高血圧

1.血圧上昇の危険性

1)高血圧と肥満の関係

生活習慣病のうち、やせることが医師や栄養士などによって指導されるものというと、肥満症、糖尿病、脂質異常症、肝臓病などと並んで、高血圧があげられます。血圧は心臓から送り出された血液が動脈の壁に与える圧力のことで、必要以上に圧力がかかっている場合を高血圧といいます。
太っている人は脂肪細胞の中に脂肪が多く蓄積された状態で、多くなりすぎた脂肪によって脂肪細胞が膨らんでいきます。脂肪細胞に蓄積された脂肪は、体脂肪と呼ばれます。この体脂肪のうち、内臓の周りに蓄積されているものが内臓脂肪で、皮膚の下についているものが皮下脂肪です。血圧に大きな影響を与えているのは、内臓脂肪のほうです。
血管の外側にある脂肪細胞が膨らむと、その脂肪細胞によって血管が圧迫され、血液が送り出されたときに弾力をもって膨らみにくくなります。そのために血液による圧力が血管に強くかかるようになり、高血圧となります。
高血圧になると塩分を減らすように言われることから、高血圧は塩分(ナトリウム)の摂りすぎが原因といわれます。しかし、原因はそればかりではなく、さまざまな原因があげられています。食塩を減らしても血圧に変化がなかった人が、内臓脂肪を減らすことによって高血圧域から境界域に、さらに正常域へと血圧が下がったという例も少なくありません。血圧が高めであることが指摘されたら、太っている人の場合には、まずは内臓脂肪を減らすダイエットを心がけることが大切です。

2)高血圧は最も発症率が高い疾患

高血圧の人は、生活習慣病の中では最も発症率が高い疾患となっています。国民健康・栄養調査(平成18年)によると20歳以上では約3970万人と推定され、正常高値血圧者の約1520万人と合わせると、約5490万人となっています。これは20歳以上の国民(1億400万人)の約52.8%にも及んでいます。
また、平成22年の調査結果では、30歳以上の高血圧患者(高血圧症有病者)は男性の60.0%、女性の44.6%にも及んでいます。平成12年の調査結果では男性は52.1%、女性は41.9%だったので、明らかに患者数は増えています。
心臓が収縮して血液を送り出して血管(動脈)に一番強く圧力がかかった状態が収縮期血圧(最高血圧)です。そして、収縮したあとに心臓が拡がるときに圧力が一番低くなった状態が拡張期血圧(最低血圧)です。
正常高値血圧というと、正常とついているので血圧が高めでも問題がないと感じるかも知れませんが、これは高血圧予備群を指している言葉で、このまま進めば高血圧になる人であって、決して放っておくことができないという状態です。
高血圧になっても、血圧が徐々に上がっているときには、これといった症状がないのが、この病気の特徴となっています。そのために血圧が高いことを指摘されても軽く考えてしまい、精密検査や治療を受けない人も少なくありません。
しかし、高血圧は、気づかないうちに、血管に徐々にダメージを与えていきます。血管は全身に新鮮な酸素と栄養成分を運び、全身の二酸化炭素や老廃物を運び去るための生命線であるため、血管がダメージを受けると、その影響は全身に拡がっていきます。
高血圧になると血液の圧力に耐えるために徐々に動脈の血管壁が硬くなり、血管の抵抗性が高まります。また、血管が傷つくと悪玉コレステロールとも呼ばれるLDLコレステロール(低比重リポたんぱく)などの脂質がたまりやすくなり、さらに内径が狭くなっていきます。このような状態では、血圧はさらに上昇するようになり、さらに動脈硬化が促進されていくようになるのです。

