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体が冷えやすい人は血液の温度が低いことが想像されることもあるのですが、実際には血液の温度はほとんど変わりません。

日本人の血液温度は37〜38℃で、血液温度を高めているのは筋肉をはじめとした全身の細胞で発生している熱です。この温かい血液が全身を巡って、皮膚から放熱をされて体温(皮膚温)は36〜37℃になっています。

欧米人は血液温度が高めで、体温も高めになっているので、日本人なら長袖の上着1枚では少し寒く感じるようなときでも、平気で半袖で過ごせるという違いがあります。

その血液温度は38〜39℃と1℃ほどの違いでしかありませんが、この差が、日本人は霧雨を寒いと感じるのに欧米人は涼しくて気持ちがいいという反応の違いになっています。

血液を温める細胞での発熱の元となっているのは食事で摂ったエネルギー源の糖質や脂質で、これを材料にして細胞の中のミトコンドリアという小器官でエネルギーが作られています。

1日に作られるエネルギーのうち約70%は基礎代謝といって、生命を維持するために使われています。その基礎代謝のうちの約70%は体熱となっています。つまり、1日のエネルギーの約半分(70%×70%=49%)は体を温めるために使われているわけです。

欧米人は肉食が多くなっていて、肉に多く含まれる脂肪はエネルギー量が高くて、1gあたり約9kcalとなっています。これに対して糖質は約4kcalなので、脂肪を多く摂るほどエネルギー源の量が多くなり、それだけ細胞の中で作り出される熱量も多くなるわけです。

血液が温まるほど、血液中の脂肪が溶けやすくなって流れやすくなります。日本人は血液の温度が低くて、脂肪が多くなるとドロドロ状態になって血流が低下しやすいという特徴があります。

そのために血液の温度が低くなると全身の血流が低下しやすくなり、末端の血管ほど流れが悪くなります。頭皮の血管は極めて細い毛細血管なので、血液温度が低いほど流れが悪くなって、毛髪を成長させている毛母細胞に運ばれる育毛に必要な栄養成分も送られにくくなって、抜け毛にもつながりやすいということがいえます。

体が冷える人は手足の先が特に冷えやすくなっています。これは温かい血液が先端まで充分に運ばれていないために起こることです。手足が冷えるということは、他の末端の血流も悪くなっているということで、頭皮の血行も悪くなってしまいます。

血流を盛んにする方法としては、運動や入浴、口から入れるものでは香辛料や根菜類なども知られていますが、もう一つ血流をよくするものとして、よく例に出されるのは飲酒です。お酒を飲んだときには体温が上昇します。

そのために飲酒は毛髪によい影響を与えるのではないかという考えがある一方で、飲酒が薄毛の原因になっているという指摘もあります。どちらが本当なのかというのは酒好きの人だけでなく、誰もが気になることかと思います。

飲酒をすると体温が上昇しますが、その理由の一つはアルコールのエネルギー量です。1gあたりでは約7kcalとなっています。脂肪に匹敵するようなエネルギー量ですが、これは純粋なアルコール(100%)の場合で、実際には日本酒で15%、ビールで5%くらいなので、それだけ低くなっています。

とはいっても、飲みすぎれば多くのエネルギー量を摂ることになるわけですが、飲酒後の体温の上昇に多くのエネルギーが使われるので、アルコール飲料だけでは太るようなことはないわけです。飲酒で太るのは、一緒に食べるほうのエネルギー量に原因があります。

適度な飲酒量なら、血管はゆるんで血流がよくなり、血圧も適度に上昇するだけです。適度な量というのは日本酒換算で一合の量となり、ほろ酔い程度で止めておくのが最もよい飲み方といえます。

飲酒と薄毛の関係については、実は臨床的な結果は得られていません。それなのに飲酒で薄毛になると言われるのは、肥満の人に薄毛の傾向があるからです。脂肪細胞の中に蓄積される体脂肪が増えすぎるほどの飲酒は、体温を低下させて、末端の血流を低下させます。

というのは、脂肪細胞にも血管が通っていて、体脂肪が増えるほど脂肪細胞に送られる血液量が増えるために、末端に送られる血液量が減るからです。

肝臓には脂肪合成酵素があって、この酵素はアルコールによって活性化します。ということは、飲酒をすると肝臓で合成される脂肪が増えて、脂肪細胞に蓄積される脂肪が増えていくことになり、これが肥満による薄毛につながっていくことになるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

薄毛対策のために養毛剤を使っている人も少なくありません。薄毛対策の基本は生えるようにすることと、抜けないようにすることです。養毛剤は髪の毛を育てて抜けにくくすることを目的としたものです。

似たようなもので発毛剤がありますが、こちらは毛髪を生やすのが目的です。生やして、すぐに抜けては意味がないので、通常は脱毛の進行を遅らせる成分も使われています。

抜けないようにするためには、養毛剤を塗っておけばよいのかというと、大抵の養毛剤には使用法としてマッサージや揉み込むようにして浸透させることがすすめられています。念入りにマッサージをすると浸透しやすくなると書かれていると、養毛剤が効いているのか育毛はマッサージのおかげなのかわからなくなってしまいます。

