128 糖尿病改善のウォーキング

運動によるブドウ糖と脂肪酸の燃焼の割合は同じ状態ではなく、運動を始めてからの時間によって異なります。ウォーキングのような有酸素運動は、一般には歩き始めから10〜15分はブドウ糖の燃焼が多くなり、脂肪酸の燃焼は減ると言われています。実際にはどうなのかというと、安静状態にはブドウ糖の燃焼割合が多く、脂肪酸の燃焼割合を上回っています。運動をすると、すぐに多くのエネルギーを作り出さなければならなくなることから、ブドウ糖の燃焼量が増えます。この事実だけを聞くと、ウォーキングは脂肪酸の燃焼が減るように思われるかもしれませんが、安静状態に比べると全体的な消費エネルギー量が増えているので、実際には脂肪燃焼も増えています。
運動を始めて10〜15分が過ぎると、消費エネルギーの中心はブドウ糖から脂肪酸に切り換わります。ブドウ糖は、すぐにエネルギーになるものの長続きしません。その中心的な燃焼の時間が10〜15分ということです。脂肪酸の燃焼は、運動が続く限りは盛んになっています。ダイエットのためには長い時間の運動はよいわけですが、運動の目的が血糖の安定化となると、長く運動をすればよいということではなくなります。
血糖は血液中のブドウ糖のことです。血糖値を安定させるためには、10〜15分間のウォーキングなどの有酸素運動を、1日に何回か繰り返すことがすすめられます。具体的には、10〜15分間のウォーキングをしたら少し休んで、心拍数が安定してきたところで、また10〜15分間のウォーキングを実施します。一般に健康づくりによいとされる運動は、1日に30分以上のウォーキングなどを何度も繰り返すこととされていますが、血糖値の安定だけを考えるなら、短時間の運動を繰り返すことが効果的ということがいえます。