2.高血圧の判定

1)高血圧の診断基準

正常血圧は、収縮期が130mmHg未満、かつ拡張期が85mmHg未満となっています。高血圧は、収縮期が140mmHg以上、または拡張期が90mmHg以上で、その程度によってⅠ度高血圧、Ⅱ度高血圧、Ⅲ度高血圧に分類されています。
正常血圧と高血圧の間は、正常高値血圧と分類されています。現在は高血圧とはいえない状態であるものの、将来は高血圧になる確率が高いグループであり、高血圧予備群とも呼ばれます。
血圧は、診察時の測定と家庭で測定したときに違いが見られることがあるため、家庭血圧では収縮期が125mmHg未満、かつ拡張期が80mmHg未満とする低めの基準も示されています。
血圧は対象者によって危険度が異なることから、対象者別に降圧目標が掲げられています。糖尿病や腎臓病を持っている人、心筋梗塞後患者、脳血管疾患患者の降圧目標は厳しくなっています。つまり、低めの数値が目標とされているわけです。
血圧は40歳を過ぎるころから上昇する傾向があり、性別でみると50歳代までは男性のほうが血圧は高く、60歳以上では女性のほうが高くなっています。
血圧は季節によって変動しやすく、寒い季節には高くなる傾向があります。1日のうちでも変動があり、日中の活動中にも血圧は上昇します。そのため、朝に目覚めて布団の中で安静にしているときが、最も血圧の測定に適している時間帯とされています。

診察室血圧に基づく血圧の分類

血圧分類 拡張期血圧 収縮期血圧
Ⅲ度高血圧 110mmHg以上 180mmHg以上
Ⅱ度高血圧 110mmHg未満 180mmHg未満
Ⅰ度高血圧 100mmHg未満 160mmHg未満
正常高値血圧 90mmHg未満 140mmHg未満
正常血圧 85mmHg未満 130mmHg未満
至適血圧 80mmHg未満 120mmHg未満

2)測定時と普段の血圧

測定をしたときに血圧が正常値であれば、それで安心というわけではありません。普段の血圧は正常であっても、医師や看護婦の前では血圧が高くなる“白衣高血圧”があります。これは白衣を着た医師や看護師の前で測定すると血圧が上がりやすい状態のことで、緊張感や普段と違う行動(例えば早起きをして医療機関に行った)によって高血圧になる場合を指しています。そのため、“白衣症候群”と呼ばれる場合もあります。
 家庭で測定したときには正常域であったとしても、医師などの前だけでなく、仕事先や通勤途中などの外出しているときに高くなっていることもあるので、家庭での血圧測定に5~10mmHgをプラスした状態と見たほうが安全ということで、低めの数値を目標としているわけです。
 逆に、医療機関などで測定したときには正常な血圧が出るものの、普段の生活では高血圧になっている逆白衣高血圧(仮面高血圧)もあります。
 通常では血圧は夜中の2~3時くらいまで下がり、そこから朝に向かって徐々に上がっていくものです。朝の血圧が特異的に高くなる早朝高血圧もあります。この血圧の上昇度合いが大きい場合には、朝10時までに心筋梗塞などが多発しやすいといわれています。
 早朝高血圧と並んで危険なものに、夜間になっても血圧が下がらない夜間非降下型があります。普通は降下する夜間に血圧が下がらないタイプでは心血管病のリスクが高く、睡眠時無呼吸症候群によく見られます。こういった状態の人は、睡眠時に頻繁に呼吸が止まるために、常に交感神経の緊張が続き、血圧が下がりにくくなっているのです。

