056 落ちない背中の脂肪をつけないために

若い女性にダイエットを始めたきっかけを聞いてみると、「母親のようになりたくない」と答える人がかなりいます。若いときから太っていた人は別としても、女性は40代に急に太り始める傾向があります。国民健康・栄養調査の結果を見ると、女性は20代、30代は食べる量が少なく、朝食抜きの人も多いのですが、40代になると食事量が増えていきます。その割には運動量が少なく、代謝の低下が始まる時期なので、太るのは仕方がない時期だといえます。
40代というと高校生や大学生の母親の世代です。40代前に食べすぎ、運動不足で太ったなら内臓脂肪を減らすことで皮下脂肪を減らすようにすることができます。ところが、40代になると、これまでと違った太り方をします。40代は妊娠可能な年齢で、内臓脂肪がつきすぎると妊娠・出産に関係する臓器に影響が出ることから別のところに脂肪が蓄積します。それは背中です。
皮下脂肪は内臓脂肪を減らすことで徐々に減ってくる特徴がありますが、背中の脂肪は落ちにくくて、背中に脂肪がついてくると上半身が大きく見えて、いかにも歳をとったように見えてしまいます。誰もが背中に皮下脂肪がつくのかというと、そうではありません。皮下脂肪は内臓脂肪が多く蓄積して、余裕がなくなったときに蓄積していきます。女性は、もともと皮下脂肪が多くなっていますが、内臓脂肪が増えると皮下脂肪が大きく増えていきます。
内臓脂肪が多い状態で40代になると、さらに溜める場所があるということで背中に蓄積することになります。要は、20代、30代のうちから内臓脂肪を多く溜めないようにすることが背中も太るといったことを防ぐ方法だということです。
内臓脂肪と皮下脂肪の違いですが、内臓脂肪は内臓の周りの脂肪細胞に蓄積される体脂肪のことで、内臓でも主には腸の周りにたまっていきます。内臓脂肪が先に蓄積して、これ以上の蓄積は大変という段階になると皮下脂肪がたまるようになります。内臓脂肪を減らすと、それに連動して皮下脂肪が減るようになります。皮下脂肪が蓄積すると血液中の中性脂肪が増えて、動脈硬化のリスクが高まります。
皮下脂肪は皮膚の下に蓄積する体脂肪で、若いときには下半身に多くたまるようになります。年齢を重ねると上半身にもたまっていきます。ダイエットをしても皮下脂肪はいきなり減らず、内臓脂肪が減ってから皮下脂肪が減っていくという順番になっています。