043 飲酒とダイエットの関係

飲酒で太るのはアルコールのせいではなく、脂っこいおかずの食べすぎ、食欲が高まることによるご飯の食べすぎのせいだと長らく言われてきましたが、今ではアルコールが体内で合成される脂肪酸を増やすことがわかりました。脂肪酸は脂肪を構成するもので、脂肪酸3個をグリセロールが結びつけたものが中性脂肪です。中性脂肪は蓄積される脂肪で、体脂肪も食品に含まれる脂肪も中性脂肪となっています。酸性、中性、アルカリ性とは関係がなく、英語のトリグリセライドの和訳です。脂肪酸には動物性食品に多く含まれる飽和脂肪酸と、植物性食品や魚の油に多く含まれる不飽和脂肪酸があります。
ダイエットの大敵とされることが多い体脂肪は、脂肪細胞の中に蓄積された脂肪を指していますが、この脂肪は生命維持のために必要であるので、できるだけ多くの量を溜めるような身体の仕組みになっています。その仕組みの一つが飲酒による脂肪酸の合成促進です。
食事をして、糖質に含まれるブドウ糖が血液中に入ってくると血糖値が上昇します。血糖値が上昇すると膵臓のβ細胞から血糖値を下げるホルモンのインスリンが分泌されます。インスリンには細胞にブドウ糖を取り込ませる働きとともに、肝臓での脂肪の合成を進め、脂肪を脂肪細胞に取り込む働きがあります。飲酒するときのおかずに糖質も多く、シメのご飯を食べたら一気に血糖値は上昇します。インスリンの分泌量は自律神経の副交感神経によって増えていきます。夕方以降は副交感神経の働きが盛んになり、この時間に飲酒することが多いので、さらに脂肪は溜まりやすくなります。
肝臓には脂肪酸合成酵素があって、アルコールによって酵素の働きが高まります。そのために飲酒量が増えるほど脂肪酸の合成が進み、脂肪細胞に蓄積される中性脂肪も増えていくのです。この仕組みを避けるためには、なんといっても飲酒をしないことです。