199 コレステロールと活性酸素の関係

LDLコレステロールは悪玉コレステロールとも呼ばれることから、コレステロールはよくない印象が抱かれることがあります。しかし、コレステロールは全身の細胞の材料であり、ホルモンや胆汁の原料にもなっていて、生命維持に必要な成分です。そのためにコレステロールは肝臓で合成されて、血管を通って全身に運ばれています。コレステロールは脂肪であるために血液中に入ると水と油の関係で固まって流れにくくなります。そこで肝臓で合成されたコレステロールは親水性があるリポタンパクに包まれたLDLコレステロールとなって血液中に入ります。
LDLコレステロールは活性酸素によって酸化すると変性コレステロールとなります。LDLコレステロールは重要な役割をしていることから、免疫細胞のマクロファージが外敵とみなして処理することはありません。ところが、変性コレステロールになると異物と認識して中に取り込む貪食が起こります。一定以上の変性コレステロールを取り込んだマクロファージは機能を失い、血管壁の中に入っていきます。これが続くと動脈が硬くなり、厚くなる動脈硬化が進んでいくことになります。
こういったことから、活性酸素を消去する作用がある抗酸化成分は動脈硬化の予防に重要であることがわかります。活性酸素は脳細胞の老化にも影響を与えることから、抗酸化成分は認知症予防に効果があることが知られています。