102 どれくらいの宿便がたまっているのか

腸内環境を整える食品やサプリメントの情報の中に、よく出てくるのが宿便です。宿便は腸内に長く滞留している便を指していて、滞留便と呼ばれることもあります。便のことだけでなく、古くなった便のカスが腸壁にこびりついたものを指すこともあります。宿便には毒素が多く含まれているので、これを排泄することの必要性が説かれ、腸内洗浄がすすめられることもあります。腸内洗浄というのは肛門から水や液剤を入れて、強制的に排泄させるもので、これによって確かに黒いカスのようなものが排泄されることがあります。腸内洗浄を実施するクリニックの中には、これを宿便だと説明しているところがあります。
断食によって宿便を出す方法をすすめているところもあり、食事を取らない日が長く続くと、黒いカスのようなものが排泄されます。便は食べ物のカス、剥がれた腸壁、腸内細菌、水分で構成されています。断食をすると食べ物のカスが不足して、糖質やたんぱく質をエサにしている腸内細菌も少なくなることから便の量が大きく減ります。こうなると便通が悪くなり、腸壁からは水分が吸収され続けるので便の量が極端に減り、だんだんと黒いカスとなっていきます。
内視鏡の専門医に聞いたところ、宿便を見たことはなく、腸壁は剥がれやすいことから腸壁に残りカスがへばりつくこともないということで、宿便が出てやせられるというようなことはないというのが腸の専門家の見解です。