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「今どき昭和の時代の発想か」と言われることがあります。あまりに古い発想、前例主義などを揶揄して使われていますが、そのときに同時に言われるのは「平成だって30年も過ぎているのに」ということです。

昭和の最後の年であっても、30年以上前のことで、「十年一昔」を例に出すなら“三昔”の出来事です。昭和は年号の中では最も長くて、昭和から平成になったのは昭和64年(1989年)1月8日のことです。

この日が平成元年の始まりで、平成時代は2019年(平成31年)4月30日まで続きました。平成から令和になったのは平成31年4月30日ではなくて、翌日の2019年5月1日が令和元年です。これは崩御ではなく、平成天皇は退位されて今上天皇が即位をしたからです。

昭和64年は7日間しかなかったので、正月休みの3が日を差し引くと4日だけです。この間に起こったことは、よほどのインパクトがあることでないと覚えていない人がほとんどのはずです。

1月1日には、朝日麦酒がアサヒビールに改称しました。このことを覚えているのは、私の知人がアサヒビールの副社長になって、サプリメントの担当となり、前年末からサプリメントの広告表現の法律アドバイスを求められていて、1月5日に打ち合わせをさせてもらったからです。

昭和の区切りの次のカウントは昭和70年(1995年)ですが、この年は、さまざまな記録と記憶に残る年でした。阪神・淡路大震災、オウム真理教事件、野茂英雄のMLB挑戦、Windows95の発売などがあげられます。

昭和100年問題ということでは、30年前のWindows95の登場が、その始まりだったと考えられています。インターネットは今では誰もが自由に使えるものになっていますが、Windows95以前は専門家(研究者や技術者など)だけが使えるものでした。

当時のインターネットは発信側の情報を一般の人は受けるだけのものでした。今のように相互通信、受信者が発信者にもなる、そして、初めから発信者としてSNSが使える時代は想像ができないことでした。

そのような便利な時代になったことが、昭和で構成されたデジタルカウントが障害を起こす可能性がある昭和100年問題を大きくさせる要因ともなっているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

しっかりと噛んで、味わってから飲み込むというのは、食品・料理のおいしさを感じるためにも、消化・吸収を進めるためにも大切なことです。その基本を日本人は和食の食生活の中で身につけてきました。その象徴となるのが「口中調味」という言葉です。

辞書的な意味としては、口の中で食べ物を噛んで混ぜ合わせることによって味を変化させることを指しています。食べ物には一つひとつに味があっても、それが口の中で混ざると違う味になるので、複数の食品を使った料理は、口の中に入れた量によって違う味を感じていることになります。

ここでいう「口中調味」は、その意味も含んでいるものの、さらに進めて「体調に合わせた味わい」を指しています。初めに口に入れるのは、ご飯、おかず、汁物と順番は人それぞれではあるものの、おかずの味を濃く感じた場合には、ご飯を口に入れて薄め、薄く感じた場合には汁物を口に入れます。

最終的には食卓に出されたものをすべて食べるにしても、こうやって味覚を鍛えながら味わって食べることで、その時々の体調に合わせた食べ方ができるようになります。

疲れているときや病気のときには薄味を求めるようになり、元気がほしいときには濃い味になるということですが、年齢を重ねていくと、だんだんと薄味傾向になっていって、肉よりも魚を好むようになり、味付けも淡白になっていきます。これが日本人の味覚の最大限の特徴となっています。

欧米人やアジア大陸の人たちは青年期に食べた味わいが一生涯続き、食べるものも料理も大きくは変わりません。青年期と変わらない食事を食べ続けた場合には中高年になってから塩分や脂肪を多く摂ることになり、これが体調を乱し、生活習慣病を増やす原因にもなります。

それに対して日本人は口中調味の食べ方を続けたおかげで、だんだんと脂肪が少ない食品を選び、塩分が少ない料理を好むようになります。
子どものときに和食を食べる機会が多く、薄味に慣れた人は、成人以降にも薄味に慣れやすく、健康的な食生活を過ごせるようになっていくということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

適度な飲酒は血行をよくしてくれます。毛髪の育成には血流がよくて、栄養成分が多く送られてくることが大切なので、適度な飲酒量で抑えられるなら、お酒を飲むことは薄毛対策には効果があることになります。

適度な飲酒量というのは、日本酒換算で1合の量を指しています。この量なら、ほろ酔い状態になり、自律神経の副交感神経の働きが盛んになって、心身ともにリラックした状態になって、血管の緊張も緩んでいます。そのために血流がよくなっていくわけです。

日本酒換算というのは日本酒と同じだけのアルコールを飲むことを指していて、この場合の日本酒はアルコール度数が15度(15%アルコール)となっています。

アルコールの摂取量は純アルコール(100%アルコール)で20gを基準としています。日本酒なら1合(180ml)になり、ビール(15度)なら中ビン1本(500ml)、ウイスキー(43度)ならダブル1杯(60ml)、焼酎(25度)なら0.6合(110ml)、ワイン(14度)なら4分の1ビン(約180ml)が目安となります。