マッサージの効果は、血行促進だと一般に言われています。毛髪の発育に必要な成分が毛母細胞に届けられやすくなるというのが大きな理由としてあげられています。最新の研究で、頭皮への振動刺激が毛乳頭細胞の細胞分裂を促進して、発毛に影響することが報告されています。

揉み込むマッサージだけよりも、振動や圧迫を与える方法がより効果が高いということで、頭皮用の振動マッサージ器への関心も高まっています。

毛乳頭細胞を刺激するほど強くマッサージをするのは大変なことですが、頭皮が硬い人は血流が悪く、マッサージによって頭皮を軟らかくすることによって、血流がよくなることは間違いありません。

圧迫による刺激といえば、東洋医学のツボ療法も注目されています。男性の薄毛はホルモン分泌が大きく影響していますが、男性ホルモンの過剰に加えて頭皮の血行不良は抜け毛の原因となっています。血行をよくする部分としては髪の分け目や生え際といった気になる部分ということになります。

それと同時に刺激されるツボとしては「百会」(ひゃくえ)が代表的なものとして、ほとんどのツボを紹介した書籍で紹介されています。

百会は頭頂部にあって、頭の正中線と左右の耳の上端を結んだ線の交差点にあります。正中線は鼻から上に上がった左右中央の線のことで、イメージとしては頭のてっぺん(頭頂部の中央部)の凹んだ部分です。

百は多くのものを示す言葉で、百会という名前は、多種多様な経絡が会う、つまり交わるという意味を持っています。経絡は、東洋医学では皮膚に現れた反射経路のことを指していて、経絡上のツボを刺激することで経絡によって結ばれた離れた部位(内臓、器官など)を刺激することができるというものです。

百会を刺激することは、経絡を通じて全身をコントロールすることができる多くの効果があるということで、自律神経と直結して体調を整えるとされています。

自律神経は交感神経と副交感神経があり、全身の内臓や器官、血流などの機能をコントロールしています。自動車にたとえると交感神経はアクセルに、副交感神経はブレーキにあたります。自律神経の働きを調整して、必要に応じてアクセルとブレーキを効かせることによって、全身の健康にプラス効果を与えるというわけです。

その中でも多くの作用が組み合わさって起こる抜け毛、薄毛には威力を発揮することが知られています。自律神経の乱れはストレスによることが多く、髪の毛の状態はストレス状態を反映するとも言われているだけに、百会の効果は大いに期待されます。

このほかに百会が用いられるのは、不眠、頭痛、肩こり、目の疲れ、二日酔い、めまい、耳鳴りなどで、血流低下が影響する痔の特効穴(特に効果のあるツボ)としても使われます。

強く刺激すればよいわけではなくて、心地よい程度に4〜5秒ほど押しては力をゆるめるという刺激法を繰り返すようにします。

理容院や美容院で頭皮マッサージをするときに、途中で親指を当てて軽く押し込むようにするのは、この百会による血流促進と自律神経調整の効果をマッサージの効果と合わせて得るためのことです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

父親が薄毛だと、その子どもは“自分もそうなるのか”と不安になることが多いはずです。子どもといっても不安を感じているのは、ほとんどが男性です。

毛髪の質は遺伝しやすいといっても、そもそも女性は女性ホルモンの働きによって抜け毛が少ないとされているからです。

男性の薄毛の原因の90%以上を占めるとされる男性型脱毛症(AGA)は遺伝に大きく影響されるのは事実です。

しかし、薄毛の遺伝については、父親だけが影響を与えているわけではないので、母親からの遺伝も考える必要があります。とはいっても、母親は女性なので薄毛の体質かどうかは確認しにくいものです。遺伝の場合は、母親だけでなく、その兄弟や親にも遺伝による薄毛が出ていることがあるので、母方の親戚の状態も確認しておく必要がありそうです。

薄毛の遺伝の仕組みについて話をする前に、男性型脱毛症の仕組みを説明して起きます。男性型脱毛症に大きな影響を与えているのは男性ホルモンのテストステロンです。

テストステロンは睾丸から分泌される男性ホルモンで、血液中を流れて頭皮まで運ばれると、頭皮の5αリダクターゼという酵素と結びついて、ジヒドロテストステロン(DHT)という強力な男性ホルモンに変化します。これが男性型脱毛症の最大の原因、つまり原因物質とされているものです。

5αリダクターゼには2つのタイプがあって、それぞれ働く場所が異なっています。頭皮の場合にはⅠ型5αリダクターゼは皮脂腺に多くあって、皮脂を多く作り出す働きをしています。皮脂腺の男性ホルモンが増えると皮脂が詰まって血行が悪くなるといわれますが、実際に増えているのはジヒドロテストステロンで、これにはⅠ型5αリダクターゼが影響しているということです。

