血管の老化を進める最大の要因は加齢ですが、それと同時に大きな要因となっているのは、血糖値や中性脂肪値、LDLコレステロール値の高さです。血糖値が異常に高くなって発症する糖尿病は、高血糖状態が長く続いたことで血管の老化が進む疾患です。多くなりすぎたブドウ糖が血管壁の細胞に入り、細胞の中で糖アルコールに変化すると細胞内の水分バランスが崩れて、細胞の再生が遅れるようになります。これによって細胞が徐々にもろくなっていきます。糖尿病の合併症である網膜症、腎症、神経障害は細くてもろい細小血管が傷むことによって発症します。糖尿病では細小血管だけでなく、動脈硬化も進んでいきます。
中性脂肪とLDLコレステロールは血液中で多くなると直接的に動脈硬化を進めていきます。中性脂肪は脂肪酸3個とグリセロール1個が結びついた構造をしていますが、脂肪酸には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があり、動脈硬化のリスクには違いがあります。飽和脂肪酸は血液温度が高い動物に多く、血液温度が高いために動物の体内では溶けています。それに対して人間は血液温度が低く、中でも日本人は欧米人や大陸のアジア人に比べて血液温度が低いために飽和脂肪酸は血液中で固まりやすく、ドロドロ状態になって流れにくくなります。そのために血管内にたまりやすく、これが動脈硬化の要因となります。