飲酒量と血圧の関係を見てみると、日本酒で1合の飲酒なら血圧が下がり、2合の飲酒量で元の状態に戻り、3合を越えると血圧が上がるようになります。これは飲酒によって緩んだ血管が、飲酒量が多くなって逆に収縮したわけではありません。

アルコールが血液中に入ってくると血管は緩みます。適度に緩んだときには血流がよくなりますが、緩みすぎると血圧が低下して、逆に血流が低下してしまいます。そのために飲酒量が増えると血圧を高めて、血流を一定に保つようにしているのです。

毛髪の発育のためには、できることなら日本酒換算で1合までの飲酒に止めておくべきで、多めに飲むようなときでも2合までにしておいたほうがよいということです。

毛髪に影響するのはアルコールだけでなく、アルコールから変化したアセトアルデヒドのほうがより強い影響を与えます。アルコールは肝臓にあるアルコール脱水素酵素の働きによってアセトアルデヒドという物質に変わります。

アセトアルデヒドは飲酒で顔が赤くなったり、動悸や頭痛の原因物質で、アセトアルデヒドが多くなるほど二日酔いが起こりやすくなります。アセトアルデヒドはアルデヒド脱水素酵素によって分解されて酢酸になって無毒化され、最終的には炭酸ガスと水になります。

日本人はアルデヒド脱水素酵素の働きが弱く、このことが悪酔いしやすく、二日酔いしやすい原因となっています。アセトアルデヒドが分解されるときには、肝臓でアミノ酸やミネラルが多く使われます。

また、毛髪に必要なアミノ酸のシステインやメチオニンはアセトアルデヒドによって減少することから、飲酒によって、これらの毛髪に必要な栄養成分が減少してしまうことになります。

いわゆる酒に強い人は、アルデヒド脱水素酵素の働きがよいとされますが、それでも欧米人と比べるとアルデヒド脱水素酵素は少ないので、どうしても毛髪に影響が出ることになります。

飲酒をすると頭皮の皮脂が増えやすく、飲酒後には頭皮や毛髪がベタついたり、かゆみがあるという人は、皮脂が毛髪の育成に影響を与えやすいので、飲酒量を減らすことが薄毛対策になるということです。

飲酒後にラーメンを食べたくなるという人は少なくありません。締めのラーメンが糖質(炭水化物)と脂質(脂肪)を多く取り入れることになり、血液をドロドロにさせるために頭皮の毛細血管への血流が低下することによって、薄毛の原因になることが指摘されています。

飲酒後にラーメンが食べたくなるのは、ラーメンの素材に含まれるミネラルなどの栄養成分が飲酒後には不足するので、これを補うための衝動だと説明されることもありますが、これは血糖値の低下と関係があります。お酒を飲むことで上昇した血糖値が急激に下がるために、多くの量を食べていたとしても空腹を感じてしまうからです。

アルコールは肝臓でグリコーゲンを分解して血液中のブドウ糖の量を増やします。そのために飲酒をすると血糖値が一時的に上昇します。血糖値が上昇すると膵臓からインスリンという血糖値を下げる作用があるホルモンも分泌されます。インスリンが多く分泌されると血糖値が急激に下がります。

満腹と空腹の感覚は脳の中枢で血液中のブドウ糖の量によって判断しています。そのため、急激に血糖値が下がると空腹を感じて、帰宅途中にラーメン屋があると立ち寄ってしまうということになります。

この状態が起こるのは飲酒量が日本酒換算で3合を超えた場合です。多くの量を飲むほど、空腹を感じやすくなり、ラーメン屋があいていなければコンビニに寄ってしまうことになるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

紫外線は皮膚のシミやシワの原因となります。これは光老化と呼ばれるもので、紫外線のダメージが皮膚の細胞を老化されていく現象です。皮膚の老化の8割以上は紫外線が影響していると言われますが、頭皮も皮膚の一部で、当然のように紫外線の影響を受けています。

毛髪によって守られているように思われても、紫外線は容赦なく頭皮にダメージを与え続けます。どのようなダメージかというと、紫外線を受け続けると頭皮のタンパク質が変化して硬くなり、弾力性が失われていきます。

硬い頭皮は血流が低下して、そのために毛髪の発育が抑制されます。また、毛髪も80%ほどがタンパク質であることから、切れ毛や抜け毛の原因となります。

紫外線にはUVA、UVB、UVCがあり、このうちUVCはオゾン層に吸収されるため、人体に影響を与えることはありません。UVAは紫外線の90%ほどを占めていて、皮膚の奥の真皮まで届いて、皮膚の弾力性を失わせて大きなシワを作り出す作用があります。