もう一つのⅡ型5αリダクターゼは前頭部や頭頂部の毛乳頭細胞に多くあります。毛乳頭細胞は毛根の一番下にあって細胞分裂を盛んに繰り返している部分です。ここでジヒドロテストステロンが増えると細胞分裂に影響が現れます。

男性型脱毛症による薄毛は前頭部や頭頂部から進んでいくので、Ⅱ型5αリダクターゼが影響していることがわかります。

毛乳頭細胞の細胞分裂に影響があった場合には、成長が遅れるだけで、直接的に抜け毛に影響するわけではありません。発生したジヒドロテストステロンは毛乳頭にある男性ホルモンレセプター(受容体)と結合して、脱毛因子TGF−βというタンパク質を増やします。

この脱毛因子TGF−βが脱毛因子FGF−5に伝わると脱毛指令が出されます。この指令を受けて、毛髪が抜けていくことになります。

脱毛のメカニズムのうち、遺伝が関係しているのは頭皮の5αリダクターゼの活性度と、男性ホルモンレセプターの感受性です。5αリダクターゼの活性度が低ければジヒドロテストステロンが発生しにくくなり、男性ホルモンレセプターの感受性が低ければ脱毛指令が出にくくなるわけです。

5αリダクターゼの活性度を高める遺伝子は優性遺伝をします。優性遺伝というのは遺伝の優劣ということではなくて、親の影響を強く受けていることを指しています。5αリダクターゼの活性度は父親からも母親からも受け継がれるものです。

ということは、父親も母親も薄毛でないとしても、母親の親に5αリダクターゼの活性度を高める遺伝子があれば、薄毛になる可能性が高いということになります。つまり、母親を介した隔世遺伝もあるということです。

男性ホルモンレセプターの遺伝子はX染色体にあります。男性はX染色体とY染色体があり、女性はX染色体だけとなっています。男性のX染色体は女性から受け継ぐため、男性ホルモンレセプターの働きが強くて抜け毛になりやすい体質は母方から受け継ぐことになります。母親の兄弟や祖父母に薄毛の人がいたら、早めの対処が必要ということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

毛髪の状態に影響することとしては、男性ホルモンの分泌や頭皮の血流などがよく言われることですが、毎日の生活習慣も大きな影響を与えるとして、食生活や運動、休養が取り上げられています。

毛髪のために特別なことをするのかというと、メディアやネットなどで紹介されているのは「こんなことでいいのか」という声があがりそうなことばかりです。大雑把にいうなら“バランスの取れた栄養”“適度な運動”“充分な休養”ということになります。

しかし、それらの目標には納得できるところもあって、毛髪のためには絶対に必要な栄養成分があります。摂取した栄養成分からエネルギーを作り出して毛髪の新陳代謝を高めるためには、欠かすことができないビタミンとミネラルがあります。

毛髪に必要な成分の基本はたんぱく質です。毛髪というとカルシウムが必要と書かれた書籍やネット情報もあるのですが、カルシウムは毛髪の成分の一部ではあっても、中心成分ではありません。カルシウムが中心的な成分となっているのは骨です。

毛髪の成分は、タンパク質が約80%を占めていて、そのタンパク質の中でもケラチンタンパク質が約70%、非ケラチンタンパク質が約10%を占めています。ケラチンは爪や皮膚の角質などと同じ硬質タンパク質の一種で、動物では角や羽の主成分ともなっています。

タンパク質以外では、水分が約12%、CMCが約3.5%、メラニン色素やNMF(天然保湿因子)などが約4.5%となっています。CMCは細胞膜複合体といってキューティクルの薄い膜状の結合成分となっています。

栄養成分のうち糖質(ブドウ糖)、脂質(脂肪酸)、たんぱく質(アミノ酸)は三大エネルギー源と呼ばれています。三大エネルギー源は、全身の細胞の中にあるミトコンドリアという小器官に取り入れられて、エネルギー代謝が行われます。

エネルギー代謝というのは糖質や脂質を酸化分解してエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)を作り出すことです。このエネルギー物質を使って、細胞は新陳代謝を行っているので、多くのエネルギーを作り出すには糖質と脂質を不足させることはできません。

理想的なバランスは、厚生労働省の『日本人の食事摂取基準』では、糖質が50〜65%、脂質が20〜30%、たんぱく質が13〜20%とされています。極端な糖質制限や肥満の改善のために脂肪をあまりに制限するのは体のためにも毛髪のためにもよくないということです。

エネルギー代謝にはビタミンB群のビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂が必要です。ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆は植物性食品にも含まれているので大豆、玄米から摂ることもできますが、ビタミンB₁₂は動物性食品にだけ含まれるために肉や魚も食べる必要があります。

毛髪の成長には、さまざまな酵素が働いていますが、酵素が働くときに必要な補酵素の多くはミネラルです。その中でもマグネシウムは約300種類、亜鉛は約200種類の酵素に対する補酵素となっています。マグネシウムは種実類、豆類、魚介類などに多く、亜鉛は魚介類、肉類に多く含まれています。