3.血圧の上昇と降下のメカニズム

1)高血圧はサイレントキラー

高血圧であっても、血圧が徐々に上がっているときには、これといった症状はみられません。高血圧だからといって、それだけで死につながるようなことはないものの、高血圧はさまざまな病気を引き起こす原因となっています。
 高血圧になると血管が硬くなり、血管の内径が狭くなる動脈硬化になりやすく、心疾患(狭心症、心筋梗塞など)や脳血管疾患(脳出血、脳梗塞など)の危険因子となります。そのため高血圧は「サイレントキラー」(静かなる殺人者)とも呼ばれています。
 心疾患と脳血管疾患は日本人の死因の第2位、第4位となっています。以前は第2位と第3位でしたが、高齢化によって肺炎が第3位となったために順位が変動しました。
 糖尿病の人は血液中のブドウ糖濃度が高くなった影響を受けて血管がもろくなっているために、高血圧によって腎臓疾患や眼底出血などを引き起こすことが知られています。高血圧の人が糖尿病になると動脈硬化の危険性が2倍以上になるという報告もあります。
 塩分によって血圧が上がるナトリウム感受性が高いタイプの人は高血圧の原因の30%ほどと言われています。ナトリウム感受性が高くない人は、ナトリウムを多く摂っても、それほど血圧が上昇しない特徴があります。
 血圧を上げる要因としては、食塩の摂りすぎのほかに、加齢(男性は60歳以上、女性は65歳以上)、喫煙、ストレス、食べ過ぎ、肥満、運動不足、過度のアルコール摂取、寝不足、疲労、糖尿病、動脈硬化、寒さ、温度の急変、排便時の力み、遺伝的な体質、タイプA型行動パターンと呼ばれる性格などがあげられます。
 タイプA型行動パターンは、せっかち、怒りっぽい、競争心が強い、積極的などの行動パターンで、ストレスを抱え込みやすく、血圧も上がりやすいことが指摘されています。
 高血圧の体質は遺伝すると言われており、一般には両親ともに高血圧ではない場合には子供が高血圧になる確率は5%ほどですが、両親のうち片方が高血圧なら約4分の1、両親ともに高血圧なら約2分の1が高血圧になるといわれています。
 また、親が塩辛い味付けを好む場合には、食事の味付けが濃い傾向があり、その食習慣が受け継がれた結果とみることもできます。外食のときに味を確かめずに塩や醤油、ソースをかける人は食塩を1日に約20g、味をみてからかける人は約12g、そして調理の味付けのみで食べる人は約6gを摂っているという報告があります。
 高血圧は病気によって高まる傾向があるものの、高血圧の90%は本態性高血圧と呼ばれるもので、原因となる病気が見当たらないのに血圧が上がっています。特徴的な症状がないために血圧検査で発見されることが多くなっています。
 本態性高血圧は、要因が一つではなく、複数の要因が重なって起こると考えられています。本態性高血圧で最も影響を受けるのは遺伝で、片親が高血圧だと50%ほどに、両親ともに高血圧だと70%ほどの人に高血圧が現れるといわれています。
 栄養バランスが乱れて血液中のビタミン、ミネラルが不足すると、これらの栄養成分を体の組織が取り入れるために自律神経の交感神経の働きが高まり、栄養成分を早く届けられるように血圧が上がりやすくなります。また、ストレスも交感神経の働きを活発にさせて、末梢血管を収縮させることから血圧が上がることが知られています。

2)塩分と体内水分増加

ナトリウム感受性が高くない人はナトリウムと血圧は無関係、と説明しましたが、日本人はナトリウム感受性が高い人が多く、食塩の摂りすぎには注意が必要となります。
 食塩を空気に触れさせておくと固まっていくのは、ナトリウムが空気中の水分を取り込むためです。血液中にナトリウムが増えたときにも、ナトリウムが水分を多く取り込むために、血液循環量が増えることになります。また、塩分が多くなると喉が渇いて、水を多く飲むようになることでも血液循環量が増えていきます。
 さらに、ナトリウムが多くなって血液中の塩分濃度が高まると、細胞組織の活動が低下するために水分を薄めることが必要になります。そのために腎臓から血液中に戻される水分が多くなり、血液循環量が多くなって心臓に負担がかかるようになって、血圧が上昇します。
 血液中のナトリウムが多い状態が長く継続すると、血管の細胞内にナトリウムが入り込むようになります。そして、ナトリウムが水分を細胞内に取り込むために細胞が膨らんでいきます。そのために血管壁の内径が狭くなり、血圧が上昇しやすくなります。

3)喫煙と酸素不足

タバコを吸うとニコチンが副腎を刺激して、血圧を上昇させるホルモンが分泌されます。また、ニコチンには血管を収縮させる作用があるため、血圧が上昇します。
 運動をして酸素の必要量が増えると心拍数を増やし、赤血球が早く酸素を届けられるようになります。運動をやめれば、酸素の必要量は元に戻るので、心拍数も元に戻ります。ところが、喫煙した場合には、タバコを吸っているときだけでなく、吸っていないときにも酸素が不足していることから、酸素を早く全身に送り届けるために自律神経の交感神経の働きが盛んになって血圧が上昇します。
 また、酸素不足の状態が継続することによって赤血球が増えていきます。タバコを吸うと、赤血球が増えて血液の量が増えるとともに、血液がドロドロ状態になりやすいことで、血圧が上昇することになります。食事や運動などの生活習慣を改善し、また降圧剤を使用していても、喫煙を続けていれば血圧を安定させることはできないのです。