UVBは紫外線の10%ほどですが、日焼けによる炎症を起こすと同時に、メラニン色素の沈着を起こす作用があります。頭皮の環境に影響を与えているのはUVBです。

毛髪の育成のために有効であるとされる成分が、人によって効きにくいことがあるのは以前から指摘されてきたことですが、紫外線による影響については検討されることは、あまり進んでいませんでした。

大正製薬は、頭皮が受けた紫外線と発毛の関係について日本薬学会で発表して、新たな考え方を提案しています。

紫外線(UVB)をマウスに照射した試験では、炎症性細胞の浸潤とDNA酸化損傷マーカーの上昇が認められ、発毛が抑制されました。炎症や酸化が起こった頭皮では毛髪の再生が遅くなり、これが抜け毛を増やし、再生を遅らせる要因となります。

紫外線を照射すると炎症関連遺伝子の発現が増加しますが、その一方で発毛や育毛に重要な遺伝子の発現は抑制されていました。これによって紫外線によって発毛が抑制されるメカニズムの一つが明らかにされたわけです。

紫外線を照射して頭皮環境が悪化したマウスに、発毛作用がある成分として知られるミノキシジルの効果について調べています。ミノキシジルは血管拡張作用があり、高血圧対策の血管拡張薬として開発されましたが、毛髪を育成して脱毛症を回復させる発毛作用があることがわかり、発毛剤に使用されています。

今回の試験では、炎症や酸化が起こっている頭皮細胞ではミノキシジルの発毛作用が減弱することが確認されています。血流促進作用が、紫外線によってダメージを受けた頭皮には効きにくいという結果でした。

毛包は毛髪を作り出す組織で、外から見える部分は毛穴と呼ばれています。毛包の基部には毛乳頭があり、毛乳頭の周囲にある毛母細胞が血管から毛髪に必要な成分を吸収して、細胞分裂して増殖しています。

毛包を構成する毛包角化細胞は、発毛成分のグリチルレチン酸、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ヒノキチオールを添加することによって増殖が促進されています。

グリチルレチン酸は漢方に使われるマメ科の薬用植物の甘草の成分で、甘いことから甘味料としても使われるのですが、抗炎症作用があり、皮膚への刺激が少ないことから医薬品成分としても使われています。

ジフェンヒドラミン塩酸塩はアレルギー症状を引き起こすヒスタミンの作用を抑えて、かゆみや炎症などの皮膚の症状を抑える抗ヒスタミン薬です。鼻炎を抑える成分としても知られていますが、多くの発毛剤に補助成分としても使われています。

ヒノキチオールは檜(ヒノキ)の精油成分から発見されたもので、青森ひばに多く含まれています。抗炎症作用、抗菌作用があり、やはり発毛剤の補助成分として使われています。

毛包角化細胞に紫外線を照射したところ、毛包角化細胞の増殖が抑制されることがわかり、紫外線を照射した毛包角化細胞では炎症に関連する遺伝子の発現が上昇することが認められています。

毛包角化細胞にはスルホトランスフェラーゼ1A1という酵素があり、この酵素が増殖に関わっていますが、紫外線を照射するとスルホトランスフェラーゼ1A1遺伝子の発現が低下することが認められました。ところが、グリチルレチン酸を添加することによって、発現が上昇することが確認されています。

毛乳頭細胞に紫外線を照射すると脱毛因子とされるBMP2の発現が上昇して、脱毛シグナルのBMPシグナルが活性化することがわかりましたが、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ヒノキチオールの添加によって、発現が抑制されることが確認されています。

このようなことから、紫外線の影響を受けた場合でも有効性が認められる成分が明らかになり、これらの成分が含まれる発毛剤が注目を集めるようになっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

過剰なダイエットは、女性の場合は生理がなくなり、男性の場合は精力が低下すると同時に髪の毛が生えにくくなると言われています。健康維持に必要なエネルギー源が減ってきたときには、生命維持に必要がないものからストップさせようとします。

飢餓状態にあるときに生殖は必要がないことであり、毛髪も生命維持ということでは二の次となってしまうということです。

今どき、飢餓状態ということはないと思われがちですが、健康維持のためにと始める人が多い糖質制限は、正しい方法で実施しないと身体的には飢餓状態と同じことになって、これが毛髪に大きな影響を与えてしまいます。

糖質制限は、全体の食べる量を減らさずに糖質を減らすだけでダイエットもできれば、糖尿病をはじめとした生活習慣病の予防と改善にもつながるということで、簡単に始められ、比較的簡単に結果が出る健康法として期待されているのですが、毛髪に関しては、そんなに簡単なものではないということを知っておいてほしいことです。

糖質制限については多くの医師や管理栄養士などが書籍やネットで発言していますが、どれくらいの量を減らせばよいのか、どれくらい食べればよいのかという具体的な数値となると、なかなか示されていません。