“適度な運動”と言われても、どの程度の運動を、どれくらいの時間やればよいのかわからないという人が多いかと思います。血流を促進して、毛髪の育成に役立てるためには、ウォーキング程度の運動でも充分です。

普通に歩くだけでも安静時の3倍ほどの消費エネルギー量があります。ウォーキングは有酸素運動で、多くの酸素を取り込んで体を動かすとエネルギー代謝も高まります。

糖質と脂質を使ったミトコンドリアの中のエネルギー代謝には酸素が必要で、酸素を多く取り入れることで、多くのエネルギーを作り出して、その結果として毛髪の育成を促進させることができます。

“充分な休養”というのは、休み時間を取ることというよりも、充分な睡眠時間を取り、熟睡することを指しています。毛髪も含めて身体の成長には、成長ホルモンが必要です。成長ホルモンが最も分泌されるのは深夜の0時から2時の間です。その時間帯に熟睡していることによって成長ホルモンの分泌が高まるので、少なくとも0時前には就寝することがすすめられます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

毛髪のケアのためには、髪の毛の根元にあたる毛母細胞に栄養素を送ることが大切になります。そのために頭皮の血流をよくしようとするわけですが、血流がよくなっても毛母細胞に必要な栄養素が不足していたのでは、思ったように育毛や抜け毛予防をすることができなくなります。

毛髪の栄養素というと、たんぱく質(アミノ酸)、ミネラルの亜鉛があげられます。もちろん、これらの栄養素も必要ではあるものの、基本中の基本となるのは糖質です。

糖質にはブドウ糖が含まれていて、ブドウ糖は全身の細胞がすぐにエネルギーとすることができる重要なエネルギー源です。少しややこしい話になるかもしれませんが、ブドウ糖が細胞の中に取り込まれる仕組みについて紹介します。

細胞の中にはGLUT4と呼ばれるブドウ糖を取り込む輸送体があります。GLUT4は普段は細胞の奥にあるのですが、インスリンという膵臓から分泌されるホルモンによって細胞膜に移動してきて、ブドウ糖を取り込んでくれます。

インスリンというと糖尿病の話で耳にしたことがあるかと思います。糖質が含まれたものを食べて、血液中のブドウ糖が増えるとインスリンが分泌されて、ブドウ糖が取り込まれます。

インスリンの分泌量が減るか、取り込みの能力が低下すると細胞に取り込まれなかった分だけ血液中のブドウ糖の量が増えて、一定量を超えると糖尿病と診断されます。

インスリンが少ないと血糖値(血液中のブドウ糖の値)が下がりにくくなるわけですが、そんな状態でもブドウ糖を取り込まれるようにする方法があります。それは運動によってGLUT4が移動するようにさせることです。

運動をするとブドウ糖をエネルギー源として使うために、インスリンなしでもGLUT4を移動させる酵素(AMPキナーゼ)が作られます。運動といっても激しい筋トレをする必要はなくて、ウォーキング程度の軽い運動でも大丈夫です。

運動をして酵素が働くと全身の細胞のブドウ糖の取り込みがよくなり、そのブドウ糖を使って細胞の働きがよくなると当然、毛母細胞の働きもよくなっていくということです。この仕組みがあるので、毛髪が気になってきた方には歩くことがすすめられます。

歩くと全身の血行がよくなりますが、頭皮は心臓から離れているうえに毛細血管が多いことから血流が低下しやすくなっています。特に頭頂部は毛細血管が少ないために、全身の血流がよくなったとしても、頭頂部の毛母細胞には栄養素は送られにくくなっています。

歩くことによって血流がよくなり、ブドウ糖がエネルギーを作り出したときには、体温が上昇して、うっすらと額やワキの下などに汗をかいてきます。

その後に背中や胸などに汗をかくようになるのですが、時間としては歩き始めてから10〜15分くらいたってからです。これはウォーキングによる有酸素運動によって、ブドウ糖の燃焼(代謝)が盛んになるまでに、これくらいの時間がかかるからです。

この時間を過ぎると、燃焼は脂肪(脂肪酸)が中心になってきます。なぜかというと、歩くことによって筋肉が温まり、筋肉の中にある脂肪分解の酵素(リパーゼ)が盛んに働くようになるためには、10〜15分の時間が必要だからです。

頭皮の細胞が温まって、頭皮から汗が出るようになるまでには、さらに5〜10分は必要になります。ブドウ糖を多く取り込んで、多くのエネルギーを作り出すのは筋肉で、首から上には筋肉が少なくて、手足や腹筋、背筋などの大きな筋肉で温められた血液が頭皮まで送られてくるまでには時間がかかります。

頭皮から汗が出るようになったときには、血流がよくなり、毛母細胞で作られるエネルギーが増えている状態なので、頭皮の状態をよくすることが考えるなら、頭皮から汗が出るまで歩くようにすることです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

