Diet Designer21 脂質の代謝:脂肪酸の性質

不飽和脂肪酸は摂取が推奨されるのに対して、飽和脂肪酸は融点(固体が融解する温度)が高く、常温では固形であり、血液中で固まりやすいことから、飽和脂肪酸を摂りすぎると動脈硬化のリスクが高まることが知られています。また、必須脂肪酸であってもn‐6系脂肪酸のリノール酸とアラキドン酸は摂りすぎるとHDL(高比重リポたんぱく)が低下することによって動脈硬化のリスクを高め、アレルギー疾患を悪化させることが指摘されています。

食事で摂取した動物性食品に含まれる中性脂肪は十二指腸から分泌される胆汁酸によって乳化され、続いて膵臓から分泌される消化酵素(脂肪分解酵素)のリパーゼによって脂肪酸とグリセロールに分解され、その後に小腸から吸収されます。

脂肪細胞に蓄積された中性脂肪は、エネルギーが必要になったときに脂肪酸とグリセロールに分解されて、血液中に放出されます。脂肪酸はミトコンドリアのTCA回路に入ってエネルギーを発生させますが、グリセロールは解糖系を通じてTCA回路に入ってエネルギーを発生させます。

運動などによって自律神経の交感神経が刺激されると、神経伝達物質のアドレナリンが分泌されて、中性脂肪が分解されます。
脂質のうちリン脂質とコレステロールは、そのままの形で小腸から吸収されます。動物性食品に含まれる中性脂肪は十二指腸から分泌される胆汁酸によって乳化され、続いて膵臓から分泌される消化酵素(脂肪分解酵素)のリパーゼによって脂肪酸とグリセロールに分解され、小腸から吸収されます。

脂肪酸とグリセロールは小腸壁で中性脂肪に戻り、小腸から吸収されたあと、コレステロールやリン脂質、たんぱく質とともにカイロミクロンという水溶性のリポたんぱく質になってリンパ液に入り、静脈を通って、肝臓まで運ばれます。

脂肪酸はTCA回路に入ってエネルギーを発生させますが、グリセロールは解糖系を通じてTCA回路に入ってエネルギーを発生させます。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)