ご飯は1日に1回だけ、とか、ご飯を半分に減らすといった曖昧なまま続けていたら、抜け毛を増やし、毛髪の再生が遅れることにもなってしまいます。

糖質制限が薄毛につながるメカニズムですが、毛髪の成長に欠かせないタンパク質が不足するからです。糖質というと一般には、ご飯やイモ類などに含まれるデンプンを指していますが、デンプンは消化酵素によって分解されるとブドウ糖になります。糖質制限をすると、血液中のブドウ糖が減ります。

ブドウ糖は、全身の細胞ですぐにエネルギー源として使われるものですが、エネルギー消費される分よりも多く摂った場合には、肝臓の中でブドウ糖は脂肪酸に合成されます。脂肪酸3個が結びついたものが中性脂肪で、中性脂肪は脂肪細胞の中に蓄積されていきます。

血液中のブドウ糖が減ると、エネルギー不足を解消するために脂肪細胞の中の中性脂肪が分解されて、脂肪酸として血液中に放出されます。これが糖質制限によってダイエットができる理由です。

さらにエネルギーが不足した状態になると、体内のタンパク質が分解されてエネルギー源として使われるようになります。毛髪の80%以上はケラチンと呼ばれるタンパク質であるので、全身のタンパク質不足は毛髪の栄養不足となります。

糖質制限では、糖質のエネルギーが不足する分だけタンパク質が含まれる肉や魚などを食べることがすすめられるのは、タンパク質不足を起こさないようにするためです。

健康維持のための糖質の摂取量については、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」には全摂取エネルギー量の50〜65%と示されています。少なくとも1日の摂取エネルギー量の半分は糖質から摂るようにということです。

三大エネルギー源のエネルギー量を1gあたりで見てみると、糖質とたんぱく質は約4kcal、脂質は約9kcalとなっています。30代、40代の男性の1日の消費エネルギー量は、体重や活動量によって異なるものの、標準的には2700kcalとなっています。

その半分なら1350kcalを糖質から摂ることになるので、ご飯にしたら約337gとなります。茶碗1杯分のご飯は約150gなので、1日に2杯と少しの分量ということになります。

全身をコントロールしている脳に必要なブドウ糖の量は1日に150gとされていて、これを下回ると脳だけでなく、全身に影響が出てきます。三大エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)のうち脳で使われるのは糖質のブドウ糖だけです。

脳が正常に働かなくなると、これは生命維持の危機的状態であるので、これが毛髪の発育に影響を与えないギリギリの量ということになります。
糖質の制限のしすぎが毛髪に悪影響を与えるということがわかると、糖質を積極的に摂ろうと考える人がいるかもしれませんが、糖質の過剰摂取はタンパク質を劣化させることになります。

血液中のブドウ糖が増えると、血液中のタンパク質が糖化します。ブドウ糖が減ってくれば元の状態に戻るのですが、ブドウ糖が多すぎる状態が続くとAGE(終末糖化産物)が作られます。AGE(Advanced Glycation End Products)はタンパク質とブドウ糖が結合して発生した老化を進める原因物質で、皮膚の場合にはシミやシワの原因になり、血管の場合には動脈硬化の原因となります。

頭皮にAGEが蓄積した場合には、頭皮のタンパク質が劣化して、血管が硬くなって血流も低下して、頭皮の健康状態も保たれにくくなります。毛髪を成長させる毛根の毛乳頭細胞にAGEが蓄積すると、毛根に炎症が起こり、毛髪の成長サイクルが遅くなって、抜け毛に対して発毛が間に合わなくなってしまいます。

健康維持に必要な糖質制限で止めておいて、血糖値(血液中のブドウ糖の量)が上昇しすぎないようにすることが毛髪の健康には必要だということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

ストレスは毛髪に影響を与えることは以前から言われていて、その理由も数多く検討が進められてきましたが、新たな理由としてあげられているのはストレスホルモンとして知られるコルチゾールの存在です。

コルチゾールは副腎皮質から分泌されているステロイドホルモンで、ストレスがかかると10〜20分で2〜3倍にも増加することから、ストレスのバイオマーカー(目安となる生理学的指標)とされています。

コルチゾールは肝臓での糖新生、筋肉でのタンパク質合成、脂肪細胞の中での脂肪の分解、炎症や免疫の抑制など健康維持のための重要なホルモンとなっています。

また、コルチゾールは免疫系、中枢神経系、代謝系などにさまざまな生理学的な作用があり、長期間にわたって過剰に分泌されると脳の海馬を萎縮させたり、うつ症状を悪化させることが報告されています。海馬は、大脳辺縁系にあって、記憶や空間学習能力に関わる器官となっています。

ストレスによって生じる身体的変化、精神的変化はコルチゾールによって引き起こされていると考えられているのです。

毛髪とコルチゾールとの関係ですが、血液中のコルチゾールは数か月をかけて毛髪に蓄積されていきます。毛髪の80%ほどはタンパク質で構成されていますが、その約70%がケラチンタンパク質、約10%が非ケラチンタンパク質が占めています。

