硬くなってきます。

よく頭皮が硬くなるというのは、このことを指していて、頭皮が硬くなっている部分は血流が悪くなり、そのための毛母細胞に血液が送られにくくなります。これが毛髪のヘアサイクルを乱して、薄毛の原因にもなります。

帽状腱膜をマッサージすることは頭皮の血流をよくする方法であり、頭皮から生えている毛髪に血液を送り込む重要な方法となるので、それを心がけて時間をみつけては、短くてもよいのでマッサージをするようにします。

毛髪が生えている部分の頭皮の筋肉というと前頭筋と後頭筋になりますが、前頭筋と後頭筋は、どちらも薄い筋肉で、皮膚の筋肉と似たようなところがあります。よく動かしていると筋肉の血流がよくなり、その外側の頭皮の血流もよくなっていきます。

側頭筋は噛むだけでも口を開け閉めするだけでもよく動かすことができます。問題は後頭筋で、後頭筋そのものは動かしにくくても、帽状腱膜を動かすことによって後頭筋と、その上側の頭皮の血流も盛んにしていくことができます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

毛髪のケアのために使われる成分というと目新しいものが注目されがちですが、以前からあるものへの注目も始まっています。その注目されているものは“カフェイン”です。

カフェイン入りのシャンプー、コンディショナー、トリートメントが登場していて、さらにカフェインの入った飲料も毛髪ケアに効果があるとして人気が高まっています。

その効果として発表されているのは、血流促進、抗酸化、男性型脱毛症の予防です。

カフェインは、天然由来の有機化合物で、コーヒーや緑茶、紅茶、ココア、チョコレートなどに多く含まれています。カフェインが多く含まれるコーヒーや緑茶は眠気覚ましによいことから覚醒作用は広く知られています。他にストレス緩和や血管拡張作用があって、血管拡張によって血流がよくなることで体温が高まりやすくなっています。

頭皮の血流は毛髪の成育には重要なことで、血流が促進されることで毛細血管の流れがよくなり、毛細血管の端にある毛母細胞にも血液が多く送られていきます。血液が運んでいる酸素と栄養素が毛髪の生育には必要で、これが第一のカフェインの発毛の効果といえます。

血液の流れは血液がサラサラの状態で保たれています。血液が酸化した状態になるとドロドロ状態になりやすいのですが、その原因となっているのは活性酸素の存在です。

通常の酸素はプラスの電子4つとマイナスの電子4つがバランスの取れた状態になっています。活性酸素はマイナスの電子が一つ欠けた状態となっていて、欠けた電子を他のものから奪います。この電子を奪われた結果が酸化で、活性酸素を元の状態に戻してくれるのが抗酸化成分です。

コーヒーにはクロロゲン酸というポリフェノールが含まれていますが、この抗酸化成分の働きはカフェインによって高められるとされています。カフェインには自律神経の交感神経の働きを高める作用があり、交感神経によって活性化した全身の細胞が抗酸化成分を取り込んで、その働きを高めると考えられています。

もう一つの効果が実は重要で、男性型脱毛症(AGA)の抑制作用が認められています。男性ホルモンのテストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)に変化するときに作用しているのが5αリダクターゼという酵素です。DHTは毛母細胞に栄養を送る毛乳頭細胞の男性ホルモン受容体に取り込まれて、毛母細胞の働きを低下させます。カフェインには5αリダクターゼの働きを抑制する作用があり、そのためにDHTが作られにくくなって、毛乳頭細胞の働きが正常に保たれるというわけです。

ジヒドロテストステロンは尿とともに排出されます。利尿作用のあるお茶を多く飲むことによって、作られたジヒドロテストステロンを減らすこともできるということです。

こういったカフェインの働きを期待して、毛髪ケアのシャンプーなどにカフェインが使われているわけですが、カフェインは飲んで体の中から作用させることで、より効果が高められます。もちろん、シャンプーなどに使われているカフェインを口から入れるということではなくて、お茶などから取り入れるようにします。

飲料の中でカフェインが豊富に含まれるのは、緑茶の中でも濃い玉露で、100mlあたり160mgとなっています。他のお茶では煎茶、ほうじ茶、ウーロン茶が20mg、玄米茶が10mgとなっています。同じ量でコーヒーなら60mg、紅茶が30mgと、日常的にカフェインを取り入れるのに適した飲み物となっています。

こういったことを知ると、カフェインが多く含まれる飲料を多く飲んで、できるだけ早く好結果を得たいと考えるところですが、カフェインが毛髪に好結果を与えるまでには3か月間はかかるとされています。そのため、少ない量でも構わないので、毎日飲み続けることが大切になります。

カフェインにはメリットがある反面、デメリットもあります。それはカフェインそのものの悪影響ということではなくて、摂りすぎによる結果です。覚醒作用があるということは、それが強くなると目が覚めてしまい、眠りたいときに寝つけないことになります。

カフェインの摂りすぎによって亜鉛の吸収が妨げられるという報告もあります。亜鉛は細胞分裂に必要なミネラルで、毛髪のように細胞分裂が盛んなところには特に多く必要になります。その量が不足すると、抜けたあとの毛髪が成長する重要なところで生えにくくなるという困った結果にも結びつきます。

これは毛髪の生育と間接的な関わりになるかもしれませんが、カフェインによって交感神経の働きが盛んになりすぎると、胃と腸の働きが低下します。胃液の分泌、腸からの吸収、腸の蠕動運動は副交感神経が調整しています。その逆の働きをするのが交感神経で、胃液が減って消化力が下がり、腸からの吸収が低下します。そのために毛髪に必要な栄養素の取り込みが減ることになります。

腸の蠕動運動が低下すると、大腸の通過が悪くなり、便通が遅れがちになります。大腸に棲息する腸内細菌の悪玉菌は毒素(有害物質)を作り出しますが、大腸から水分が吸収されるときに毒素も吸収されます。毒素は肝臓で分解されるものの、毒素が多くなりすぎると分解が間に合わず、再び血管に運ばれます。

便秘をすると肌荒れするというのは毒素が多く血液とともに運ばれている証拠で、そのときには毛母細胞にも毒素が運ばれています。その結果として、毛母細胞の働きも低下することになるので、交感神経の働きすぎには注意しなければならないということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