4)血圧を下げる生活習慣

血圧を下げて、安定させるものとしては、カリウムの摂取、睡眠、休息、ぬるま湯での入浴、運動習慣、適度なアルコール摂取などがあげられます。加齢とともに体重が増加している場合には心臓に負荷がかかることになり、ダイエットによって体脂肪を減らすことで血圧の上昇を予防することができます。
 野菜や果物に多く含まれるカリウムは、ナトリウムが腎臓で再吸収されるのを抑制し、尿への排泄を促進することから血圧上昇を予防する働きがあります。
 入浴は、お湯の温度が大切で、40℃以下のお湯では自律神経の副交感神経の働きが盛んになり、心拍数も減り、血管も拡張されて血圧は下がります。それに対して、42℃以上の熱いお湯に入るか熱いシャワーを浴びると血管が収縮し、心拍数も増え、血圧が上昇します。浴室では血圧の変動が大きく、温かな浴室から温度差のある脱衣室に出たときには血圧が上昇するため、室温には注意が必要です。脱衣所で身体が冷えやすいときには、浴室内でバスタオルを使って、皮膚の水分を拭き取ってから出るようにします。
 飲酒をすると、アルコールの作用によって血管が拡張して血圧は下がります。その量は、日本酒に換算して1合、ビールなら大ビン1本程度です。しかし、飲酒量が2合になると血圧は元に戻り、3合を超えると逆に血圧は上昇するようになります。これは飲酒によって血管が拡張しすぎることによって血流が低下するので、それを戻すための血圧上昇が進みすぎるために起こることです。2合以下の飲酒なら大丈夫かというと、習慣的に飲み続けていると血圧は上昇していくようになります。
 適度な運動では血流が盛んになり、血圧は下がるようになります。同じ運動であっても、ストレスがない状態では血圧は下がりやすく、逆に義務的な運動では下がりにくくなっています。日常生活の中に組み込めるような、心拍数が上がり過ぎない速歩でのウォーキングやノルディックウォーキングのような適度な運動が血圧を安定させるには有効となります。

4.高血圧改善の食事のポイント

血圧を下げる方法としては、運動やストレス解消などもあるものの、中心となるのは食事の改善です。高血圧を予防・改善するためには、食事に関して以下のポイントがあげられます。

1)塩分を減らす

高血圧を改善するための塩分摂取量は1日あたり6g以下とされています。食塩、醤油、味噌などの調味料をまったく使わなかったとしても1日の食事で2g程度の食塩は摂られています。生鮮食品にも塩分(ナトリウム)は含まれ、加工食品にはかなりの食塩が含まれているので、できるだけ塩分を減らすようにします。塩分が高血圧に直接的には関係がない人であっても、他の要因と重なると重大な危険因子にもなるだけに、塩分は控えめを心がけます。

2)適正なエネルギーを摂る

太っている人が減量して体脂肪を減らすことによって、血管の圧力が下がり、血圧が下がる例が多く見られます。減量すると、膵臓から分泌されるインスリンが増えるようになって血糖値が下がり、血管を傷みにくくして血圧が下がることも知られています。摂るべき適正なエネルギー量は年齢、性別、体重、運動量などによって異なりますが、標準体重1kgあたり30kcalを目安にします。標準体重は、「身長(m)×身長(m)×22」で求められます。

3)栄養素をバランスよく摂る

1日に摂るエネルギー量のバランスとしては、糖質(炭水化物)50~60%、たんぱく質15~20%、脂肪20~30%が理想とされます。たんぱく質をバランスよく摂るには動物性と植物性の割合を1対1程度にします。また、脂肪は動物性と植物性の割合を1対1程度にします。たんぱく質を構成するアミノ酸のうち、タウリンやメチオニンといった硫黄を含んだ食品には血圧を下げる作用があり、このバランスなら不足しないからです。

4)植物油と魚の油を摂る

植物油や魚の油に多く含まれる多価不飽和脂肪酸には、血圧の上昇を抑える作用があります。ただし、これらの油は酸化しやすいので、できるだけ新鮮なものを使うようにします。

5)ビタミンを豊富に摂る

ビタミン不足は血圧を上昇させる原因になります。ビタミンの中でも野菜や果物に多く含まれるビタミンCや、そばに含まれるビタミンP(ルチン)には血管を強くする作用があります。また、植物油や豆類、卵類などに多いビタミンEには末梢血管の血液循環をよくして、血管を守る作用もあります。