ケラチンが生成されるときにコルチゾールが取り込まれていきます。毛髪は1か月で約1cm伸びるので、根元から3cmの部分を切り取って測定すると、ここ3か月のコルチゾールの量を測定することができます。

精神的、肉体的なストレスが強いほどコルチゾールが多くなるわけですが、薄毛の人で毛髪に含まれるコルチゾールを測定すると、一般の人に比べて多いことが確認されていて、その量は失業した人に匹敵するといわれています。

コルチゾールは毛髪の脱色やカラーリングによって量が減ることがあり、洗髪のしすぎでケラチンが損傷してコルチゾールが抜けて、うまく評価できないこともあります。

コルチゾールは糖新生のためのホルモンであると先に触れましたが、糖新生というのは脂肪やタンパク質を肝臓の中で糖に変換させる働きのことで、すぐにエネルギーとなる糖(ブドウ糖)を増やして積極的に活動できるようにする仕組みとなっています。

コルチゾールが多く分泌して糖新生が進むと、血液中のタンパク質の量が減り、毛髪の育成のために必要なタンパク質が減ることも、ストレスが薄毛に影響をする理由の一つだと考えられているのです。

30〜40代の男性の毛髪の状態とコルチゾールの関係について調べた研究では、コルチゾール濃度が高い人ほど薄毛の傾向があり、中でも後頭部の毛髪の直径が細くなっていることが確かめられています。

コルチゾール濃度が高いほど直径は細くなり、濃度が3倍になると毛髪は6割ほどの細さになっていました。

さらに、コルチゾール濃度が高いほど頭皮の毛穴から生える毛髪の本数が少なくなっていました。1つの毛穴から生える本数は通常は2〜3本となっていますが、年齢に比例して減っていくことから、コルチゾール濃度が高くなる過剰なストレスは年齢に比べて薄毛になりやすいことが指摘されています。

ストレスを感じると頭が硬くなると言われることがありますが、硬くなるのは頭皮で、頭皮が硬くなると血流が低下して、薄毛になりやすいことは以前から言われていました。

頭皮が硬くなると1つの毛穴から生える本数が減ることも指摘されていることから、ストレスが生じてコルチゾールが増えることは血管を萎縮させて、血流が低下することから、毛根細胞の活性が低下して、これが薄毛に影響を与えているようです。

ストレスを解消するために運動がすすめられることがあります。運動は血流を促進して、代謝が進むことから毛髪にはよさそうですが、それを期待して疲労が蓄積するほどの運動をすると逆効果にもなりかねません。

マラソンなどの強度の持久力運動ではコルチゾールの分泌量が増え、また筋肉に強い負荷をかけるウエイトトレーニングによってもコルチゾールの分泌量は増えていきます。毛髪の育成によい運動は、適度な負荷がかかるウォーキングなどの有酸素運動だとされています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

ストレスは毛髪にはよくないとされていて、その理由として頭皮の血流の低下があげられています。ストレスは自律神経の交感神経を強く刺激します。

自律神経には体を興奮状態にさせる交感神経と、それと逆に興奮を抑えて、心身ともに落ち着かせる作用がある副交感神経の2系統があります。交感神経も副交感神経も全身に張り巡らされていて、必要に応じて切り替えられています。

交感神経が刺激されると、血管が収縮して血圧が上昇すると同時に、心拍数と呼吸数が増加します。心拍数が増えるのは血管が収縮したために血液の流れる量が減って、酸素も栄養素も不足するからです。

ストレスは、血管に影響するだけではなくて、血液の質にも影響を与えます。それが毛細血管の血流を低下させて、毛髪の育成を妨げることになります。そのメカニズムですが、ストレスを受けることによって血液中のブドウ糖が多くなりすぎて、頭皮を通っている毛細血管の血流が低下することになるからです。

ストレスには肉体的なものと精神的なものがありますが、どちらのストレスであっても現状から逃れるために、そのエネルギーを一時的に作り出そうとする体の反応が起こります。そのエネルギーとなるのはブドウ糖です。

ブドウ糖は食品の糖質に含まれている成分で、全身の細胞を働かせるための第一のエネルギー源となっています。血液中で余分になったブドウ糖はグリコーゲンに合成されて、筋肉と肝臓に蓄積されます。そして、血液中のブドウ糖が少ない状態になると、グリコーゲンが分解されて血液中のブドウ糖が増えていきます。

血液中のブドウ糖が多くなると、ベタベタした状態になって赤血球の一部がくっつくようになります。赤血球は直径が10μm(マイクロメートル)ありますが、毛細血管は8μmほどです。8μmというと蜘蛛の糸の太さですが、この狭い毛細血管を赤血球はつぶれるようにして通過していきます。

これは赤血球が単独で動いているから可能なことで、濃くなったブドウ糖によってくっついた赤血球は変形をしたとしても通過できなくなります。そのために、毛細血管の血流が低下してしまい、頭皮の血流も低下することになるのです。