1本の毛髪に注目すると、毛髪は3層の構造になっています。外側はキューティクル(毛小皮)、中間部はコルテックス(皮質)、中心部はメデュラ(髄質)と呼ばれています。この構造は、巻き寿司の海苔、ご飯、具にたとえられます。

キューティクルは薄い外膜で、うろこ状のタンパク質で、5〜10枚が重なって毛髪の内側を守る保護膜の役割をしています。キューティクルは中のコルテックスが崩れないようにするもので、キューティクルとキューティクルの間には18−メチルエイコサン酸(MEA)という脂質成分があって、キューティクルが剥がれにくくしています。

そのおかげで毛髪のツヤが保たれているのですが、紫外線を浴びたり、ブリーチ(毛染め)によって失われやすくなっています。

毛髪の90%ほどを占める中間部のコルテックスは繊維状の束がまとまった構造をしていて、タンパク質と脂質がバランスよく含まれ、水分の豊富に含まれています。

毛髪の付け根にあたる毛母細胞から十分な栄養が送られていれば、太くて柔軟性のある毛髪となります。毛髪の色を左右するメラニン色素はコルテックスに含まれています。

中心部のメデュラは芯の役割をしていて、網目状もしくは多孔質のタンパク質で、全体の2〜3%となっています。メデュラの役割は、長い毛髪研究でも実はよくわかっていなくて、中に空気が含まれることから保温の役割をしているといわれています。

日本人の髪の色は“黒髪”と呼ばれるように、若い時期には黒々としていますが、年齢を重ねるにつれてコルテックスの中にあるメラニン色素が抜けてきます。メラニン色素には黒褐色系のユーメラニンと黄赤色系のフェオメラニンがあります。

ユーメラニンが多いと黒髪になり、少なくなるとブロンドになり、ユーメラニンがほとんど含まれなくなると白髪となります。ブロンドというと金髪を思い浮かべるかもしれませんが、日本人の場合には明るい茶色となります。

メラニン色素は毛母細胞と隣り合った毛球部のメラノサイトで作られます。毛母細胞が細胞分裂をするときに、メラニン色素が移動して毛髪の中に取り込まれています。

メラノサイトは色素形成細胞とも呼ばれていますが、年齢を重ねるとメラノサイトの数が減ってくるのと同時に、メラノサイトがメラニン色素を作り出す能力が低下してきます。この変化が白髪を増やしていくことになり、個人差はあるものの40代後半から60歳では20歳の半分ほどのメラニン色素しか作られなくなるとされています。

個人差だけでなく、遺伝やストレス、シャンプーの影響なども指摘されています。また、メラニン色素の材料となるチロシンの不足も考えられています。

チロシンはタンパク質を合成する作用があるアミノ酸で、チーズや納豆、味噌、肉や魚に多く含まれています。チロシンはチロシナーゼという酵素の働きによって合成されます。チロシナーゼは銅イオンを含む酸化酵素であることから、銅が含まれる魚介類、レバー、ナッツ、大豆、ココアなどを食べるのが良いとされています。

毛髪を黒くするには黒い色の海藻を食べるのがよいと一般に思われているようですが、チロシンとメラニン色素の関係を考えると、海藻は効果がないようです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

“スカルプケア”という言葉を聞くと、頭皮のためのシャンプーを思い浮かべる人が多いかと思います。シャンプーは毛髪と頭皮を洗浄するためのもので、毛髪と頭皮を清潔に保つために使われます。

スカルプケアのためのシャンプーは、もちろん毛髪の洗浄効果はあるものの、頭皮の洗浄に特徴を持たせています。スカルプ(scalp)は頭皮のことで、これをケアするのだから単に洗浄するだけではないことは普通に想像ができます。

では、何をケアするのかというと、それは頭皮の毛穴に詰まった皮脂を取り除いて、毛髪が発育しやすい環境にすることです。

頭皮の毛穴に詰まった皮脂を取り除けば、それでケアが済んだというわけにはいきません。皮脂だけに注目しても、皮脂を減らす方法、皮脂を詰まらせない方法、皮脂を取り除く方法があります。男性は皮脂が詰まりやすくなっています。

男性の皮脂の量は女性の3倍ほどもあります。これは全体的な皮膚でのことで、頭皮は顔の皮膚に比べると2倍以上にもなっています。皮脂は毛穴の内部にある皮脂腺から分泌される皮脂成分で、多く分泌されると毛穴を通って外へと押し出されています。

皮脂の分泌量の男女差に影響しているのは性ホルモンです。分泌量は思春期から成人の間で増えていくのですが、皮脂の分泌を活発にするホルモンはテストステロンとステロイドホルモンの一つのアンドロゲンです。

テストステロンは男性ホルモンで、男性のほうが女性に比べて格段と分泌量が多くなっています。アンドロゲンは身体の男性化を進めるホルモンで、どちらも成長期の男性で分泌量が多くなっています。

