食事をすると、食品に含まれる糖質が胃の中で分解されてブドウ糖となります。血液中に入ったブドウ糖は血糖となりますが、血糖値は食事をしてから30分ほどで大きく上昇して、その後には徐々に下がっていきます。血糖値を下げるのは膵臓から分泌されるホルモンのインスリンで、インスリンはブドウ糖の量に合わせて、つまり血糖値の上昇に合わせるように分泌量が多くなります。このインスリンの働きによって、ブドウ糖は全身の細胞の中に取り込まれて血糖値は下がります。
ゆるやかに上昇した血糖値は、ゆるやかに降下していくのが通常の変化パターンですが、上昇した血糖値が下がりきれずに、再び上昇することによってギザギザした変化をすることは血糖値スパイクと呼ばれています。血糖値が上昇したままだと、インスリンは分泌され続けます。常にインスリンが多い状態が続くと、膵臓に負担がかかり続け、膵臓が疲弊して急にインスリンが分泌しにくくなることがあります。これが糖尿病の始まりとされます。
インスリンの分泌が増えることは太る要因となります。インスリンには肝臓で合成される脂肪酸を増やす作用があり、脂肪酸がグリセロールと結びついて中性脂肪になるのを促進させる作用があります。中性脂肪は脂肪酸3個とグリセロール1個が結びついた構造をしています。この中性脂肪を脂肪細胞の中に取り込まれるのを促進するのもインスリンの作用です。ということで、血糖値が下がりきれずにインスリンが多く分泌される状態が続くと、太ってしまう原因となるのです。
インスリンが多く分泌されれば本来なら細胞にブドウ糖が取り込まれて血糖値は下がるはずですが、日本人はインスリンが分泌されていてもブドウ糖が取り込まれにくい人が多くなっています。この状態はインスリン抵抗性と呼ばれます。インスリン抵抗性の人は、どうしても血糖値が下がりにくく、インスリンが多く分泌されて、脂肪酸の合成、中性脂肪の蓄積が進むので、なかなかやせにくく、太りやすい体質となってしまうということです。