ストレスによって血液中のブドウ糖が多くなるといっても、精神的なストレスの場合には多くのブドウ糖は必要がないので、この余ったブドウ糖は肝臓で脂肪に合成されます。筋肉のグリコーゲンが減って、脂肪が増えることになると、筋肉が減って、どんどんと脂肪が増えることになります。

脂肪を主に代謝させるのは筋肉の働きであるので、筋肉が減るほど脂肪が代謝されにくくなります。これがストレス太りの原因の一つとなっているのです。

血液中の脂肪が増えると血液がドロドロになって、これも血流を低下させる原因となります。血液中の脂肪というと食事で摂った食品に含まれている脂肪を考えがちですが、体内の脂肪細胞には多くの脂肪が中性脂肪の形で蓄積されています。

この中性脂肪は神経伝達物質のアドレナリンによって分解されて、脂肪酸となって血液中に放出されます。これは興奮状態になって多くのエネルギーが必要となったときのエネルギー源で、強いストレスがかかるほどアドレナリンが多く分泌されて、血液中の脂肪酸が増えていくのです。

血液中の脂肪酸は、肝臓に運ばれると中性脂肪に合成されます。中性脂肪は脂肪酸が3個つながったものですが、血液中の中性脂肪が多くなると、血管の中で固まって流れが悪くなるだけでなく、動脈硬化のリスクも高まります。

動脈硬化は血管が硬くなり、弾力性が失われてく状態で、太い動脈から送り出される血流が低下します。そのために、毛細血管の血流は、さらに低下することになり、頭皮に送られる血液の量も減ってしまい、毛髪が抜けやすくなることになります。

ストレスは、頭皮の悪影響を与えるといっても、その多くが血液中のブドウ糖と中性脂肪の量が関わっているということで、食事で摂る糖質と脂肪の量を抑え気味にすることで対応することも可能です。もちろん、ストレスが強くならないようにすることも必要なことです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

セレンは健康維持に必要な必須ミネラルで、体重60kgの人では体内に10mgほどしか存在していない微量ミネラルです。量が少ないということは、その量が少しでも減少したら健康に影響が生じやすいということです。

セレンには抗酸化作用や代謝促進作用があり、不足すると代謝が低下して毛髪の脱落や爪の変形などが起こり、極端に不足した場合には死に至ることさえあります。

脱毛は遺伝やホルモンバランスの乱れ、ストレスが大きな原因と考えられていますが、食事の変化によるセレン不足も大きな要因となっていることが指摘されています。

セレンが不足すると脱毛のほかに毛髪の再生の遅れ、極端に細い毛髪や柔らかい毛髪しか生えないということも起こりますが、セレンは肉、魚、野菜などに含まれ、通常の食事では不足しないとされています。

しかし、食事の種類や量が同じであってもセレンが不足している人がいて、その原因として身体の消化、吸収、代謝などが考えられ、研究が進められてきました。その結果、明らかにされてきたのが腸内細菌のバランスでした。

腸内細菌は、善玉菌、悪玉菌、日和見菌に大きく分けられ、健康的な腸内環境とされるのは「2:1:7」の割合となっています。

腸内細菌は、どれも栄養源を取り入れて、代謝物を排出しています。人間にとってよい代謝物を作り出すのが善玉菌、害となる代謝物を作り出すのが悪玉菌とされています。

日和見菌は腸内環境によって善玉菌にも悪玉菌にもあるもので、善玉菌が多い腸内では善玉菌としての働きをして、悪玉菌が多くて善玉菌が少ない腸内では悪玉菌の働きをすることが知られています。

悪玉菌が善玉菌よりも多くなったときには日和見菌が悪玉菌と同じような状態になって、ほとんどが悪玉菌といったような状態となってしまうというわけです。

善玉菌と悪玉菌の栄養源はほぼ決まっていて、善玉菌が主に取り入れているのは主食(ご飯、麺類、パンなど)の糖質と乳製品、食物繊維です。乳製品には乳糖が含まれていて、乳糖が善玉菌の栄養源となっています。

悪玉菌が主に栄養源として取り入れているのは動物性たんぱく質と脂肪です。糖質制限のやりすぎや野菜が不足した食生活では善玉菌が減りやすく、肉や脂肪が多い洋食では悪玉菌が増えやすくなります。

日本人は年齢を重ねると乳糖分解酵素が減少しやすく、そのために乳製品を食べても善玉菌が増えにくいという特徴があります。

善玉菌には腸内での発酵を進めて、便を軟らかくして通過しやすくする作用があります。悪玉菌には腸内での腐敗を進めて、便を硬くする作用があるために便通が悪くなります。

食物繊維には便の量を増やすとともい腸壁を刺激して便通を促進する作用があるので、食物繊維を多く摂ることは便通にはよいことになります。

ただし、野菜の葉や根菜などに多い不溶性食物繊維は便を硬くする作用もあり、海藻、きのこ、果物に多く含まれる水溶性食物繊維には便を軟らかくする作用があるので、水溶性食物繊維を意識して摂ることが大切になります。