そのため、女性は20歳をピークにして皮脂の分泌量が減っていくのに対して、男性は20〜40歳がピークで、その後も皮脂の分泌量が大きく減ることはありません。

頭皮の皮脂は悪者扱いされてしまいますが、そもそも頭皮の皮脂には頭皮を守る大切な役割があります。毛穴の中から皮膚の表面に出てきた皮脂は、汗と混ざり合うことで皮脂膜になります。この皮脂膜が頭皮を覆うことによって、汚れやほこり、紫外線などの外部からの刺激から頭皮を守ってくれます。

頭皮は適度な水分があることで正常に保たれていますが、皮脂膜があると水分の蒸発が防がれて、頭皮の状態がよくなります。男性は女性に比べて皮膚の水分量が半分ほどと少なく、頭皮の水分量も少なくなっています。

また、皮膚は弱酸性に保たれることによって雑菌が繁殖しにくくなります。皮膚の酸性度はpH4.5から6くらいの弱酸性となっていて、この状態では殺菌作用が強くなります。

頭皮も同様ですが、年齢が進むと酸性度が低下していって中性に近づいていきます。pH6を超えると殺菌作用も弱まりから皮膚が荒れやすくなります。

このように皮脂には皮脂膜を作って皮膚の状態をよくする働きがあるわけですが、その皮脂が酸化すると今度はよくないことが起こります。

皮脂が多く分泌されて、皮膚の近くの古い角質(タンパク質)と混ざり合うと角栓となります。角栓様物質とも呼ばれていて、皮脂が固まって栓のようになって毛穴をふさいでしまいます。

角栓は皮脂が多いところでできやすいので、最も多いのは頭皮です。男性は皮脂が女性の3倍もあるので、角栓ができる確率も当然のように高まります。

角質ができるのは皮脂の分泌量だけではありません。皮脂が酸化して過酸化脂質になると固まりやすくなって、短期間で硬い角栓が作られるようになります。頭皮の酸化の原因として一番に考えられるのは紫外線による活性酸素の発生です。

頭皮は太陽光の紫外線を受けやすくて、皮脂が紫外線によって直接的に酸化させられるので、角栓が作られやすくなります。この他にも喫煙や飲酒、農薬や食品添加物、化学物質、ストレスなどによって体内での活性酸素が増えると酸化した状態の皮脂が増えていくこともあります。

角栓は、ワインのコルク栓のように詰まっているので、これを抜いてあげればよいわけです。そのためには頭皮を動かしてあげることが必要で、頭皮マッサージが効果的です。頭皮マッサージというと、揉む方法と叩く方法(タッピング)があります。

養毛剤をつけたときにはトントンと指先で叩くようにして血流を促進させたり浸透させる方法もあるのですが、角栓を抜くとなると頭皮を揉むようにして押し出すのが一番の方法となります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

強い日差しを浴びると、太陽光に含まれている紫外線によって皮膚にシミ、シワなどが現れやすくなります。紫外線というのは、虹の七色の端の紫色の外側にある波長の短い電磁波のことで、紫外線を浴びると皮膚で活性酸素が多く発生します。

その活性酸素は頭皮にも影響を与えています。日差しが強い季節には日焼け止めを塗って紫外線対策をする人は多くても、頭皮にまで日焼け止めを塗る人は、あまりいないはずです。

頭上から直接、紫外線を浴びている頭皮は、いくら毛髪によって少しはカバーされるといっても、直射日光では顔の2倍もの紫外線を浴びています。薄毛が気になる人の場合は、直接的なダメージを受けかねません。

紫外線の種類と対策について紹介する前に、活性酸素について説明をします。

活性酸素は酸素が変化したものです。通常の酸素はプラスとマイナスの電子が4つずつあってバランスが取れています。マイナスの電子が一つ欠けてバランスが悪くなったのが活性酸素です。

体内でも発生しますが、紫外線を浴びることでもマイナス電子が欠けて発生します。活性酸素は皮膚の細胞からマイナス電子を奪うと正常な酸素に戻ります。

問題となるのは奪われた細胞のほうで、細胞は傷つけられて皮膚の老化が進んでいきます。これが皮膚の酸化で、頭皮の細胞が傷んだら細胞が再生されにくくなり、血行も悪くなります。毛髪が生えている毛穴からは皮脂が分泌されているのですが、皮脂も活性酸素によって酸化します。

調理用の油が酸化するとネバネバ、ドロドロした状態になるますが、それと同じことが皮脂でも起こって、毛穴が詰まりやすくなります。皮脂による毛穴の詰まりは毛髪の発育の大きな妨げとなります。こういった意味から頭皮に紫外線を浴びることはできるだけ避けるようにすべきです。

頭皮のために紫外線対策をするには、何をすればよいのかということですが、そのためには紫外線の種類と特徴を知っておく必要があります。

紫外線は波長によってUVA(紫外線A波)、UVB(紫外線B波)、UVC(紫外線C波)に大きく分けられています。UVというのはultravioletの略です。UVCはオゾン層に吸収されて地上に届かないために影響を受けることはありません。

