空腹を感じる一番の理由は、おなかの中が空になることではなく、血糖値が下がって、脳が空腹を感じるからです。その仕組みがあるために、血液中のブドウ糖が少なくなると食欲が急に高まるようになっています。空腹を感じなくさせるには血液中のブドウ糖を増やせばよいわけで、そのためにはブドウ糖が含まれている糖質(ご飯、麺類、パンなど)やお菓子を食べることが一つの方法です。
もう一つは、筋肉の中に蓄積されている保存エネルギーのグリコーゲンを分解させてブドウ糖として血液に放出させることです。保存エネルギーは、すぐに必要になることから一時的に体内に保存されたエネルギーのことを指します。余分になったブドウ糖が結びついてグリコーゲンとして筋肉と肝臓に蓄えられています。筋肉のグリコーゲンは比較的早く使われ、肝臓のグリコーゲンは長期的にエネルギー不足のときに使われています。
血液中にブドウ糖が足りないときに激しく身体を動かすと、グリコーゲンがエネルギー不足を補うために分解される仕組みになっています。そのための方法として簡単にできるのが、走るように、その場で足踏みを3分ほど続けることです。その場ダッシュといってブドウ糖が一気に放出されても、大した運動量ではないのでブドウ糖の多くが血液中に残り、空腹を感じにくくなります。
その場ダッシュがきついという人には踏み台をゆっくりと昇り降りするスローステップ運動がすすめられています。これによってブドウ糖が放出されて血糖値が上昇するまで5分ほどかかりますが、それ以上はブドウ糖がエネルギーとして使われて、逆に血糖値が下がるので、5分くらいで済ませることがすすめられます。
食事の前の空腹時でも、特に効果があるのは夕食前です。昼間に身体を動かすことで血液中のブドウ糖が大きく減っているからです。夕食の量が少なかった人は朝のほうが血液中のブドウ糖は少ないので効果はありそうですが、あまりにブドウ糖が足りないときにすると身体の負担が強くなりすぎるので、すすめられません。
普通の階段の昇り降りでは急に負荷がかかるわけではないので血糖値が上がりにくいのですが、スローステップは思ったよりも筋肉の負荷が強くて、エネルギー源のブドウ糖を補うためにグリコーゲンが分解されるようになります。できるだけ、ゆっくりと昇り降りすることが大切です。