腸内細菌の善玉菌を増やすことによってセレンの吸収がよくなるということですが、その仕組みについては千葉大学(大学院薬学研究院予防薬学研究室)の研究によって解明されています。

その研究はラットを用いて実験されたものですが、セレンは善玉菌が多い腸内細菌叢によって、さまざまなセレン化合物はセレノメチオニンに代謝されることが明らかになりました。

食品に含まれるセレンは分子形態が多様で、糖やアミノ酸などのセレン化合物の形があります。食事の嗜好によって摂取するセレン化合物が偏っていたとしても、腸内細菌叢がセレノメチオニンとすることで吸収がよくなるということです。

セレン化合物から代謝されたセレノメチオニンは腸内細菌の中に貯蔵されることも明らかにされました。これによって食事によるセレンが不足する期間があっても、セレンが不足しないのは、この作用によるものと考えられています。

腸内細菌は腸内で増殖しやすい温度帯があります。腸内の温度が高いときには善玉菌も悪玉菌も増殖するのですが、腸内の温度が低いときには善玉菌が増殖しにくいのに対して悪玉菌が増殖しやすくなっています。

腸が冷えている状態では悪玉菌が増えることから善玉菌が減ることになるので、お腹を温めることが腸の状態だけでなく、毛髪にも影響してくるということになります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

毛髪の健康のためには、普段からの健康的な生活が大切だと言われます。暴飲暴食、運動不足、寝不足、ストレスがかかる生活は毛髪によいわけがないことは普通に考えてもわかることです。

少しでも健康的な生活を過ごしたいと考えている人が、簡単にできる健康法として取り入れていることの一つに糖質制限があります。

糖質制限は、食事に含まれる糖質を減らすだけで、普通なら健康にはよくないと考えられる肉食も、減らすことなく食べても健康が維持できるというので、飛びつく人が多いのもわかります。

糖質は多くの食品に含まれていますが、最も多く含まれるのは主食のご飯、麺類、パンなどで、ご飯の場合は全エネルギー量のうち約77%は糖質となっています。麺類では中華麺を例にすると約28%、食パンでは約37%が糖質となっています。同じだけの分量を食べたとすると、ご飯は食パンの2倍近くも糖質を摂ることになります。

なぜ糖質制限が健康によいのかということですが、初めて紹介されたときは「糖質制限ダイエット」としてで、糖尿病の人に糖質を制限することによって血糖値を下げる効果があることが裏付けとされました。

食品の糖質にはブドウ糖が含まれています。ブドウ糖は1個の分子の単糖で、ブドウ糖1個と果糖1個が結びついたものは蔗糖(しょとう)と呼ばれます。一般に言われる砂糖のことで、甘い砂糖は半分がブドウ糖ということになります。

ブドウ糖が数多く鎖状に結びついたものがでんぷん(澱粉)で、でんぷんは消化酵素によってブドウ糖に分解されます。ということは、ご飯や麺類、パンなどに多く含まれるでんぷんが完全に分解されると、同じ分量の砂糖よりも多くのブドウ糖を摂ることになります。

全身のエネルギー源というと、糖質(ブドウ糖)、脂質(脂肪酸)、たんぱく質(アミノ酸)ですが、ブドウ糖は全身の細胞に素早く取り込まれて、すぐにエネルギーとなります。細胞にブドウ糖を取り込むためには、インスリンというホルモンが必要になります。

糖質を摂ることによって血液中のブドウ糖が多くなると、これをキャッチした脳から指令が出て、膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンによってブドウ糖が細胞に取り込まれると血糖値が下がるわけですが、血糖値が上昇するほどインスリンが多く分泌されるようになります。

インスリンにはブドウ糖を細胞に取り込む働きのほかに、もう一つ重要な働きがあります。それは肝臓の中で中性脂肪を合成することです。ブドウ糖はインスリンによって肝臓の中で脂肪酸に合成されて、その後に脂肪酸3個が結びついて中性脂肪となります。

脂肪をほとんど摂らないような食生活をしていても、糖質を摂っていると中性脂肪が増えるということですが、中性脂肪は蓄積型の脂肪で、脂肪細胞の中に蓄積されていきます。

これは糖質を摂ることによって太る仕組みで、その逆のことをしようとするのが糖質制限ということになります。

糖質制限をすることで太らないようになるだけでなく、血液中の中性脂肪が減ることによって動脈硬化のリスクを減らすこともできます。

脂肪細胞に蓄積される中性脂肪が増えすぎると、脂肪細胞からアディポサイトカインという生理活性物質が多く分泌されるようになります。

アディポサイトカインが多く分泌されるほど太った状態はメタボリックシンドロームと呼ばれます。

アディポサイトカインには血圧や血糖値を上昇させる作用や、血管を詰まらせる血栓を作る作用があるので、糖質制限によって太らないようにすることは、生活習慣病の予防につながるということです。