6)ミネラルを豊富に摂る

ミネラルは新陳代謝を盛んにして、血圧の上昇を抑える作用があります。中でもカリウムはナトリウムに対抗して血圧を上げないようにする働きがあるので、カリウムが豊富な野菜、果物を多めに食べるようにします。

7)水溶性食物繊維を豊富に摂る

食物繊維には水を吸って膨らむ水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維とがあります。水溶性食物繊維にはナトリウムを包んで排出する働きがあり、血圧の上昇を抑えます。水溶性食物繊維はキノコ、海藻、果物などに多く含まれます。

8)アルコールを控える

適度な飲酒には血圧を抑える作用がありますが、飲みすぎは逆に血圧を高めることになります。適度な飲酒の量は個人差があるものの、一般には1日に25gのアルコールとされ、これを日本酒に換算すると1合、ビールなら中ビン1本に相当します。つまり、ホロ酔い状態の飲酒量を目指すようにします。

5.減塩でもおいしく食べられる工夫

塩分を減らした食事は味が薄くなるので、あまりおいしくないと思われがちですが、工夫次第で減塩しても、おいしく食べることができます。

1)食品の持ち味を生かす

できるだけ鮮度のよいものや旬のものを使い、その持ち味(食品本来の味)で食べるようにすると余計な調味料がいらなくなります。

2)酸味を上手に生かす

酸味は塩味の代わりにして、おいしく食べられるようになります。ゆず、レモン、夏みかんなどの柑橘類や梅干し、ヨーグルトなどを利用すると和え物、サラダ、焼き物などが食塩なしでもおいしく食べられます。ただし、一般の梅干しは20%も塩分が含まれるので、摂りすぎには注意します。

3)だしを工夫する

汁物や煮物の味付けをするときには、食塩をできるだけ少なくし、かつお節、こんぶ、干ししいたけ、煮干しなどを利用して、だしを使えば、うまみ成分でコクのある味が得られます。

4)香ばしさや香りで風味を出す

おひたしをごま和えにしたり、肉、魚などを少量の醤油と砂糖を使って、ほどよく焼くと香ばしさが出ます。また、しそ、しょうが、ねぎなどの香りを生かすと味が引き締まります。

5)酢を上手に利用する

ごま油やオリーブ油、大豆油、バターなどを使って炒め物、揚げ物、ムニエルなどを作り、レモンを添えて酸味を加えると濃厚な味が得られ、減塩ができます。

6)具を多くする

みそ汁や澄まし汁は具を多くすると、減塩することができます。

7)塩味はあとで使う

煮物や漬物は塩味が食材に染み込むため塩分量が多くなりがちです。塩味は舌の表面で感じるため、塩や醤油を振りかけたり、つけて食べると少ない塩分でも味を強く感じます。

8)適温で食べる

揚げ物、焼き物、蒸し物は熱いうちに食べることで、薄味でもおいしく食べることができます。また、サラダ、冷や奴などは冷たいうちに食べると、薄味でもおいしく食べられます。

9)たんぱく質を充分に摂る

たんぱく質を充分に摂ると、食塩に対する欲求が低くなり、自然に食塩の摂取量を減らすことができるようになります。

6.血圧対策サプリメント

1)酵素反応抑制

たんぱく質はアミノ酸に分解されてから吸収され、肝臓の中で体に必要なたんぱく質が組み立てられていきます。たんぱく質は、すべてがアミノ酸になるわけではなく、アミノ酸が10個以上つながったペプチドとしても吸収されます。このペプチドは、たんぱく質消化酵素によって作り出されたままの形で吸収されます。このペプチドには、体内にある血圧を上昇させるアンジオテンシン変換酵素(ACE)の生産を低下させて、血圧を下げる作用があります。
○酵素反応抑制作用のある素材
 イワシペプチド/オリゴペプチド/ゴマペプチド

2)ナトリウム排出

血圧の上昇につながるナトリウムが血液中から排泄されることで血圧が抑制されます。カリウムには腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑えて、ナトリウムの排泄を促進する作用があります。
○ナトリウム排出作用のある素材
 カリウム