UVAは紫外線の約95%を占めていて、真皮まで届くことから皮膚の弾力を失わせて、頭皮の老化を起こします。UVBは紫外線の約5%ですが、UVAよりも有害性が強く、炎症を起こして色素を沈着させます。

しかし、表皮までしか届かない性質があります。美容の面でいえばUVBのほうが怖いのかもしれませんが、頭皮の健康ということではUVAの対策をするべきです。

紫外線の量は季節によって違っていて、UVBは5〜8月がピークとなっていて、それ以外の季節は少なくなっています。1日では10〜16時に多くなっています。それに対してUVAは4〜8月に量が多く、それ以外の季節も半分ほどの量となっています。

1日の量は昼の時間帯が多いものの、太陽が出ている間はずっと紫外線量が多いので、帽子をかぶって紫外線対策をする場合は、1年を通じて昼間の間は帽子が手放せないことになります。

紫外線は頭皮を乾燥させ、毛髪が少ない場合には軽いやけども起こします。頭皮が乾燥するとバリア機能が低下して炎症を起こしやすくなります。血行も低下しやすく、毛根に栄養素が届きにくくなっていきます。これも抜け毛の原因になります。

また、紫外線によって毛髪のキューティクルが損傷して、メラニン色素が壊されて毛髪が茶色っぽくなっていきます。それだけで終わらずに、毛髪の成分が抜けるようになり、毛髪自体が弱くなって、これが抜け毛を引き起こすようになるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

薄毛に気づくのは、鏡にうつった自分の姿よりもヘアブラシについた抜け毛の数や枕カバーについている数だったという人が少なくありません。毛髪の本数は個人差があり、7万本から14万本と開きはあるのですが、平均すると日本人の場合は約10万本だといわれています。

毛髪が抜けたあとに毛母細胞の分裂によって生えてきて、次に抜けるまでのヘアサイクルは4〜6年となっています。毛髪の成長は1日に0.3〜0.4mmで、1か月で約1cmの長さとなります。正常なヘアサイクルなら1日に50〜100本が抜けています。

この状態なら、毛髪が減っていくことはないわけです。ところが、1日の自然な抜け毛が1日に120本を超えると、補充が間に合わなくなって、だんだんと薄く見えるようになっていきます。

毛髪が多ければ濃くて、少なければ薄いのかというと、そのようなことはありません。気になる部分である前頭部や前頂部の密度が問題で、平均的には1㎡に約150本となっています。この気になる部分の密度が低ければ、全体の本数は同じであっても、見え方が随分と違ってきます。

毛髪は太さにも個人差があって、1本ずつが太ければ、それだけ全体的に髪の毛が多いように見えます。日本人の毛髪の太さは50〜100μmとなっています。1μm(マイクロメートル)は1000分の1mmのサイズです。

毛髪が直毛だと細く、波状毛や縮れ毛だと太くなる傾向があります。これは断面が関係しています。直毛の断面は丸型であるのに対して、波状毛と縮れ毛の断面は楕円形になっています。毛髪が波打っていると頭皮が見えにくくなり、本数の割には髪の毛が濃いように感じます。

毛髪は、通常は1つの毛穴から2〜3本の毛髪が生えていますが、毛髪の付け根の毛母細胞の分裂が遅くなると毛穴から出ている部分が短くなって、本数が減ったように見えます。

日本人の毛髪の本数は10万本であるのに対して欧米人(白人)は約15万本と1.5倍もの本数になっています。しかし、日本人の毛髪は欧米の1.5倍の太さがあり、この割合からいうと日本人も欧米人も同じような髪の毛の濃さに見えるはずです。

金髪は黒髪よりも薄く見えがちですが、欧米人は男性ホルモンの分泌量が多いことから、毛母細胞の毛乳頭細胞に影響を与えて、毛母細胞の成長を抑制するDHT(デヒドロテストステロン)を増やすことから、どうしても薄毛になりやすい傾向があります。

日本人のほうが薄毛になりにくい体質ではあるものの、それを超えて薄毛が気になる場合には、毛髪に影響を与える栄養面についても注意が必要です。

髪の毛を濃くするためには、昔から海藻を食べればよいと言われています。海藻に毛髪の成長を促す成分が含まれているように思われがちですが、海藻に含まれるカルシウムやヨウ素などのミネラルは毛髪の成分の一部ではあっても、多く摂ればとるほど毛髪に送られるわけではありません。

体内に取り込まれたミネラルは、全身の細胞で使われ、余ったものの一部が毛母細胞まで運ばれていきます。ほんのわずかな量しか届けられないため、海藻を多く食べたからといって、それは毛髪の成長や髪質に影響を与えるようなことはありません。