糖質制限は健康によいとしても、強い空腹を感じてしまい、続かないという人も多くいます。ブドウ糖は脳の空腹と満腹を調整していて、ブドウ糖の量が多くなると満腹中枢が刺激されて食欲がなくなります。

それとは逆にブドウ糖の量が少なくなると摂食中枢が刺激されて空腹を感じて、ブドウ糖を欲するようになります。このような反応があるのは、ブドウ糖が脳の唯一のエネルギー源となっているからです。

脳細胞にはブドウ糖しか通過できないので、全身の働きをコントロールしている脳の機能を維持するために、ブドウ糖が減ってくると飢餓状態を感じさせて、食べ物を欲しがるようにしているのです。

空腹を感じるほどの糖質制限は、体によいどころか、かえって体には悪い結果になります。どれくらいの糖質が必要かというと、1時間に約4gとされているので、1日24時間では100gほどは最低限必要となります。

このうち脳だけで80gは使われています。臓器や筋肉の働きを正常に保つためには20gは必要ということですが、ブドウ糖100gは、ご飯の量では茶碗2杯分に当たります。

ブドウ糖は全身に平等に届けられるわけではなくて、最優先される脳、内臓などから順番に使われていきます。ブドウ糖不足の状態になると生命維持に必要ではないところからカットされていきます。

一番初めにカットされるのは生殖に関わる器官とされていますが、それに次ぐと考えられているのが毛髪です。毛髪も毛根の細胞はエネルギー源としてブドウ糖が使われています。毛髪に影響が出るのは毛髪が抜けて、再生が遅れたとしても生命の維持には関係がないからです。

そんなことにならないように、少なくとも1日にご飯なら2杯、食パンなら5枚切り2枚、麺類なら1玉の3分の2くらいは食べる必要があるということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

自家毛髪培養細胞を用いた細胞治療法が、脱毛症や薄毛に悩む男女に対して安全性と改善効果があることが認められたことを、東京医科大学(皮膚科学分野)、東邦大学(医療センター大橋病院皮膚科)、資生堂(再生医療開発室)の研究チームが発表しました。

再生医療というと、これまでは怪我や病気によって失われた機能を再生することを目的として臓器や器官を元に戻すことに注力されていましたが、再生医療による新たな薄毛治療法の開発に向けた重要な研究成果として注目されています。

再生医療は既存の治療法では対応できない疾患に対して、ヒト由来の組織や細胞を移植して、自己再生能力によって治癒する治療法ですが、これには患者自身の細胞を用いる自家細胞移植と、他人の細胞を用いる他家細胞移植があります。今回の共同研究の技術は免疫拒絶などの副作用が少なく、安全性が高い自家細胞移植となっています。

脱毛症の中でも発生頻度が高い男女の壮年性脱毛症は重篤な疾患ではないものの、外見が気になる人にとってはQOL(生活の質)に関わる重要なことで、新たな治療法が求められていました。

壮年性脱毛症の治療法としては、国内では概要の育毛剤・発毛剤や男性ホルモン抑制効果がある経口治療薬など複数の薬剤などが使われていますが、継続的な服用が必要となります。

また、女性では用量に制限があったり、経口治療薬が使用できないなど薬剤の選択肢が限られていることから、男女ともに充分な効果が得られるものではないと考えられてきました。

研究チームは毛球部毛根鞘(DSC)細胞加工物(S–DSC)を用いた自家培養細胞の頭皮薄毛部への注入施術の臨床検査を実施しました。S–DSCは、東京医科大学、東邦大学、資生堂が共同開発した細胞加工物と医療施術となっています。

その実施方法ですが、被験者の後頭部から少量の皮膚組織を採取して、毛包のDSC組織を培養してS–DSCを獲得して、50人の男性と15人の助成の脱毛部頭皮の4つの異なる部位に、異なる量のDSC細胞、DSCを含まないプラセボ液を注入して12か月後まで総毛髪密度、積算毛髪径、平均毛髪径を測定しました。

その結果、DSC細胞を注射した部位の総毛髪密度と積算毛髪径は6か月後および9か月後にプラセボと比較して有意に増加しました。その有効性に男女差はなく、重大な有害事象も認められなかったといいます。

毛髪の試験というと、これまでは動物試験によって毛髪の一部が増えることは確認されていたものの、被験者を対象とした例は多くはありませんでした。

また、男性と女性では脱毛や薄毛の原因が異なり、その部位も異なることから、同一の方法で同じような結果を出すことは難しいと考えられていました。

有効な濃度と安全性の高い濃度を確認することも手間がかかることですが、この臨床試験では、S–DSCを薄毛部の小さな面積に一度だけ注射することで、有効な細胞濃度を決定して、安全性についても確認することができたといいます。

実際の治療法として使用するためには、薄毛部全体に複数回投与して、見た目でわかる治療効果と安全性を確認する必要があります。まだ、実用化までは期間がかかるものの、大きな期待が寄せられていることです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