昆布やワカメ、ひじきといった黒い色が毛髪をイメージさせたことから、言われるようになった迷信と考えたほうがよいというのが一般的な回答です。

しかし、海藻に含まれるミネラルの中で、一つだけ毛髪の成長に影響を与えるものがあります。それは亜鉛です。亜鉛といえばカキ(牡蠣)やうなぎの蒲焼、レバーなどに多く含まれていますが、海藻にも多く含まれています。

先ほど触れた毛母細胞の成長を抑制するDHT(デヒドロテストステロン)の働きを抑制する作用が亜鉛には認められています。亜鉛は、新しい細胞が作られるところで必要なミネラルで、多く摂ることによって毛母細胞の働きが抑制されにくくなるので、毛髪の成長にも影響します。

この他には、骨の成長、肝臓や腎臓の再生、膵臓のインスリン分泌、舌で味覚を感じる味蕾の再生、そして睾丸での精子の製造にも亜鉛は必要となります。俗な言い方かもしれませんが、髪の毛を増やすためにも役立つ亜鉛は、精子を増やして男性機能を高めることにも役立つということになります。

亜鉛は吸収率が30%ほどとあまり高くはなく、排出もされやすくなっています。食物繊維と大豆や穀類に含まれるフィチン酸には吸収率を阻害する作用があります。亜鉛は汗や尿から排出されやすくなっていますが、アルコールには亜鉛の排出を進める作用があるので、飲酒量にも注意が必要となります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

男性の薄毛の原因としては、皮脂の過剰分泌、睡眠不足、ストレス、喫煙、飲酒、運動不足、栄養バランスの乱れ、体の冷えなどがあげられています。これらを抑えて男性の毛髪の変化に大きな影響を与えているのは、頭皮の血流と男性ホルモンです。

頭皮の部位には特徴があり、どの影響を大きく受けているのかによって、薄毛の状態が変わってきます。その変化の状態はO型、M型、C型、これらの3タイプが進んだU型に大きく分けられています。

薄毛のタイプのうち頭頂部の広い範囲が丸く目立ってくるO型は、頭皮の血流が低下することが主な原因となっているものです。毛髪は、毛根になる毛母細胞が細胞分裂を起こすことによって形づくられています。

この分裂が盛んになるほど成長が早くなり、自然に抜けても次の毛髪が補われるようになります。毛母細胞の分裂にシグナルを伝えているのは、毛母細胞の血管に近いところにある毛乳頭細胞ですが、毛乳頭細胞に必要な栄養や酸素は毛細血管の血液によって運ばれてきます。

この頭皮の毛細血管の中の血液の流れがよければ、栄養と酸素が充分に届けられて、毛母細胞の分裂も盛んになっていきます。頭皮には毛細血管が比較的多く通っているのですが、頭頂部には毛細血管が少なくて、血流が低下すると分裂が遅くなります。そのため、抜け毛をカバーできなくなることから薄くなっていくという特徴があります。

男性ホルモンの特に影響を強く受けているのはM型です。額の生え際から変化していって地肌がM字に見えるところから名付けられました。

薄毛は20歳以上の男性の半分以上が気にしているという調査結果があり、薄毛のタイプの中ではM型が最も多く、おでこが広くなる、いわゆる天然剃り込みで悩んでいる人は若い人ほど多くなっています。

これは進行が早いというよりも、こめかみは毛量が少ないために、少しの変化でも急激に薄くなったように見えることが関係しています。

薄毛に影響する男性ホルモンの中で毛髪に関係しているのはテストステロンだというのは、よく知られていますが、テストステロンそのものが薄毛に影響を与えているわけではありません。

テストステロンは、5αリダクターゼという酵素によってDHT(デヒドロテストステロン)に変化します。DHTは毛乳頭細胞に影響を与えて、毛母細胞が成長するのを抑制します。つまり、仕組みはO型とは違っていても、結果としてO型もM型も毛母細胞の分裂が抑えられているために薄毛になっていくということです。

C型は前頭部から薄くなっていくタイプですが、これにもDHTが影響しています。前頭部にはテストステロンをDHTに変化させる作用がある5αリダクターゼが多く存在しているので、毛母細胞の成長が抑制されやすい部位となっています。このC型がM型と違っているのは、男性ホルモンの影響だけでなく、血流低下の影響も強く受けていることです。

O型もM型も進んでいくと、おでこ全体が後退したようになっていく、いわゆるU型になっていきますが、その進行がC型は早い傾向があります。男性特有の薄毛は、頭皮の血流低下と男性ホルモンの影響を受けていて、その両方が重なると早く変化が現れるようになるということです。

男性ホルモンの影響は、なかなかストップをかけにくいところがあるのですが、最新の研究によってミネラルの亜鉛が5αリダクターゼの作用を抑制して、DHTによる毛母細胞の分裂の悪影響を抑えてくれることがわかってきています。

亜鉛が多く含まれている食品は魚介類、肉類、海藻、豆類、種実類などで、特に多いのはカキ、うなぎの蒲焼、豚レバーです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